徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

齋藤 滋(さいとうしげる)(湘南鎌倉総合病院総長(神奈川県))

直言 生命いのちだけは平等だ~

齋藤 滋(さいとうしげる)

湘南鎌倉総合病院総長(神奈川県)

2019年(令和元年)10月14日 月曜日 徳洲新聞 NO.1206

医学が発展するため新たな知識・技術を
世界で共有可能にするのが臨床医の責務
心カテーテル分野の最大級の国際学会で表彰

2015年5月20日、私は心血管カテーテル治療に関する最高峰であり、全世界から2万人以上の専門家が集まる最大規模の国際学会であるEuroPCR(欧州経皮的冠動脈形成術会議)で、Ethica(エチカ)Award(エチカ賞)を受賞しました。この賞は心血管カテーテル治療を行う者にとって最大級の栄誉であり、日本人として初めてのものでした。

オランダのフェルディナンド・キムニー先生とともにいただき、これまでに全世界で経橈骨(とうこつ)動脈冠動脈インターベンション(TRI)の普及に、ともに努めてきたことが受賞理由でした。私の全世界での活動により、狭心症や心筋梗塞に苦しんでおられる患者さんが、それまで行われてきた出血性合併症の弊害が大きい足の付け根の動脈(大腿(だいたい)動脈)からの治療ではなく、より安全で負担が少ない手首の動脈(橈骨動脈)から治療を受けられるようになりました。

世界で唯一の医師として受賞 必死の努力のなかから新発見

EuroPCRと並んで、カテーテル治療で最大規模の国際学会である米サンフランシスコで開催されたTCT(経カテーテル心血管治療学会)2019で、先月27日、私はGeoffrey(ジェフリー) O. Hartzler(ハツラー) Master Clinical Operator Award(ハツラー記念カテーテル治療名人賞)という栄誉ある賞を、3000人以上収容する大会場で、全世界で唯一の医師として受賞しました。TRIの全世界への普及のみならず、治療困難な心臓の血管の慢性完全閉塞病変に対する治療法の発展に尽くした功績。さらには数々の新しい医療機器を用いて心血管病の治療手技に関する国境を越えた臨床試験を遂行し、全世界の人々に、新たな治療手段を提供してきたという実績に対して、この賞は贈られました。

授賞式では、心血管インターベンションの世界で双璧であるマーティン・レオン先生とグレッグ・ストーン先生にはさまれ、大聴衆の前で矢継ぎ早の質問に答えねばなりませんでした。そのなかで「この歴史的な賞の受賞は大変な栄誉です。これまで私の活動を支えてくれたすべての方々、多くの患者さんたち、同僚、家族の助けによるものです。ありがとう」と答えました。

神奈川県鎌倉市で31年間働いてきた私は、狭い殻に閉じこもってしまってもおかしくはありませんでした。しかし、次々と受診される患者さんを診療するなかで、これまで教育を受けて得た知識や技術のみでは解決できない患者さんに出会いました。

必死に事態を解決しようとする努力のなかから、新たな医学上の発見が生まれました。ひとりの患者さんから得られた新たな知識や技術は、その患者さんのためにも、全世界の人々によって共有できる知識や技術にせねばなりません。それが臨床医として、医学をさらに発展させ、より良い治療や診断に多くの患者さんを導くため、責務であると確信します。この責務を果たすためには、全世界の医師が知識を共有できるように、(可能な限り英語で書かれた)論文として発表する必要があります。これにより鎌倉から世界の医学の発展に尽くすことができました。自分の力のみでは、ここまで来られなかったことも忘れてはなりません。コメディカルや事務職員の助けも必要でした。

教育でも徳洲会は責務負う 言語や政治など壁を超えて

企業寿命30年説というものがあります。どんなに優れた勢いのある組織でも、発足後30年で勢いがなくなり、寿命を迎えることが多いと言われています。一方、徳洲会は1973年に発足してから今年で46年が経ちながらも、なお前進を続けています。これは徳洲会が社会や世界の変化に応じ、自らの形態を適合させながら、医療の変化と医学の進歩を自ら取り入れてきたからこそと言えます。今や世界でもトップレベルの医療グループとなった徳洲会には、世界の医療と医学の双方の発展に対して、相応の責務があります。

2020年4月、いよいよ湘南鎌倉医療大学が開校します。教育という重要な分野でも徳洲会は責務を負います。これらの責務を実践するには、全職員の強い意志と、それにともなう変革がこれまで以上に必要です。徳洲会で働きながら、科学の一分野としての医学の発展に貢献することは、心を豊かにします。

医療は言語、民族、歴史、地理あるいは政治などの障壁を超えて、全世界に拡散していきます。これからも“生命だけは平等だ”の理念を実践していくため、皆で頑張りましょう。

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