徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

直言

Chokugen

鈴木 隆夫(すずきたかお)(一般社団法人徳洲会理事長(東京都、大阪府))

直言 生命いのちだけは平等だ~

鈴木 隆夫(すずきたかお)

一般社団法人徳洲会理事長(東京都、大阪府)

2018年(平成30年)5月28日 月曜日 徳洲新聞 NO.1135

ロボットによる業務の自動化を推進して
職員はきめ細かく親切に患者さんに応対
AIの診療サポートで離島・へき地医療も改革

今月、米国プリンストンにあるシーメンス社のAI(人工知能)先端技術開発施設を視察に行きました。AIを用いた画像処理によってX線やMRI(磁気共鳴画像診断装置)などの画像や動画が、目を見張るほど鮮明でリアルなものになるのを目の当たりにし、医療の新時代に思いを馳せるとともに心が震えました。さらにAIは臨床データばかりでなく、遺伝子情報から伝令RNA、微小RNAまでも網羅した検査データを学習し、診断を導き出します。この仕組みに内視鏡診断や病理診断も組み込まれ、総合的な結論を出すように進化していくでしょう。

徳洲会グループは10年前から電子カルテシステムの統一を進め、今や1140万人分もの臨床医療のビッグデータを蓄積。先進各国の企業が、しのぎを削り開発中のAIとの組み合わせによる次世代医療に、大きな可能性を感じずにはいられません。

とくに効果が期待されるのが、日本の離島・へき地、そして開発途上国の医療です。医師数も限られ、ひとりの医師がさまざまな疾病に対応しなければならない現状が、AIのサポートによる診療が可能になれば、都市部と同等の医療サービスを提供できるようになるでしょう。「いつでも、どこでも、誰でもが、最善の医療を受けられる社会」の実現に向け大きな一歩を踏み出します。さらには健診による未病データの蓄積によって、有病に至るまでをAIを用いプロセス化することで、画像や検体検査データから、その人の20年先、30年先の病気の発生率を予測できる時代となりました。ビッグデータとチャレンジ精神で、徳洲会グループは有力研究所と共同研究を行い、最先端の未来を切り開きたいと考えています。

1980年代に30年と言われた企業の平均寿命も、現在ではわずか5年。人件費の膨張や人材確保に悩む企業が増えるなか、AIやRPA(ロボットによる業務自動化)の導入で、メガバンク3行は、10年間で計3万人分超の業務削減計画を打ち出しました。RPAは人事、経理、総務といったバックオフィス業務やルーティンワークを代行します。ある企業では熟練スタッフ10人の作業を新人ひとりで処理できたと言います。

事務作業の効率化・高度化は診療部門に先駆け対応すべき

いまだ労働集約型の医療界では、事務作業の効率化・高度化の遅れが深刻な問題となっており、診療部門に先駆けて解決すべき課題と考えています。

徳洲会グループには3万2235人の職員が在籍し、そのうち事務職員は5219人と全体の16%。診療報酬の計算や勤怠管理、給与計算、資材の購入などに多くの人材を費やしています。患者さんと直に接する診療部門も、データ入力や書類作業で患者さんと向き合う時間が削られているのが実情です。

RPAは利益追求の道具ではなく、より多くの職員を単純作業から解放し、待合室のカウンター内や事務室から外に出すための手段です。受付や清算業務は合理化され、患者さんの待ち時間が大幅に短縮。病院は患者さんにとって、もっと敷居の低い場所になるでしょう。RPAによって解き放たれた職員は、ロボットにはない優しさと温もりをもち、患者さんにきめ細かく親切に応対できるからです。

徳洲会は独立採算ができる仕組みを生み出し水平展開

急激に変化し続ける時代の荒波の先頭で、私たちは今後も知恵を絞り、汗を流し続けなければなりません。多くの公的病院が補助金を得て運営されるなか、徳洲会は必死に独立採算ができる仕組みを生み出し、グループ内に水平展開してきました。

今年4月、新たに施行された臨床研究法に基づく「認定臨床研究審査委員会」に民間では唯一、医療法人沖縄徳洲会が認定。これにより多くの大学病院や医療機関からも特定臨床研究の審査依頼がきています。

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)と公立の大学病院との連携大学病院構想も軌道に乗り、湘南鎌倉病院に勤務しながら博士号を取得することも夢でないばかりか、特定機能病院の取得も視野に入ってきました。シーメンス社のAI研究拠点には、国境や人種、宗教などを越えた若き天才たちの集団がありました。彼らは40歳を過ぎたら大学に戻り、最先端の統計学や数学などを学び直すことを奨励されています。

徳洲会の研究拠点や2年後に開校を目指す医療大学でも、そんな集団をつくりたいと夢見ています。皆で頑張りましょう。

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