徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

福島 安義(ふくしまやすよし)一般社団法人徳洲会副理事長

直言 生命 いのち だけは平等だ~

赤崎 満(あかさきみつる)

南部徳洲会病院(沖縄県) 院長

2020年(令和2年)12月14日 月曜日 徳洲新聞 NO.1266

全職員が“救急は断らない”という
強い思いを胸に支え合い乗りきる
コロナ禍でも職責全うしていることを誇りに思う

「調子はどう?」

「ちょっと動くとまだ息切れがします。でも大丈夫ですよ、食欲あるから」

笑顔で気丈夫に答える看護師の言葉に、胸が熱くなりました。

10月5日、誤嚥(ごえん)性肺炎が治癒した入院患者さんに、施設転院前PCR検査を行ったところ、新型コロナ陽性が判明しました。入院時の抗原検査、PCR検査で、いずれも陰性の結果を確認していたので、大きな衝撃が走りました。すぐに当該病棟の全患者さんと全スタッフにPCR検査を行ったところ、患者さんとスタッフに、新たに陽性者が判明し、病棟をロックダウンしました。当院コロナ病床での受け入れ可能人数を超えた患者さんは、中部徳洲会病院(沖縄県)に協力を仰ぎ、転院を受け入れていただきました。大変お世話になりました。10月23日以降は陽性者が出ず事態は鎮静化しました。

LINE WORKS導入 情報共有の迅速化に有用

感染患者さんは高齢の方が多く平均年齢は87・6歳でした。治療が奏功せず残念ながら亡くなられた患者さんとそのご家族に、また復帰したものの倦怠(けんたい)感や息苦しさなどの症状が今も残っているスタッフに、とても心が痛みます。濃厚接触のため自宅待機になったスタッフもいて、看護部は病棟運営に大変苦労しました。スタッフの心のケアに看護部長や看護師長たちが取り組み、また沖縄県の専門カウンセラーにも介入していただきました。

院内クラスター(感染者集団)発生後、すぐに一般社団法人徳洲会や徳洲会感染管理部会に指導に入っていただきました。多くの問題点が挙がり、手指衛生やPPE(個人防護具)の着脱、ゾーニング(区分け)などを一から見直しました。なかでも情報共有とコミュニケーションの不足を強く指摘されました。皆で改善に取り組み、現在は朝夕1日2回ICT(感染対策チーム)や関連部署の責任者を加え管理会議を開き、機動性を高めています。毎週水曜日に行う全部署参加のコロナ対策会議では、各方面からの検討事項を協議。また、毎朝の「コロナ疑似症カンファレンス」では主治医、内科、総合診療科、救急診療科、研修医、ICT、看護部が参加し、前日入院した疑似症患者さんの治療方針を決めています。もちろん会議室の使用に際しては3密を避けています。病院四役、ICT、検査室、各部署長をつなぐグループウェアのLINE WORKSも取り入れました。これにより夜間帯や土日のPCR検査結果と病床状況の報告を受け、迅速に陽性者、疑似症者に対応するなど情報共有に役立っています。

病棟のロックダウン解除後に、コロナ病床の再編も行いました。陽性者と疑似症者の病床は別々の病棟でしたが、これをひとつの病棟にまとめ、ゾーニングを明確にし、交差感染が起こらないようにしました。しかし、これにより多くの休床が生じ、非コロナ病床が減少、他の病棟の負担が増加しています。どの病院も同様の悩みを抱えていると思います。

PCR検査は1日100件を超える日が度々あり、1台の検査装置では限界がありましたが、PCR専用の検査室を設置することになりました。検査装置3台体制となり、1日336件のPCR検査を行えます。12月末の開設を目指しています。

沖縄県では「コロナ感染症病院長ネットワーク」が早い時期に立ち上がり、県内の各病院長、県コロナ対策本部、県医師会担当理事、各保健所長の間でLINEを用い、状況や情報の共有を行っています。また平日正午に県コロナ対策本部主催のWEBミーティングがあり、当院も私とICTが参加しています。

他院が救急受け入れを中止 大きな影響が出ること痛感

院内感染が発生した際は病棟をロックダウンしましたが、その間も救急や外来をはじめ業務の制限はしませんでした。この判断が正しかったのかどうかわかりません。じつは8月に近隣の急性期病院2施設が、立て続けにコロナにより救急を止めました。当院に救急車が殺到し、1日の救急件数、1カ月間の救急件数ともに当院始まって以来の記録となり、皆、大変な思いをしました。診療を止めることが、いかに大きな影響を与えるか痛感しました。それがひとつの判断材料になったのですが、皆が〝救急を断らない〟という強い思いで支え合ったからこそ乗りきることができたと確信しています。

コロナ禍でも、全職員が職責を全うしていることを誇りに思います。皆で頑張りましょう。

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