徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

井上 和人(いのうえかずと)(鎌ケ谷総合病院院長(千葉県))

直言 生命いのちだけは平等だ~

井上 和人(いのうえかずと)

鎌ケ谷総合病院院長(千葉県)

2019年(令和元年)6月24日 月曜日 徳洲新聞 NO.1190

職員の幸せこそ病院の進歩には必要
勤務に意欲的に取り組める体制構築
将来を確定させずに新しいことにも挑戦

鎌ケ谷総合病院の院長に4月1日に就任しました。前任地の大日徳洲会病院(千葉県)は許可病床122床のうち、稼働が10%程度と低迷していましたが、徳洲会グループのバックアップならびに同院スタッフと応援の皆様の熱意、そして地域の患者さんに支えられ、病院としての機能は徐々に回復しています。大日病院では医師会の行事や、近隣の学校医として授業にも参加、生徒の皆さん全員から作文をいただくなど“地域に支えていただく病院”ということを勉強させていただきました。

鎌ケ谷病院は徳洲会グループの超規模病院のひとつです。外来患者数は1日平均で800人前後、そのうち約90%は近隣のリピーターで占められており、当院もまた地元からの期待が高い病院です。救急医療体制はもちろんのこと、がん診療では放射線治療、緩和ケア病棟、また傘下に介護老人保健施設(老健)も備えた総合医療施設として、頼りにされています。

最初の目標は研修医受け入れ 医療体制安定にも大きく寄与

院長として、私の仕事は当院をさらに進歩、発展させるべく、目標を定めて突き進むことだと心得ています。最初の目標は、一般社団法人徳洲会の鈴木隆夫理事長に命じられた「臨床研修病院として研修医を受け入れる」ことです。教育病院となることで、当院のスタッフ自身の成長につながるだけでなく、医療体制の安定に大きく寄与します。周囲のグループ病院の協力もいただき、できるだけ早期に実現したいと考えています。目前の診療体制の充実も急務です。小児科、脳神経外科は常勤医を確保することができましたが、循環器科の再開も急がねばなりません。周辺には循環器系疾患を診るクリニックがほとんどなく、新患、心不全、治療後の患者さんの受け皿が必要です。

もうひとつ大切なのは、職員が勤務に意欲的に取り組めるような体制を敷くこと。鈴木理事長の言葉にもあるように、「職員の幸せこそ病院の進歩には欠かせない」と考えています。私自身、入院するような病気になった唯一の経験は鎖骨骨折での手術ですが、その時のスタッフの心遣いがとても素晴らしく大変勉強になりました。親切な対応は教育や指導もさることながら、まず職員の心が安定してこそ可能になると思います。

肝臓がんの治療や肝移植など技術的リーダーであり続ける

大型機械の設計士であった父は、医学部進学を決めた私に「将来が決まっていて楽しみがない」と言って、良い顔をしませんでした。しかし、自身が描いた一本の線が、わずかに細すぎたり、短かすぎたりするだけで、組み上がった機械全体が動かなくなることを何度も聞かせられたことが、私の仕事(手術)に影響を与えてきたと思います。

私は最初に心臓血管外科を、その後、肝臓外科を専門に選びました。以前は、肝臓は切っても止血が難しく、切り口を焼いても縫っても血液や胆汁がとめどなく漏れ出てくるため、術後にほとんどの患者さんが亡くなっていました。しかし、1980年代後半に幕内雅敏(まくうちまさとし)医師らの研究により、術中超音波検査と流入血遮断によって肝臓の内部構造がリアルタイムにわかるようになり、今ではどんな場所にある腫瘍でも正確に切り取ることができるようになりました。肝臓がんの治療や、その後に始まった肝臓移植などの分野でも、日本は技術的リーダーであり続けています。私は早くから術者として携わる幸運に恵まれ、海外の手術にも参加してきました。正常な肝臓が残らないのではと思うような多発肝転移の患者さんでも、切除によって長期生存どころか治るケースがいくつもあります。少しでも気になる患者さんがいらっしゃいましたら、いつでも気軽に声をかけてください。

そして父の言葉どおり、将来を確定させず、新しいことにも挑戦していきます。海外での手術やTMAT(徳洲会医療救援隊)への協力を考えています。

当院は創立12年を迎えました。建物自体は、まだ新築の美しさを保っていますが、患者さんやスタッフの動線が長いのに加え、エレベータが不足しているため、移動や移送に時間がかかります。手術室の数が規模に似合わず少なく狭いのも問題です。東日本大震災被災による建物の損壊も表面化しています。これらはすぐには解決できませんが、知恵を絞り、乗りきっていけるよう職員一同、今後も努力してまいります。皆で頑張りましょう。

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