
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

Tokushukai medical group newspaper digest
2021年(令和3年)8月30日 月曜日 徳洲新聞 NO.1302 二面、三面
新型コロナ感染爆発が止まらない。新規陽性者が2万5000人超の日もあり、第3波、第4波とは比較にならない規模で感染者が増えている。それにともない重症例も増加、さらに病床逼迫の深刻化により自宅療養者も急増している。
緊急事態宣言の対象地域は東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、沖縄に続き8月20日から茨城、栃木、群馬、静岡、京都、兵庫、福岡に拡大。さらに27日には北海道、宮城、岐阜、愛知、三重、滋賀、岡山、広島が追加された。まん延防止等重点措置の対象地域も広がっている。こうしたなか徳洲会グループは懸命に感染者への診療を継続。全国のグループ病院の対応を緊急リポートする。
沖縄県は8月17日時点で、人口10万人当たりの1週間の新規陽性者が310.32人となり、初めて300人台になった。地域別では宮古島市が444.85人と突出して高い。
宮古島徳洲会病院は15床のコロナ専用病床を確保し、島内の県立病院と連携して対応。県立病院が外来を止めているため、そのぶんの患者さんは宮古島病院で受け入れている。国吉恵美・看護部長は「現段階では自宅療養、ホテル療養が多く、入院は少ないですが、先行きが読めない状況です」。
石垣島徳洲会病院でも島内の県立病院と連携。石垣市では9月3日でワクチンの集団接種が終了するため、石垣島病院はその後の個別接種対応に向けた準備も進めている。友寄幸子・看護部長は「8月上旬までは後方支援中心でしたが、中旬以降は入院受け入れを始めました」と危機感を募らせる。
県立病院からの転院患者さんを受け入れ(宮古島病院)
沖縄本島の中部徳洲会病院は7月末から30床(うち重症3床)で対応。増床も考えたが、近隣の病院が一般診療を休止したり、後方支援病院でクラスター(感染者集団)が起きたりと地域医療が逼迫しているため、「何とかコロナと一般診療を並行してやっています」(照屋いずみ看護部長)と苦渋の表情。
南部徳洲会病院では重症3床、軽症・中等症27床で対応していたが、重症患者さんが急増しているため、軽症・中等症用のうち4床をHCU(高度治療室)相当の人員配置に強化。大城光子・看護部長は「自宅療養も多く、県からは増床要請も来ていますが、ギリギリの状態です」と強調する。
懸命な治療が続く羽生病院
首都圏の医療体制の逼迫も深刻だ。重症をはじめ多数のコロナ患者さんの入院を受け入れている羽生総合病院(埼玉県)では、ここ1カ月で患者さんが急増し、陽性患者さんの入院が60人を超える日もある。導入しているECMO(体外式膜型人工肺)3台をフル稼働させる日も少なくない。さらに、人工呼吸器を使用する患者さんも20人に迫る勢いだ。
患者数に合わせ看護師の配置人数を増やす必要があることから「8月1日から緊急度の低い予定オペは延期し、外科系の看護師をコロナ病棟に配置転換して対応しています」と青木三栄子・看護部長。また「人工呼吸器や輸液ポンプ、エアマットなど本館に備え付けている物をコロナ病棟に移して使っていますが、本館でも必要ですので、やりくりが限界に近づいています」と苦境を訴える。
千葉西病院は新たにECMO治療を開始
千葉県は重症用ベッドの使用率が県全体で約80%に達している。千葉西総合病院は薬物治療や新しい呼吸療法のネーザルハイフロー、人工呼吸器を用いて治療を行ってきたが、重症患者さんの増加を受け、ECMO治療を新たに開始した。
「重症患者さんに対応できるようにICU(集中治療室)の看護師をコロナ病棟に配置転換しました。今のところ他の診療機能は落とさずに対応できています」(小林裕子・看護部長)。現在、2台のECMOを常時稼動させながら、新規の重症患者さんを受け入れる“最後の砦”の役割を果たしている。
新規陽性者数、重症者数が高止まりしている東京都。軽症・中等症に対応する東京西徳洲会病院と武蔵野徳洲会病院は、いずれも重症化した患者さんの転院先の確保が喫緊の課題と指摘する。「以前に比べて症状が重く、入院後すぐに重症化するケースも少なくありません。しかし、重症化しても転院先がない状況です」と東京西病院の鳩山悦子・看護部長。武蔵野病院の斎藤英子・看護部長も「8月以降は重症患者さんの受け入れ先が思うように確保できない」と、今までコロナ患者さんには導入しなかった気管挿管やネーザルハイフローなどを付けるケースが出ていると打ち明ける。
神奈川県では、湘南鎌倉総合病院が8月中旬に本院の2病棟を閉め、隣地にある県の臨時医療施設にスタッフを回した。八木沼正子・看護部長は「これまで看護師は3年目以上が担当していましたが、2年目も臨時研修を受けた後、業務にあたっています」と明かす。
湘南藤沢徳洲会病院では、感染管理認定看護師が後方支援病院で指導を行うなど地域一丸となり対応。「院内保育園の感染対策を強化し、職員が濃厚接触者にならないよう気を付けています」(津島春美・看護部長)。
大阪府では、八尾徳洲会総合病院でとくに外来患者さんが急増。発熱・問診外来、地域・外来検査センターに多い日は合計150人程度が訪れる。8月上旬のほぼ倍だ。入院では軽症・中等症を中心に重症にも対応。8月から受け入れ病床を増やすとともに、透析患者さんへの対応体制を整えた。
また野崎徳洲会病院は「徳洲会重症コロナセンター」(20床)のオープンを前倒しし9月16日に決定。重症対応を強化する。「最近では一日の新規陽性者を49人確認した日もありました」と木下美智子・看護部長。今後は自宅療養者向けの外来(予約制)設置も検討している。
重症者に対応する岸和田徳洲会病院も8月に入り30~50代の患者さんが増加。加えて、最近は自宅から救急搬送され検査した結果、陽性だったケースも増えているという。「ワクチン未接種の方の間で感染が広がっているように感じます」と深野明美・看護部長。院外保育所がクラスターで閉所となり、子どもを預けられず出勤できないスタッフがいるなど、感染拡大による間接的な影響も現れている。同院は9月から再び一般の方を対象としたワクチンの個別接種実施を検討中だ。
鹿児島県の離島での感染拡大も深刻だ。徳洲会の各離島病院では懸命に対応が続けられている。
7月に会食を起因としたクラスターが発生した奄美群島のひとつ与論島。島唯一の病院として軽症・中等症の診療にあたる与論徳洲会病院は、県の感染状況が最警戒のステージⅣに引き上げられたことを受け、4床で運用していたコロナ病床を12床に増床。院内感染の発生もあり満床の状態が続く。
重症患者さんは海上保安庁の航空機などで鹿児島本土に島外搬送する方針を取っている。「8月以降、他の離島でもクラスターが発生し、鹿児島本土への島外搬送が増えています。そのため重症病床の逼迫が懸念材料ですが、高齢者のワクチン接種が進んだことや、7月に承認された抗体カクテル療法といった薬物療法などが奏効し、当院の入院患者さんは中等症までで踏みとどまっています(上恵理子・看護部長)。
8月23日時点で島内には2人の自宅療養者がおり、同院の高杉香志也院長が電話診察を通じて健康観察を行っている。
喜界島でも同島唯一の病院である喜界徳洲会病院が軽症・中等症の入院を受け入れている。8月以降、コロナ病床を1床で運用していたが、患者さんの増加を受け同月中旬に4床に増床して対応。
市中感染が拡大している奄美大島では、名瀬徳洲会病院が軽症・中等症の患者さんを受け入れており、12床確保するコロナ病床が満床状態だ。
8月20日に新たに緊急事態宣言の対象地域となった静岡県。榛原総合病院ではコロナ病床を10床確保、24日時点で8人が入院する。軽症・中等症の入院を受け入れ、レムデシビルや抗体カクテル療法など薬物治療、ネーザルハイフローなどにより治療に取り組んでいる。加えて、ドライブスルーのPCR検査を積極的に実施し、感染の早期発見・拡大防止に努めている。
「増加している自宅療養者の方々に対しては、電話診察を行っており、入院が必要な方は受け入れるなど積極的に対応しています」と増田伊佐世・看護部長は説明する。
京都府の宇治徳洲会病院は多職種で構成するCOVID-19チームを昨年に設置し対応。とくに最近は小児の感染例が散見されるという。同チームのメンバーでICT(感染対策チーム)の篠塚淳・小児科副部長は「直近では生後2週間の新生児や生後1カ月の乳児、小学生の寝たきりの重症心身障害児を入院加療しました。いずれも陽性で家族内感染です。また、39週の妊婦さんが陽性と判明し、帝王切開で出産。赤ちゃんは感染しておらず、母親は治療し無事に退院したケースもありました」と明かす。
同院は、地域で在宅診療を行う医師と保健所長からの要請を受け、院内に併設している宇治徳洲会訪問看護ステーションと連携、在宅療養者のフォローも開始した。同院の齊藤文代・看護部長は今後、さらに対応強化を図る可能性を示唆。「抗体カクテル療法の実施や、9月中にも受け入れ病床を最大30~40床増やす準備をしています」。
福岡徳洲会病院は中等症用に24床を確保、9月には県からの要請で28床に拡大する計画。瀬上希代子・看護部長は「夜間の緊急入院が増え、病床が逼迫し出している状況ですが、離島病院への応援は継続します」。
神戸徳洲会病院は軽症・中等症用に16床を確保。自宅療養者を対象に訪問看護の準備も進めている。コロナ病床ではレッドゾーン(汚染区域)と待機場所の連絡にインカムを活用。中村美津・看護部長は「情報共有などがスムーズになりました」。
四日市徳洲会病院(三重県)では発熱外来の患者数が8月上旬に比べ倍近い。伊藤泰江・事務責任者は「地域の診療所では検査ができず当院に紹介されることもあります。今は健診をセーブしています」。
北海道では、帯広徳洲会病院と共愛会病院が軽症を中心に対応。いずれも8月に入り発熱外来など外来患者数が増加し、コロナ専用病床は満床が続いている。とくに顕著なのが若年層の感染だ。函館市にある共愛会病院の光野佳代・看護部長は「高校生や中学生でも陽性者が見られ、地域では学級閉鎖を決めた学校もあります」と危機感をあらわにする。
軽症・中等症に対応している日高徳洲会病院、札幌徳洲会病院、札幌東徳洲会病院でも若年層や青年層の患者さんが増加。札幌東病院の坂本眞起代・看護部長は職員のフォローに苦慮している。「プライベートも制限され、黙食などコミュニケーションも希薄になるなか、さまざまな要因で精神的に落ち込む職員も増えつつあり、職員のメンタルサポートの難しさも実感しています」。
仙台徳洲会病院は3月末にプレハブのコロナ専用病棟(24床)を開設、8月中旬以降に入院患者さんが急増し病床稼働率はつねに85%超。佐藤裕恵・看護部長は「総力戦であたるしかありません。一般診療とのバランスで人員配置を考えています」。
名古屋徳洲会総合病院は軽症・中等症用に5床を確保。近隣のコロナ受け入れ病院も含め病床はつねに満床状態だ。乕田美幸・看護部長は「一般診療は制限していませんが、最悪の状況は想定しています。自宅療養が多く、いつ重症化するか心配です」と警鐘を鳴らす。
近江草津徳洲会病院(滋賀県)は軽症・中等症用に12床を確保、発熱外来も人員を増強して対応。大河治子・看護部長は「一般診療は通常どおり、発熱患者さんに24時間対応、地域の方々や施設へのワクチン個別接種にも対応するなど人的余力はないですが、地域に貢献していきます」。