徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

東上 震一(ひがしうえしんいち)医療法人徳洲会 副理事長 岸和田徳洲会病院(大阪府) 総長

直言 生命 いのち だけは平等だ~

東上 震一(ひがしうえしんいち)

医療法人徳洲会 副理事長 岸和田徳洲会病院(大阪府) 総長

2021年(令和3年)8月31日 月曜日 徳洲新聞 NO.1302

コロナ危機乗り越えるには
使命感と多職種によるチームワークと明るさ
重症拠点病院から見た第5波パンデミックの姿

当院では8月15日から再度、救命救急センター全域がレッドゾーン(汚染区域)となり、原則、同センター以外の職員の立ち入りが禁止になりました。第4波と第5波の狭間(はざま)(7月1日から1カ月半)が私たちの病院に訪れたほんのわずかな平穏(?)と呼べる期間でした。この間の同センター(28床)はコロナ(最大8人)と一般救急とに機能分配できていました。341床の当院の一日の入退院数は、7月では入院平均29.3人(最大38人)、退院平均30人(最大44人)で、この数の出入りを同センターの緩衝ベッドなしに直接、各病棟で担おうとすると、人員の少ない夜間帯でも目まぐるしいベッド移動が行われ、「岸和田は毎日嵐です」という深野明美・看護部長の表現になります。同センターが本来の救急対応ができている状態が、忙しさのなかにあってもスタッフにとっては平穏な時間と感じたわけです。コロナを担当する同センターの医師にとっても同じことが言えます。

コロナ禍でも変わらない “断らない医療” の実践

第4波のピーク時(大阪で医療崩壊が現実化)には、救急外来(ER)フロアーでの一時収容も加えた最大19人の重症コロナ患者さんに対応しながら、各病棟をまたいで一般の救急入院患者さんを治療しました。これを可能にしたのは医局の多くの医師の惜しみない協力があったことも事実です。

「この忙しさ、大丈夫ですか。スタッフがギスギスしないですか」。心配で深野・看護部長と鍜冶有登(かじありと)センター長に聞いたことがありました。ところが、同じような答えが返ってきたことに驚かされました。「いつものことですよ。慣れていますから。皆で協力して、できています。困っている人を助けるのは当たり前のことですから」。両リーダーの力まない包容力に敬服しました。徳洲会はどのような社会状況でも、つねに一番弱い人の立場に立った医療、断らない医療を理念として実践してきました。コロナ禍でも何ら変わることはありません。

“コロナ対応という名目のために、救えるべきコロナ以外の患者さんの命を見捨てることがあってはならない”。きわめて当たり前のことで、いくら厳しい状況下でも全国の徳洲会病院ではコロナとそれ以外の疾患に対して全力で取り組んでいるのです。ところが、この論法は“ですから、コロナ以外の救える命のためにもバランスを考え、コロナ対応は制限せざるを得ないのです”と続きます。当院を遥(はる)かに凌(しの)ぐ大規模高機能病院のあまりに少ないコロナ受け入れ人数の言い訳になっているのです。日本は狭い国土に、じつに8000以上の病院が存在しています。とくに大都市圏には十分な医療資源が投下されているはずです。たとえば大阪府はコロナ対応病床として中等症は約2600床、重症は約580床、ベッド占有率は重症34%、中等症73.7%と広報しています。

しかし、当院の救命センターから見える現状は、重症12/14ベッド使用(占有率86%)で、8人が大阪市を含む他の医療圏からの搬送です。大阪の他の徳洲会のコロナ重点病院はどうでしょうか。和泉市立総合医療センターは中等症28/30(93%)、吹田徳洲会病院は中等症17/18(94%)、野崎徳洲会病院は重症7/9(78%)、中等症34/34(100%)、八尾徳洲会総合病院は重症7/4(175%)、中等症24/24(100%)。大阪府の広報と信じられないほどの乖離(かいり)です。

豊富な医療資源も医療者側の努力なければ十分活用されず

徳洲会グループの高いベッド占有率は何を意味しているのでしょうか。ここに大阪が医療崩壊に至った無視できない一因があるように思えてなりません。豊富に投下されているはずの医療資源も医療者側の誠実な努力がなければ十分活用されません。新規感染者の死亡率は0.19%まで低下し、季節性インフルエンザに近い値になっています。2類の感染症指定を規制の緩やかなインフルエンザと同等の5類に変更すべきとの議論がメディアで取り上げられています。社会に変容を強いるパンデミック(大流行)への対応策として必要な技術論ではありますが、基本となる医療者側の姿勢を不問にするならば皮相な議論となる恐れを感じます。徳洲会はいつの時も医療者としてのあるべき姿を求めます。コロナ感染症を克服した新たなる社会を目指し、皆で頑張りましょう。

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