徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)12月25日 月曜日 徳洲新聞 NO.1114 一面

新たなESD手技に熱視線
永田・湘南藤沢徳洲会病院医長
世界で初となる原著論文を発表

湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)肝胆膵(すい)消化器病センター・内視鏡内科の永田充医長(兼内視鏡センター副室長)は、大腸の腸管内を生理食塩水(生食)で満たしESD(内視鏡的粘膜下層剥離(はくり)術)を施行する「大腸腫瘍に対するUnderwater ESD(UESD)」に先駆的に取り組んでおり、これをテーマにした英語論文が消化器内視鏡分野のトップジャーナルである「Gastrointestinal Endoscopy(GIE)」に掲載が決まった。他のジャーナルを含めUESDに関する世界初の原著論文となる。

生理食塩水で腸管を満たし手術

「UESD の目的は穿孔リスクを下げ、より安全に手術を行うことです」と永田医長 「UESD の目的は穿孔リスクを下げ、より安全に手術を行うことです」と永田医長

ESDは、がん細胞の浸潤が粘膜下層までにとどまる早期の消化器がんを、電気メスで内視鏡的に切除する手技。食道、胃、大腸のそれぞれに保険適用があり、広く普及している。

永田医長は約500例のESDを経験。UESDは2015年に開始、約30例施行。従来のESDはCO2(二酸化炭素)を送気し消化管をふくらませて行うが、UESDは腸管内を生食で満たした状態で行う。

永田医長は「メリットは視野が良くなる、浮力が得られる、吸熱効果がある、この3点です。穿孔(せんこう)リスクを下げ、より安全に手術を行うのが目的です」とアピール。

良好な視野が得られるUESD(右)。左は従来のESD 良好な視野が得られるUESD(右)。左は従来のESD

視野に関しては、従来のESDの場合、粘膜下層表面が照明に反射して白っぽく写り、粘膜下層の線維化(硬くなること)が強いと筋層との境界が見分けにくくなる。これに対し生食を満たすことで反射がなくなり境界が明瞭になることに加え、視野が約1.3倍に拡大される効果もある(写真参照)。

浮力に関しては、大腸ESDでは通常、体位変換して重力を利用し剥離部分が視野にかからないようにする。だが、操作性や筋層との位置関係の問題から重力を利用できない状況では、UESDを行うことで浮力を利用し、剥離面をフードで押し上げるのが容易になり術野を確保しやすくなる。また水の吸熱効果で、電気メスによる熱損傷を抑えられる。

大腸のなかでも結腸を対象とし、適応は「瘢痕(はんこん)などで線維化が強い症例、脂肪が多く視野が取りにくい症例、病変と筋層の位置関係によりUESDが適した症例に施行します」。直腸は出血しやすく、血液で水がにごると視野不良となるため、基本的に対象からはずしている。

臨床実践で重視しているのは、UESDと従来法のESDの有利なほうを、ケースバイケースで使い分けるという方針だ。

GIEへの掲載論文では、これまでのUESD症例の難易度や治療結果などを分析。いずれも重大な有害事象なしに一括切除でき、有用性と安全性を認めた。10月に福岡県で開催されたJDDW(日本消化器関連学会週間)2017の主演題(ワークショップ)では永田医長の演題が採択され、学会のメイン会場でUESDの手技や手術成績などを発表し、注目を集めた。現在は難易度が高い十二指腸ESDにもUESDを応用しているという。

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