徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

直言

Chokugen

山之上 弘樹(やまのうえひろき)(静岡徳洲会病院院長)

直言 生命いのちだけは平等だ~

山之上 弘樹(やまのうえひろき)

静岡徳洲会病院院長

2018年(平成30年)8月20日 月曜日 徳洲新聞 NO.1147

救急から療養までケアミックスの強み
生かし地域包括ケアのハブ病院目指す
地区医師会に入会し顔の見える関係構築

当院は静岡市に開院して14年目を迎えました。静岡市は人口70万に対し、公的病院がひしめき合う一方、全県的にも強力な民間病院は非常に少なく、公の力が大変強い地域です。

また医師会が市内の病院との連携に昔から力を入れており、各病院との病診連携の会合を通じ、顔の見える関係を築いているのも特徴のひとつです。当院に長年通院している患者さんが、夜に熱が出ると、なぜか当院ではなく、医師会の急病センターを受診することがあり、悲しい思いをすることもしばしばです。

しかし昨年、静岡市静岡医師会に入会後は静岡市、あるいは医師会主催のさまざまな会合に出席するようになり、多くの公的病院の先生と顔の見える関係ができつつあります。地域の開業医の先生への広報活動も展開しやすくなり、当院を取り巻く環境は改善しつつあります。

「やりたいことではなく求められることをやる」

地域医療を守っていくために当院がすべき役割は何でしょう。

鹿児島徳洲会病院の池田佳広(よしひろ)院長は「病院はやりたいことをやるのではなく、求められることをやるのです」と徳洲会の院長研修会で話されていました。

静岡市内では年間3万件以上の救急車出動回数があり、年々、増加傾向にあります。静岡市は救急に対し病院輪番制をとっており、小児科専門病院を除くと、市内の8病院が輪番を担っています。基本的に救急隊は、その日の輪番病院に運びますが、なぜか、脳外科も循環器科も現在は外科もない当院が、昨年度はふたつの輪番病院の救急搬送受入件数を上回っていました。

現在の輪番体制は盤石ではありません。ただ、病院間の転送は比較的スムーズであるため、患者さんの大きな入り口である救急については、初療は当院で行い、対応できない場合は他院に転送し、当院で加療可能な場合はそのまま入院、加療とする体制を強化していきたいと思います。この分野は公的病院がひしめく当地でも、伸びる余地は十分あると考えます。

一方、高度急性期医療を扱う病院は、入院患者さんをどんどん退院させなければなりませんが、回復期の受け入れ先は十分でなく、居宅系の施設にも多く退院しているようです。しかしながら、他院で退院した患者さんの訪問診療を行っていると、「これで退院させたか……」とリハビリテーションなどの不足を感じることが時々あります。

地域包括ケア病棟の開設や介護医療院への転換を考慮

医療療養病棟、障がい者病棟をもつ当院での経験上、高度急性期を担う病院から「回復不可能」と言われ、当院に転院して来られた患者さんのなかには、驚くような回復を見せた方が少なからずいらっしゃいます。

また慢性期であっても、急性期の技術と医療機材のバックアップがあればこその回復例も存在します。「もう少し気を付けて診れば、もう少しケアできれば、もっと良くなるのに」という患者さんが、実際に回復されていくのは、ケアミックス(急性期・回復期・医療療養病棟という複数の機能をもつ病棟で構成)の醍醐味であり、強みとも言えるでしょう。

ただ、当院は回復期リハビリテーションの力がまだ弱く、強化する必要があると考えています。この点については地域包括ケア病棟の開設に加え、未開棟の医療療養病棟の枠を介護医療院(4月の介護報酬改定で新設)に転換することも考慮中。

まず地域包括ケア病棟の開設により、急性期病棟での患者さんのリハビリを地域包括ケア病棟で継続し、より良い状態で在宅や居宅系介護施設に戻っていただくことが可能になります。さらに未開棟の医療療養病棟を介護医療院に転換することで、現在の医療療養病棟の医療区分1(一定の医療処置、神経難病、肺炎、感染創などが対象となる医療区分2や3以外)の方が、介護医療院に移動できます。開棟している医療療養病棟では、時間をかけ状態を改善し、居宅系施設への退院を目指す病棟に進化させることができます。

こうした施策により高度急性期からの退院を早い段階で受け、状態を改善させ、在宅あるいは介護施設、地域に戻す機能を強化することが可能です。当院は入り口となる救急、出口となる地域への退院という双方の機能を発揮することで、地域包括ケアのハブ(連携拠点)病院になれると考えます。高齢化は当院にとっては大きなチャンスです。

皆で頑張りましょう。

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