徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

水田 博之(みずたひろゆき)(徳之島徳洲会病院(鹿児島県)副院長)

直言 生命いのちだけは平等だ~

水田 博之(みずたひろゆき)

徳之島徳洲会病院(鹿児島県)副院長

2019年(平成31年)3月11日 月曜日 徳洲新聞 NO.1175

医療者にとって最も大切な資質は
患者さんに寄り添う「心のある人」
患者さんがいる限り原動力は枯れない

皆さん、こんにちは。徳之島徳洲会病院で総合内科を担当している水田と申します。

私は兵庫県明石市に生まれました。兵庫県立明石高等学校を卒業後、大阪府立大学工学部経営工学科(当時)に入学し、同大学院に進学。大学院修了後、NECという会社に入社したものの、わずか1カ月で退社し塾の講師をしていました。

ちょうどその頃、父が病に倒れました。腎臓がんで、すでに全身に転移し、手の施しようがない状態でした。私は、いても立ってもいられず、何とか父を助けたい思いから医学部への進学を決意したのです。父の病状は日に日に悪化し、亡くなる直前は病室から大学に通う日々。父が息を引き取る瞬間も病室にいました。己の無力さを痛いほど思い知らされると同時に、がん患者さんのご家族の苦しみを、身をもって知りました。

医学部卒業後は、ご縁があり徳洲会に入職。徳洲会創設者の徳田虎雄先生も、子どもの頃に病で弟を亡くされたと知りました。弟の治療のために奔走する徳田少年の姿は、父を助けようとして医師を志した私と、どこか似ている気がしました。

新築移転に向け全職員が団結 建物・設備以上に人材が大切

徳之島は美しい海に囲まれ、緑の木々が生い茂り、水源豊かな山をもつ素晴らしい島です。ここに暮らすおじいさん、おばあさんにも都会と同じ水準の治療を受けていただくことが私の願いであり目標です。離島やへき地では十分な医療資源や人材が得られず、都会で行える検査や治療ができないことが間々ありますが、グループ病院の先生方や応援スタッフのおかげで、一定水準の医療を保つことができ、感謝の念に堪えません。

当院は築30年以上が経過し、患者さんに不自由をおかけしていることと思います。今、当院は新築移転に向け、職員が一致団結して取り組んでいる最中です。新病院設立にあたり、建物・設備(ハード)以上に大切にしなければならないものがあります。それは人材(ソフト)です。

医師をはじめ医療従事者として最も大切な資質とはいったい何でしょう? 頭脳でしょうか? 体力でしょうか? それとも器用さでしょうか? 私が考える最も大切な資質は、「心のある人」です。「心のある人」とは、患者さんに寄り添う優しい心をもった人のことを言い、人が困っている時、必ずそばにいて助けてくれる人です。

患者さんに限らず、ご家族やスタッフ、地域の方々なども含め、困っているすべての人に救いの手を差しのべる心をもつことが大切だと思います。「心のある人」は相手の悲しみをよくわかってもくれます。多くの医療従事者は患者さんが亡くなった時、自然と涙を流します。

本来、医療従事者の誰もが心の奥底にそういった優しさをもっているはずですが、日々、慌ただしい現場にいると、何かしら理由を付けて封印してしまったりする時もあります。しかし、心を開いた医療従事者は、とても心強く、さまざまな病に苦しむ患者さんに寄り添い、つねにベストを尽くします。当院の職員が、すべてこのような「心のある人」になれるよう鍛えていかなければなりません。

患者さんから「ありがとう」天国の父からの言葉のように

私は、よく患者さんから「先生のその元気はどこから来るの?」と、質問されます。私は父を助けるために医師になりました。しかし父を失い、その目的を果たすことはできませんでしたが、私は目の前にいる患者さんは私の父であり、母であり、兄弟だと思っています。父を助けるために医師になり、知識や技術を得た今、その力を病に苦しむ目の前の患者さんに使い、助けることこそ私の使命と確信しています。患者さんからの「ありがとう」という感謝の言葉は、まるで天国の父が私に言っているようで、私にとっては無上の喜びです。

この喜びこそが私の原動力となっています。患者さんがいる限り、この原動力が枯れることはありません。だからこそ、毎日、元気にモチベーションを保って治療にあたれるのです。

この美しい島に住む患者さんを助けるために、「心のある人」を育て増やさなければなりません。そして地域になくてはならない真の拠点病院になることを夢見ます。これからも島民の方々が安心して暮らせる徳之島であり続けるよう、職員一同、努力してまいりたいと思います。

皆で頑張りましょう。

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