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直言

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佐藤 守彦(さとうもりひこ)徳洲会感染管理部会部会長 湘南鎌倉総合病院感染対策室部長(神奈川県)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

佐藤 守彦(さとうもりひこ)

徳洲会感染管理部会部会長 湘南鎌倉総合病院感染対策室部長(神奈川県)

2020年(令和2年)5月18日 月曜日 徳洲新聞 NO.1236

パンデミックの歴史に学び未来切り拓く
感染管理部会は多職種チームで相乗効果
新型コロナウイルス対策に全力で取り組む覚悟

1914年6月28日、オーストリア・ハンガリー帝国のフランツ・フェルディナント皇太子夫妻がボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都サラエボを訪問した際、セルビア人ガブリロ・プリンツィプに暗殺されました。その夜、首都ウィーンではウィーンっ子たちが、いつもどおりワインを贅沢に飲み、舞踏会でダンスに明け暮れていました。

7月28日、オーストリア・ハンガリー帝国がセルビアに宣戦布告して開戦。ドイツ、ロシア、フランス、イギリスといったヨーロッパの大国を次々と巻き込み、世界で約50カ国が交戦状態になりました。当初、人々はクリスマスまでには平和が訪れるだろうと、きわめて楽観的に考えていましたが、終戦はじつに4年後の18年11月11日。この第一次世界大戦により、世界で1000万人以上が亡くなり、4つの大帝国が消滅しました。

しかし、悲劇はこれだけではすみませんでした。戦争末期に米国で発生した謎の肺炎が出征した兵士を通じてヨーロッパにもち込まれ、さらに世界中に拡散したのです。世界で約6億人が感染し、約5000万人が亡くなりました。これがスペイン風邪という名の人類史上最大級のパンデミック(世界的大流行)でした。

感染管理部会発足から4年目 種々の感染症領域課題に即応

日本でも約2500万人が感染し、約40万人が亡くなりました。皇族の竹田宮恒久王(たけだのみやつねひさおう)や明治の元勲・西郷隆盛の息子、西郷寅(とら)太郎も亡くなっています。

注目すべきは当初の第1波よりも、一旦終息した後の第2波のほうが、死亡率が高かった点です。ウイルスの遺伝子が変異し、病原性が高まったのです。現代に生きる我々は、この忘れ去られたパンデミックから何をなすべきか、真剣に学ぶべきです。

徳洲会感染管理部会は、看護部内にあった組織を発展的に解消する形で発足し、4年目の春を迎えました。執行部は医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師の基本4職種に加えて、管理栄養士、作業療法士、事務局を担う一般社団法人徳洲会(社徳)医療安全・質管理部の事務スタッフから成ります。さらに社徳の建築部や医療材料部などとも連携しており、多職種による理想的なチーム医療を実践しています。

全国の徳洲会8ブロックでは、百戦錬磨(ひゃくせんれんま)のベテラン看護師が部会のブロック長を務め、ブロック内の難問に取り組んでいます。部会の発足以降、毎年のようにインフルエンザの記録的な大流行が発生しました。全国の病院、介護施設での医療関連感染によるアウトブレイク(集団感染)について、メディアの報道も相次ぎました。

我々のグループ病院・介護施設でもインフルエンザが猛威を振るいましたが、ブロック長や各病院・施設の感染管理担当者の尽力により、幸いにも大事に至らずにすみました。

今回の新型コロナウイルスへの対応では、感染管理部会の真価が問われています。ウイルスの脅威にひるまず、全力で取り組む覚悟で臨んでいます。

メルケル首相の演説に同感 互いに距離取ること最重要

今年3月、ドイツのアンゲラ・メルケル首相はドイツ国民に向けて演説しました。そのなかで、①事態は深刻であり、第二次世界大戦以来の危機である、②薬やワクチン開発のための時間を稼ぐ、③戦いの最前線にいるすべての医療従事者への感謝、④理性と判断力をもって公的生活を制限、⑤国境検査の厳格化と隣国への入国制限、⑥雇用を守るため可能なすべてのことを行う、⑦誰もが皆、協力する必要がある、⑧力を合わせて行動し自身を守る、⑨思いやりから、お互いに距離を取る、⑩好意と友情を示す別の方法(インターネット通話サービスのスカイプや、電話など)を用いる――などを示しました。

これらは日本でもまったく同じことが言えます。とくに具体的な対策として、互いに距離を取ること(ソーシャル・ディスタンス)は非常に重要です。

医療従事者の皆さんは職場で、つねに念頭に置いていただきたいと思います。休憩室や職員食堂でマスクをはずしている時間帯は要注意。親しい同僚が集まると、つい会話が弾みがちです。しかし、院内には免疫力の低下した患者さんがおられることを絶対に忘れないでください。

困難な状況下でも安心・安全な医療を提供できるように、皆で頑張りましょう。

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