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直言

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斉藤 憲人(さいとうのりひと)宮古島徳洲会病院院長(沖縄県)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

斉藤 憲人(さいとうのりひと)

宮古島徳洲会病院院長(沖縄県)

2020年(令和2年)4月13日 月曜日 徳洲新聞 NO.1231

患者さんが求める医療ニーズの実現と
職員のモチベーションアップを目指す
素直に耳傾け情報共有し風通し良い職場に

人口約5万5000人の宮古島に2015年1月、伊良部(いらぶ)大橋が開通しました。観光客数は18年度には過去最多の114万人にまで増加。島はまさに“宮古島バブル”と言われる異常なまでの好景気に見舞われました。

その影響で地価が高騰し、市街地エリアや海沿いのリゾート用地には、次々とリゾートホテルが建ち、宮古島は空前絶後の建築ラッシュに沸いています。

それにより建設業やホテル業で多くの労働者が宮古島に来島した結果、宮古島は深刻なまでのアパート不足に陥っています。

信頼関係と個々の意欲高める“ホウレンソウの質”が大事

島の不動産屋に賃貸アパートの空き物件はほとんどなく、残っているのは1LDK10万円、コンテナハウス6万円など、相場を大きく上回る家賃を設定した物件のみ。既存のアパートも便乗するかたちで家賃を値上げしたため、当院職員の生活も圧迫されています。給料のほとんどを家賃にもっていかれることになり、常勤職員の定着を阻んでいます。当然ながら派遣職員に頼らざるを得ない状況をつくり出しています。

このような“宮古島バブル”と言われるなか、人々の暮らしや働き方が変わりつつあります。1989年(平成元年)頃に流れていた「24時間戦えますか?」というフレーズで有名なCMを皆さんは覚えていますか。

当時の働き方は、残業するのは当たり前。誰よりも長く働くことが良しとされ、定時に帰るのは悪い働き方の見本のような風潮がありました。あれから31 年が経った現在では、仕事もプライベートも充実しようと、ワークライフバランスや「働き方改革」が大きく叫ばれています。

こうした時代のなか、私は患者さんが求める医療ニーズの実現と職員のモチベーション向上を両立するために、つねに良いアイデアを模索し、それを実行することで働きやすい環境の構築を目指しています。

私は、まず“ホウレンソウの質”の向上が大事だと思っています。ご存じのとおり、「ホウレンソウ」は報告・連絡・相談の略。今では“当たり前”のこととして、どの組織でも耳にしますが、意外と、できているようで、できていないのです。

ただ事務的に行うのであれば誰にでもできるでしょう。しかし、私のホウレンソウに対する考え方は「報告・連絡・相談をする側(部下)と、される側(上司)のコミュニケーションをより密にし、信頼関係を高めていくことで、個々のモチベーションも上がっていく」です。

院長として職員一人ひとりとのコミュニケーションを大切にし、どのような考えに対しても素直に耳を傾け、情報を共有することで風通しの良い職場になると信じています。

患者さんのセルフケア意識高める新しい試みにも邁進

また、固定観念にとらわれず、つねに新しいことに挑戦していかなければいけません。

そのひとつの案として糖尿病教育入院に着目しました。その背景には、外来での次のようなエピソードがあります。

医師「今日はどうなさいましたか?」

患者さん「先生がわかるさ」

医師「今までにかかった病気は何かありますか?」

患者さん「先生がわかるさ」

離島ならではの受け答えと言えば聞こえは良いですが、あまりにも自分自身の病気に対する関心の低さに驚きました。

今まで当院の糖尿病のコントロールを目的とした入院は、インスリン調整のみを行い、管理栄養士さんに指導を依頼して血糖改善したら退院するというものでした。これから始める糖尿病教育入院は医師、看護師、リハビリテーションセラピスト、管理栄養士、臨床検査技師、医事課職員でチームを組み、受け身の入院から「セルフケア」(自己管理)意識を高め、医療従事者と患者さんが共通の目的をもって邁進(まいしん)していくものと考えています。教育入院を推進し参加(入院)することで、患者さん自身の病識も深まりますし、職員一人ひとりが同じ目標を目指すことで、自ずとチームワークも生まれます。

大病院ではなく、離島の小病院で、教育入院にかかわってきたことのないスタッフとともに、このプロジェクトを通じて学び続ける姿勢をもち、そして一層、信頼関係を深め、宮古島徳洲会病院ならではの特色を出していくことにより、離島医療に貢献していきたいと思います。

皆で頑張りましょう。

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