徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

藤原葉子(ふじわらようこ)ホームケアクリニック札幌 院長

直言 生命 いのち だけは平等だ~

藤原葉子(ふじわらようこ)

ホームケアクリニック札幌 院長

2021年(令和3年)8月23日 月曜日 徳洲新聞 NO.1301

『つなぐ・つながる・つながさる』が合言葉
相談・活動・教育を三本柱に社会貢献を展開
地域全体が緩和ケア的になり当院がそのハブへ

ホームケアクリニック札幌は、札幌市内を中心に在宅緩和ケアを専門に展開する在宅療養支援診療所です。9月1日、札幌市清田区平岡に念願の新築移転を果たすのを機に、当院の課題や展望、移転後の新たな取り組みについて書きたいと思います。

当院は2008年7月1日に前野宏先生(現・札幌南徳洲会病院総長)により開設され、14年目に入りました。人間で言えば中学2年生、思春期真っただ中です。以前読んだドイツの教育書に、人間は7年周期で発達するとありました。誕生から7歳までは身体が、7歳から14歳までは心が、14歳から21歳までは精神(信念)が発達し、21歳で身体・心・精神のバランスが取れた真の大人となるという見方です。この考えは自らの子育てでも大変参考になりました。

新築した札幌南徳洲会病院の隣地に新築移転し一層の連携

私は、この成長過程は組織にも当てはまると考えています。設立から7年目までは組織づくり、7~14年目は組織の質・内容を充実させる時期、14年目からは組織の使命を明確にして社会に向け貢献していく時期というわけです。

当院では組織づくりが着実に進み、医師・看護師・MSW(医療ソーシャルワーカー)の4人で始まったのが、今や総勢18人となりました。また、院内学習会を継続して行い、スタッフ一人ひとりが患者さん・ご家族の全人的ケアのために自立して考え行動できるようになりました。つい先日も、見学に来られた医師から、指示待ちのスタッフがいないこと、皆が自立して働いていることを非常に高く評価していただきました。19年9月には当院のみなし訪問看護だった看護部問が、「緩和ケア訪問看護ステーション札幌」として独立し、専門的な訪問看護を市内の診療所や病院と連携して提供できるようになりました。

日々の臨床での学びを学会などで積極的に発表する機会が少ないことが課題でしたが、コロナ禍でオンライン開催が普及したこともあり、今年度は日本緩和医療学会に5演題、日本緩和医療学会北海道支部学術大会に1演題が採択。さらに日本ホスピス緩和ケア協会北海道支部年次大会のシンポジスト、終末期・緩和ケア作業療法研究会の演者にもなるなど、当院での取り組みをスタッフが積極的に外部に発信するようになりました。

今回の新築移転で我々が大事にしたことは、ひとつは日本一のホスピスを目指す札幌南病院との一層の連携であり、もうひとつは在宅緩和ケア専門クリニックとして社会的使命を果たせる場所づくりでした。この13年間、患者さん・ご家族から「こんなに手厚く看てもらえるなら、もっと早く家に帰ってくれば良かった」、「こんなシステムがあるなんて誰も教えてくれなかった」、「今まで誰にも相談できずつらかった」という声をたくさん聴きました。日本の医療制度は非常に良くできていますが、必要な情報は自分で積極的に取りに行かないと、手に入りにくく、手に入ったとしても、わかりにくいという問題があります。そこで、困っている患者さん・ご家族が、ふらりと立ち寄り相談できる場、立ち寄りたくなる場を併設したいというのが、我々の願いでした。また、終末期に複合的浮腫に悩む患者さん、リンパ浮腫に悩む患者さんへの早期からのアプローチも課題でした。これには国際的専門資格をもつ理学療法士のスタッフを中心に1年間のミーティングを重ね、新築移転を機にリンパ浮腫外来を開始します。

コロナ禍の面会制限により在宅看取り数が1.7倍に

移転先は、シュヴァービングの森と呼ばれる緑化地区に隣接する、一見して医療機関には見えない建物です。その1 階に困っている方が、ふらりと立ち寄れる場、地域緩和ケアセンターruyka(ルイカ)を併設しました。ルイカはアイヌ語で「橋」という意味で、患者さん・ご家族と医療、一般市民と専門職、地域の方々同士の架け橋となれるよう願いが込められています。『つなぐ・つながる・つながさる』を合言葉に相談・活動・教育の三事業を柱とする社会貢献の場として事業展開していく予定です。コロナ禍の面会制限をきっかけに当院への相談件数は1・4倍、新規患者数は1・6倍、在宅看取りは1・7倍となるなど在宅緩和ケアのニーズはますます増えています。地域全体が緩和ケア的になり、当院がそのハブ(中核拠点)となることを目指しています。皆で頑張りましょう。

※つながさる :「 〜さる」は北海道弁。意図せず自然発生的に起こる意味合いがある

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