徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

伊波 潔(いはきよし)(中部徳洲会病院院長(沖縄県))

直言 生命いのちだけは平等だ~

伊波 潔(いはきよし)

中部徳洲会病院院長(沖縄県)

2017年(平成29年)12月18日 月曜日 徳洲新聞 NO.1113

離島・へき地病院を支える責任
徳洲会の基幹病院としての自覚
救急患者さん一度も断らなかったのが誇り

新築移転した沖永良部徳洲会病院(鹿児島県)は素晴らしく綺麗な建物で、渡慶次賀博(とけしよしひろ)院長をはじめ職員たちの笑顔があり、私の心は一瞬で晴れました。じつは、私にはずっと心に引っかかっていたことがあったのです。私は2014年8月に同院に最初に入った時、あまりの老朽化と臭気に絶句しました。

同院の新築移転計画には紆余曲折(うよきょくせつ)がありましたが、再び計画がもち上がった時、一般社団法人徳洲会の安富祖(あふそ)久明・副理事長から「沖永良部病院の設計を見てくれ」と言われました。しかし、建築費の高騰、島の人口の減少、そして同院の経営状況から、新病院はダウンサイズせざるを得ませんでした。

私は同院の全部署にヒアリングし、「どこまで小さくできるか」を職員たちと話し合いました。彼らの希望を聞き、設計会社に病院の希望としてお願いしました。そこには職員たちから挙がったさまざまなアイデアが組み込まれていたのです。

2室あった手術室は大手術室1室とし、将来、血管造影装置も入れられる広さにしました。4階療養病棟の浴室は、出入口を別にして効率的に患者さんの入浴が行えるように変えました。

同院は徳洲会の離島病院として初の新築移転ケースで、後に続く離島病院のためにも責任をもって頑張ってもらいたいと思います。また、徳田虎雄・前理事長が、あの騒動のなかでも中部徳洲会病院の新築移転にゴーサインを出したのは、沖縄、そして奄美の離島医療を私たちに託したからだと思います。

徳洲会の基幹病院は前理事長の思いを忘れることなく、離島・へき地の病院を人的・経営的に支える責任があることを自覚しなければなりません。

11月19日の中部徳洲会病院の開院30周年の病院祭には、4000人以上の地域の皆さんが訪れてくださり大盛況でした。徳洲会グループの全国60病院から、それぞれの地元の特産品も送っていただきました。

新築移転し装い新たに再出発 今年2月にはJCI認証取得

開院当初、医師12人、看護師76人、全職員139人でスタートした当院は、現在では医師80人、看護師393人、全職員924人と大きくなり、去年4月に新築移転し、装いも新たに再出発しました。今年2月にはJCI(国際的な医療機能評価)認証を、10月にはJMIP(ジェイミップ)(外国人患者受入れ医療機関認証制度)認証を取得しました。

当院にはひとつの大きな誇りがあります。それは開院以来、救急患者さんを決して断らなかったことです。じつは、院長になってしばらくした頃、ICU(集中治療室)、HCU(高度治療室)をはじめ、すべての病棟で満床状態の日が何日も続きました。当直医の「救急を断っていいですか」という悲鳴に、「断っていいよ」と言ってしまいそうな自分に怯(おび)えた時期もありました。しかし、職員たちは耐え、「救急患者さんを一度も断ったことがない」と胸を張って言えるのは、院長としての誇りです。

世界の医療界の潮流 真の患者さん目線へ

「私、失敗しないので」。あるテレビドラマの女性医師の口癖です。現実には、そんな医師はいませんが、患者さんやご家族はそれを求め、信じて、私たちに身を委ねておられることを忘れてはいけません。私たち医師は失敗しない、合併症のない手術や治療を目指すべきです。

脳神経外科から始まったピアレビュー(手術・手技に関する評価)は、来年度から9診療科に展開されます。ピアレビュー導入に尽力された中川秀光・野崎徳洲会病院院長に敬意を表します。徳洲会のピアレビューは徳洲会グループのベンチマークと比較しながら、自院がもつ潜在的な課題を顕在化させ、「医療安全」と「医療の質」の向上に取り組むのが目的です。

患者さんに有意義な医療を提供するために発足したICHOM(アイチョム)(国際医療成果測定協会)や患者さんの視点から医療サービスの質を評価するために米国政府が開発した統一的な患者評価指標HCAHPS(エイチキャップス)の取り組みなど、世界の医療界は患者さん目線に真に変わろうとしています。

当院の看護部では「退院患者さんを玄関まで見送る」、「退院患者さんにフォローのための電話をする」ことを行っています。今月から個室には洗面用具を常備するようにします。来院された患者さんが病院を出られる時、「この病院を選んで本当に良かった」と思ってもらえるよう、皆で頑張りましょう。

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