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直言

Chokugen

篠崎 伸明(しのざきのぶあき)(医療法人沖縄徳洲会副理事長 湘南鎌倉総合病院(神奈川県)院長)

直言 生命いのちだけは平等だ~

篠崎 伸明(しのざきのぶあき)

医療法人沖縄徳洲会副理事長 湘南鎌倉総合病院(神奈川県)院長

2019年(平成31年)4月29日 月曜日 徳洲新聞 NO.1182

つねに勉強・工夫・努力して自問自答
質の高い対応を続け伝説のサービスを
患者さんにもっと関心をもつ姿勢が大切

「私は、あなたが毎朝ここにいるから、この病院に通っています」――ある患者さんがアンケートに書き綴った文章の一部です。さて、誰のことかと職員に尋ねてみると、きっと野崎さんではないかということで、「あなた」を見つけ出しました。約1年半前から当院の玄関で交通整理をしている女性でした。美術大学を卒業し、当院でパートの仕事をしているそうです。お会いしたところ、彼女は目を輝かせて、いろいろな患者さんとの出会いと、たくさんの感動的な話をしてくれました。自分にとても合った仕事に巡り合えたと喜んでいました。将来は、自分の描いた絵で生計を立てたいという希望もあるようです。

送迎の巡回バスを利用されている年間60万人の患者さんをはじめ、職員、お見舞いの方々など、当院には毎日延べ8000人の出入りがあります。いつもニコニコされ、ご高齢の方々に優しく声をかけている野崎さんを見ていると、病院が、こうした職員にも支えられていることを、あらためて実感しました。

退院後の声かけにより患者さんの不安を軽減

お褒めの言葉、お叱りの言葉などアンケートに答えてくださった方は、病院への期待をもっていただいているからと考えています。一般的に私たちが患者さんを失う一番の原因は、患者さんに対する職員の無関心と言われています。いやな思いをされ、もう二度と来ないと思った方はアンケートにも答えていただけないはずです。

病院の隣に住んでいる方でも、退院すると病院が遠くなり不安になると言われます。そんな時、職員の声かけが、どれほど患者さんの不安を取り除いていると思われますか。退院患者さん、救急車で来院され帰宅された方への電話訪問は大変喜ばれています。これからは職員が一人ひとりの患者さんに、もっと関心をもって対応する姿勢が、さらに大切になってきます。

私たちが患者さんに提供するサービスには、中心的サービスと補助的サービスとがあります。たとえば中心的サービスは診療放射線技師なら、患者さんのエックス線被ばくを最小限にして、診断のために質の良い画像を撮ることです。また、外科医なら、患者さんが早く退院できるように合併症のない手術を安全に行うことです。それぞれの職種によって、患者さんにとっては当たり前で、最も大切な代用が効かないサービスです。

一方、補助的サービスは職種にかかわらず、患者さんに笑顔で接したり、説明を十分にわかりやすく行ったり、医師なら頻繁に患者さんのベッドサイドに行ったりするなど、足りなければ他で代用が効くものです。患者さんにとって中心的サービスは期待する当たり前のもので、おろそかにすると不満になります。その点、補助的サービスは充実すればするほど患者さんに喜ばれ、時に伝説のサービスとなります。「ガソリンスタンドで売っているのはガソリンだけではない。道案内も重要な商品」と言われるのも補助的サービスの表現のひとつです。

理念を引き継いでリピーター増やすのが生き残る必要条件

救急外来を受診された患者さんへの訪問診療、退院患者さんや救急搬送され帰宅された方への電話訪問、医師による公開講座などもイノベーティブ(革新的)な補助的サービスです。患者さんやホームドクターに、いつも選んでいただけるように私たちは、これらのサービスの提供のために、つねに勉強し、工夫し、努力して、何を望まれているか、患者さんのためになっているのか、自分たちは地域で必要とされているのか、自問自答し続けなければなりません。いわゆる伝説のサービスと言われている多くのものは、作話(さくわ)とされていますが、それは「あの会社なら、これくらいやっても不思議じゃない」、「あの会社ならきっとこうするだろう」と思われるほど、それらの企業はサービスの提供をブランド化できているからだと言われています。

つねに患者さんを思い、良質な対応を提供し続けることで、伝説のサービスが独り歩きする。これこそが私たちに求められているような気がします。健康と生活を守る病院として、安心な地域社会を目指し、徳洲会の理念を引き継いでいくことが、リピーターを増やし、徳洲会が長く生き残る必要条件になります。80歳の患者さんに、「私は、この病院で生まれたんです」と言われるような病院になることを想像し、皆で頑張りましょう。

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