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直言

Chokugen

鬼塚 正成(おにづかまさなり)長崎北徳洲会病院院長

直言 生命いのちだけは平等だ~

鬼塚 正成(おにづかまさなり)

長崎北徳洲会病院院長

2019年(令和元年)11月18日 月曜日 徳洲新聞 NO.1211

患者さんニーズを正確にとらえ情報発信
新病院は回復期機能を今まで以上に充実
小規模病院だからこそできる医療・サービス

「お酒が大好きな好々爺(こうこうや)でした」。当院に入院中に亡くなられた患者さんのかかりつけ医だった診療所医師に文書で報告をしたところ、その医師からお礼の手紙が届き、最後にそう記されていました。昨年行われた地域の勉強会で、この医師と初めて挨拶することができました。当院に入職して9年。入職時から紹介患者さんについては、紹介元の医師に当日、あるいは翌朝一番に文書で報告してきましたが、死亡された患者さんのかかりつけ医から礼状をもらうようになったのは最近のことです。

長崎県には「あじさいネット」という地域医療ネットワークがあります。同ネットに参加している当院と他の医療機関は、電子カルテが共有化され、希望があれば相互に閲覧可能です。IT化、機械化により、業務の効率化が進んでいますが、医療現場でのFace to Face のやり取りが減り、「心の通う人間関係が希薄になっていないか」と心配になることもあります。

顔の見えない関係づくりへの出費を抑え必要な箇所に注力

脳卒中の患者さんと接する勤務医は、急性期治療の間のごく短い時間しか、患者さんと接することはありませんが、かかりつけ医は、ずっと長い時間を患者さんと過ごすため、思い出があります。この礼状をいただいて、診療所医師と患者さんとの間で、ゆったりとした時間が流れていたことを再認識しました。

当院は2021年春に長崎市北部から3㎞北東の長与町に新築移転を計画しています。11月10日には地鎮祭を執り行いました。現病院の半径2㎞以内には急性期病院が当院を含め4病院ありますが、移転先では半径2㎞以内に急性期病院はひとつもありません。長崎市は人口が急激に減少していますが、長与町は緩やかに増加しています。

この情報だけでは、移転が有利に聞こえますが、そう簡単にはいきません。これまでも長与町の公民館での講演活動を通じ、住民の方々と対話はあったものの、当院は新参者。同町で、あじさいネットに参加している施設は1施設のため、情報の共有はネットではなく、郵便、FAX、電話になります。地域の住民、診療所医師、勤務医の方々にとって、当院が身近な存在になれるかどうか――これには広報誌やホームページなどを用いた情報発信だけでは不十分です。

地域での勉強会などに積極的に参加し、顔を売ることは当然であり、診療情報や介護情報の提供など、今まで以上にコンタクトを取っていく――その積み重ねが大切です。そこで当院では、これまで行ってきた医療機関へのお中元やお歳暮を今年末から廃止することにしました。顔の見えない関係づくりへの出費を抑え、地域、患者さんのニーズを正確にとらえ、情報発信を続けるために必要なところへエネルギーを注いでいきます。

さて、患者さんの要望とは何でしょう。自分が患者になって初めて気付くことがあります。私は8月に人工股(こ)関節の手術を受けました。回復期専門病院では職場復帰を目標に掲げ、1日3時間のリハビリに専念しました。病棟にはマネージャーがいて、私に合わせて、まず部屋の配置変えをスタッフに指示しました。リハビリの合間には管理栄養士、歯科衛生士、介護福祉士が来て指導が入ります。

新病院で人工透析スタート 良好な関係を築き信頼得る

当院も新病院では回復期の機能を今以上に充実させたいと考えています。患者さんの希望に沿って個人に合ったリハビリメニューを提供し、職種を越えてリーダーシップを発揮できるようなリーダーを養成していきます。これが当院にとって最重要課題と認識しています。

日常生活では何気ないことが、入院すると、できないことがあります。私は病室で温かいコーヒーを飲みたかったのですが、この望みは叶いませんでした。そこで、新病院では1階に「米粉屋」というテナントが入り、バリスタがいれたコーヒーを病室に届けるようにします。108床と小規模病院だからこそ、できる医療とサービスがあるはずです。大病院ではスタッフ間で名前と顔が一致しないことがあるでしょうが、小病院では、顔見知りの関係で部署間の垣根が低いのが強みです。

新病院では人工透析をスタートします。私たちにとっては未知の分野ですが、透析患者さんと医療スタッフとの間で良好な人間関係を築き、信頼を得ることから、すべては始まっていきます。皆で頑張りましょう。

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