2019年(令和元年)5月13日 月曜日 徳洲新聞 NO.1184 一面
福岡病院&中部徳洲会病院
スーパーICU施設基準クリア
徳洲会グループでは宇治病院に続き
福岡徳洲会病院と中部徳洲会病院(沖縄県)はそれぞれスーパーICU(特定集中治療室)の施設基準をクリアした。これにより、両院は専門的な経験をもつ多職種によるハイレベルな集中治療を提供、重症患者さんの早期回復に貢献する。徳洲会グループでは宇治徳洲会病院(京都府)に次ぐ施設基準取得だ。
福岡病院では江田センター長(前列中央)を中心にチーム医療を展開
2014年度の診療報酬改定により、医師の経験年数や臨床工学技士の常時勤務など要件が必要となる特定集中治療室管理料が新設された。さらに18年度の改定では多職種による早期離床・リハビリテーションの取り組みにかかわる評価(加算)が新設、同管理料1と2の施設基準に専門性の高い看護師の配置も要件化された。この施設基準を取得したのが、いわゆるスーパーICUだ。
宇治病院は14年12月に基準をクリア。現在、同管理料1を算定している。ICUは10床。いち早く達成した要因として末吉敦院長は「私が日本集中治療医学会に関連する学会に所属し、情報収集が早かったからだと思います。人員をそろえ、質の高い医療を行うことが、さらに経営安定の一助につながるため、新しい情報にはアンテナを張っています」と振り返る。
「高度な医療を絶え間なく継続していきます」と伊波部長
福岡病院は1床当たり20㎡以上の基準を満たすための改修工事を昨夏に完了。江田陽一・集中治療センター長に加え、18年9月に宮内善豊・同センター部長が着任、10月に施設基準をクリア、同管理料2を算定している。ICUは14床。
同院ではスーパーICUになる前から、専従の薬剤師や理学療法士、管理栄養士を配置。毎朝、多職種によるチーム回診を行い、治療方針など共有。回診時のプレゼンテーションは各職種が曜日ごとに担当するため、医師に頼るだけでなく、それぞれが患者さんの病態の把握に努めている。こうした取り組みにより、質の高いケアを提案できる体制を構築している。
ICUからの早期離床にもこだわり、現在、ICUの平均在室日数は2.7日だ。江田センター長は「原則として入室翌日からリハビリを開始したり、ICUの管理栄養士からNST(栄養サポートチーム)につなげたりするなど早期介入を心がけています。各科の主治医が気付かないことを多職種でサポートし、病棟に移っても継続してもらうことで、患者さんの早期回復を目指します」と意気込みを見せる。
チーム医療を大切に
「人材育成が急務」と照屋・看護部長(左)、宮里・看護師長
中部徳洲会病院は今年1月に施設基準をクリア、同管理料1を算定している。16年4月の新築移転時には施設基準を満たす広さでICUを設計。17年4月に伊波寛・集中治療部部長が入職、段階的に医師が集まり、基準クリアに向け本格的に動き出した。呉屋済仁・事務部長は「ICU体制の充実により、循環管理の必要な重症患者さんを病棟からICUに移せたので、病棟の負担が軽くなりました」とアピール。
1床当たり20㎡以上が施設基準のひとつ(写真は中部徳洲会病院)
ICUは10床。同管理料算定に必要な重症度判定を実施することにより、多職種間の患者さん情報の共有がスムーズになった。また、ベッドコントロールには毎朝行うカンファレンス(検討会)だけでなく、NEWS(早期異常発見システム)も活用。伊波部長は「高度な医療を絶え間なく継続するため、ICU内の看護師や臨床工学技士だけでなく、関連した診療科との連携も大切にしています」と胸を張る。
ICUに専従する宮里典子・看護師長は「スーパーICUの施設基準をクリアしたことでスタッフの意識も高まっています。ICU看護は幅広い知識が必要なので、医師による定期的な勉強会などスキルアップの機会を増やしています」と意欲的。今後の課題について照屋いずみ看護部長は「ICUを2床増やす計画があるので、看護師の育成が急務。技術だけでなく、患者さんやご家族を精神的にも支えられる看護師を育てていきたいです」と展望している。