徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

尾野 亘(おのわたる)(岸和田徳洲会病院院長(大阪府))

直言 生命いのちだけは平等だ~

尾野 亘(おのわたる)

岸和田徳洲会病院院長(大阪府)

2019年(令和元年)10月21日 月曜日 徳洲新聞 NO.1207

夢を語り内視鏡を教えた若手医師が入職
人を集めて育て離島・へき地医療に貢献
内視鏡応援の年間実績21施設・1万2,500件超

9月1日に岸和田徳洲会病院の院長を拝命しました。あらためて職責の重さに身の引き締まる思いです。

初めて「直言」を執筆するにあたり、今回は私の経歴と夢の話をしたいと思います。

私は1995年に奈良県立医科大学を卒業しました。放射線科に入局し、腹部の画像診断学とIVR(interventional radiology(インターベンショナルラジオロジー))治療を専門としていました。IVRは、内科的な投薬治療と外科的手術による治療の間に位置するIntervention治療のひとつで、主にカテーテルを用いた治療を行います。7年半在籍しましたが、IVRだけでは腹部のintervention治療は完結できないと感じ、2001年に大学を退職、すでに消化器内視鏡で有名だった岸和田病院消化器内科に入職しました。

当時は新築移転前の旧病院で、狭いうえに患者さんが多く、救急搬入もたくさんあったため、まさしく「野戦病院」の様相を呈していました。吐下血や胆管炎の緊急処置が多く、予定の治療が深夜帯までずれ込むこともよくありました。

しかし、そのおかげで内視鏡の技術だけは短期間で上達し、1年後には鹿児島県の離島にある名瀬徳洲会病院、徳之島徳洲会病院、屋久島徳洲会病院などへ応援に出るようになりました。

名瀬病院転勤が人生の転機に 応援医師の来島システム必要

そうしたなか、06年に名瀬病院への転勤が決定。これが人生の転機になりました。

同院では内視鏡中心の業務に従事するかたわら、緊急症例が発生すれば近隣の離島病院へ出向きました。奄美群島内視鏡治療の基地病院の役割を担っていました。そんなある日、長く離島医療に情熱を捧げられた先生が辞められてしまったのです。

私ひとりでは限界があり、ひとりが一生懸命頑張って診療するのではなく、いつ医師が不在になることがあっても、すぐに代わりの医師が来島できるシステムの構築が最重要と考えるようになりました。離島・へき地医療や地域医療の継続には、ひとりでも多くの医師(同志)が必要です。離島・へき地研修にやってくる若手医師に夢を語り、内視鏡を教えました。しかし、離島では症例数など教育的な問題もあり、思うように同志は増えませんでした。

そうこうするうちに1年が経過。患者さんの信頼も得られるようになり、自分が島を離れることはできないなと感じていた矢先のことです。満元洋二郎先生(現・名瀬病院総長)から「本気で離島のことを考えるのであれば、岸和田病院へ帰って、そこで医師を集めなさい。それまで我々で頑張るから」と言われました。まさに人生を変えるひと言でした。

徳田虎雄・前理事長が、最初に故郷の徳之島など奄美群島に病院をつくらず、まず大阪に病院を建てた理由のひとつには、「人を集めるのは都市型病院でなければ難しい」という判断もあったのかなと、つくづくその先見の明に心を打たれました。

岸和田病院に戻った時、消化器内科は常勤医不在で、非常勤医だけで細々と検査を行っていました。そんな折、東上震一院長(現・総長)に「消化器内科部長として頑張ってみないか」と声をかけていただき、夢の実現のため、「頑張ります」と即答しました。その反面、「このままでは離島からの緊急要請に応えられない」との思いもあり、途方に暮れましたが、離島で出会った若い医師たちが初期研修を終え、ひとり、またひとりと当院に入職してくれたのです。

消化器内科の常勤医が27人に「ENDO CLUB」も創設

それから10年余りが経ち、現在では当院の消化器内科に27人の常勤医が在籍。昨年の当院の内視鏡実績は1万7978件、離島・へき地病院を中心とする応援実績は21施設・1万2544件で、合わせて3万件を超えるようになりました。

10年には研修会の開催や交換研修、離島・へき地応援の協力を目的に、徳洲会グループ消化器内視鏡部会「ENDO CLUB(エンドクラブ)」を創設。今年度の学術集会は7月20日に札幌東徳洲会病院で開催、過去最高の23演題、約80人の参加があり盛況でした。

これからも徳洲会グループの基幹病院として、人を集めて育て、地域医療はもちろん、徳洲会の原点である離島・へき地医療にもさらに貢献し、「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会」の真の実現のため頑張る所存です。心をひとつに、皆で頑張りましょう。

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