徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

直言

Chokugen

篠崎 伸明(しのざきのぶあき)(医療法人沖縄徳洲会副理事長 湘南鎌倉総合病院院長(神奈川県))

直言 生命いのちだけは平等だ~

篠崎 伸明(しのざきのぶあき)

医療法人沖縄徳洲会副理事長 湘南鎌倉総合病院院長(神奈川県)

2018年(平成30年)1月15日 月曜日 徳洲新聞 NO.1116

45年目の徳洲会は成熟し続ける
組織として資質が問われる時期
JCIで患者さん目線の病院評価始まる

「主治医は毎日、会いに来ましたか?」、「手術の前に、切られる場所に印を付けてもらいましたか?」、「氏名と生年月日を何度も確認されましたか?」。

「病院の職員が手を洗っているところを何度も見ましたか?」、「ところで、今回、あなたは何で入院して、その目的は達成されましたか?」、「入院した時に、オリエンテーションや患者の権利について説明を受けましたか?」、「病院に不満や何か改善してほしい点はないですか?」。

これらは、昨年末に湘南鎌倉総合病院(神奈川県)で受けたJCI(国際的な医療機能評価)の模擬サーベイ(調査)の一場面です。その日の退院患者さんへのインタビューというセッションが、今回の審査基準改訂で創設されました。インタビュー室から、当院の医師、看護師は退席させられ、審査員が3人の患者さんから聞き取った質問の一部です。今までの医療従事者からの視点に加えて、明確に患者さん目線の病院評価が始まったと言えるでしょう。

従来の医療のプロセス(経過)、アウトカム(結果)指標は医療側からだけのものでした。院内感染発生率、転倒・転落数、がん治療の成績、予期せぬ急変患者数など多くの指標が、改善のサイクルのなかで目標となってきました。これらは今後も非常に大切なものですが、治療成績が中心になりがちな現場で、患者さん目線を忘れかけていたことを今回、反省させられました。

現在では、同じ種類のがんでも、たくさんの治療方法があり、それぞれ治療成績が異なります。私たちは、一番生存率の高い方法を勧めますが、本当に患者さんが望んでいること、ご家族や大切な人が望んでいることは何なのか、治療の後遺症は容認できるものなのか。退院患者さんから率直な意見をうかがう体制をつくり、私たち医療者中心の見方を根本的に考え直さなくてはなりません。一人ひとりの入院患者さんのニーズに応えられる病院こそが、これから選ばれる時代になると思います。

世代越え受け継がれる理念 職員がもち続けること必要

徳洲会が生まれて今年で45年目を迎えました。一般的には30~40年で後継者が企業を引き継ぐケースが多いようです。民間病院は建て替えや後継者問題により、閉院に追い込まれることがまれではありません。徳田虎雄・前徳洲会理事長というカリスマから、後継者の鈴木隆夫理事長が中心となり、今や3万人を超す職員を抱える組織として、徳洲会が発展し続けていることは大変意義のあることです。一般企業であれば、これから未来志向・先見的組織として、また成熟し続ける組織として資質が問われる時期でもあります。

長い歴史をもつ多くの民間企業には、共通した点がいくつかあります。第一に理念です。

「私の弟は、貧しいがゆえに夜間の往診を断られ幼くして亡くなった」。これは徳田・前理事長の幼少期の実話です。先日の朝礼で、この事実を知っている職員が少なくなっている現実に驚きました。「生命だけは平等だ」という普遍的な理念を守り続けるための実話であり、このことは徳洲会が組織として、これからも継続していくために語り継がなければならないことです。徳洲会病院には、家族を養うために働いている人、技術をさらに高めるために働いている人、徳洲会をもっと良くしようとしている人など、さまざまな職員がいます。徳洲会が今後も活動を許されるには、組織文化として、世代を越え受け継がれる深く根付いた基本的価値観である理念、目的意識を職員が共通にもち続けることが必要です。

二つ目は、組織内から次々とリーダーが輩出され、組織の継続性が保たれているという点です。組織の外からではないということです。私たちはこれからも続く徳洲会の歴史で、“今”を担当しています。

明日にはどうすれば今日よりうまくやれるかを考える努力

三つ目は、利益を最初の目標にしていないということです。さまざまな社会貢献を行い、最終的に利益を得て存続しています。徳洲会は今もなお、東南アジア、アフリカ諸国の腎不全患者さんに透析治療を通じ、無償で手を差し伸べています。災害があれば、TMAT(徳洲会医療救援隊)が駆け付けます。

そして最後に、組織を賭ける大胆な目標をもち、危機感を絶えず抱えながら、明日にはどうすれば今日よりうまくやれるのかと考えている点です。

皆で頑張りましょう。

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