徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

直言

Chokugen

海江田 令次(かいえだれいじ)(福岡徳洲会病院院長)

直言 生命いのちだけは平等だ~

海江田 令次(かいえだれいじ)

福岡徳洲会病院院長

2017年(平成29年)6月26日 月曜日 徳洲新聞 NO.1088

地域医療支援病院に指定されている当院
地域の医師・看護師たちの育成任務負う
九州・離島ブロック最大病院としても応える

福岡徳洲会病院は2008年4月、福岡県から地域医療支援病院の指定を受けました。他の医療機関と協力して地域医療を行うだけでなく、他の医療機関・職員に研修を提供する責務も負っています。地元の先生方と研究会や講演会をとおして情報交換を行い、紹介患者さんを増やすことを目指しています。職員たちによる医療機関訪問の頑張りも必要な努力です。

最近、当院の在宅登録数が減ってきたことを懸念しています。地域に病床をもたない在宅診療専門医が増えています。在宅診療専門のクリニックは大型の医療設備が不要で、少ない人員でやりくりできるメリットがあります。しかし、当院のような急変時に対応できる医療機関が後方に控えていることも主張しなければなりません。

当院は初期臨床研修指定病院として研修医を育てる責任もあります。医師だけでなく看護師など医療従事者を育てることも当院にとって大切な仕事であり、社会的責任です。当院で育った初期研修医はこれまで475人に上り、世界中に広がって、いろいろな診療科で活躍しています。離島に赴任している医師も大勢いて、当院から地域医療研修で離島に赴き研修した経験とその時の出会いが離島医療を目指すきっかけになったようです。離島ブロックの指導医が熱血指導したからこそでしょう。当院は徳洲会の九州・離島ブロックのなかで最大の病院です。それだけに期待されている部分が多々あり、それに応えなければならないと思っています。

病院の経営は戦略をもって健全に利益を産み出すべき

二宮尊徳(にのみやそんとく)は「道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である」と言っています。言い換えれば「道徳なき医療は罪悪であり、経済なき医療は寝言である」と言えます。医療は科学的に有用性が示され、社会的に妥当とされる行為でなければなりません。一方、病院の経営は戦略をもって健全に利益を産み出すべきです。徳洲会には「生命だけは平等だ」という理念があり、社会貢献を旨とできているのも戦略がうまく運んでいるからに他なりません。

当院の小児科は医師数10人。午前診だけでなく午後・夕診でも外来患者さんを診ており、火・木・土・日曜は地元医師会の小児科医との輪番制で、午後11時まで診療。夜間の4割が小児科の患者さんという日もあります。ふだん小児科の外来は1日当たり約150人ですが、冬は感染症のせいで3倍に膨れ上がります。診療報酬の多寡ではなく、医療を必要とする患者さんへの適正な医療提供が当院のもうひとつの理念となっています。

NICU(新生児集中治療室)は18床あり、500~700gの新生児も入院中です。極小新生児は大人と大きく違い、特別な医療と看護が必要です。

私は麻酔科医ですが、周術期の患者管理だけでなく、集中治療やペインクリニックなど守備範囲は案外広いです。また、医療安全など病院全体にかかる役割も受けもっています。院長としての大きな役目は人事だと思っています。野球のチームに似て若い人は試合に出さないと育ちません。鈴木隆夫・徳洲会理事長が若返り人事に取り組んでいますが、当院も同様です。育成選手から生え抜きの4番バッターに育てていきます。

健康生活に必要なことを地域内に広めるのも責務

当院は22年前に、日本医療機能評価機構(当時は「病院医療の質に関する研究会」)の審査を受け、福岡県で2番目に認証を取得しました。患者さんに満足していただき、同時に医療安全を求めるのは当然ですが、コストの多寡が問題になります。私たちも国際的な医療機能評価のJCI認証取得を目指しています。病院が一体化して、医療安全と質の改善のため、今より一歩ずつ進んでいきましょう。

07年から外来・入院を問わず、亡くなられた患者さんのカルテをすべて検証し、疑問点のある症例などをカンファレンス(症例検討会)で毎月検討するのも、患者さんの安全を考えてのことです。

院内感染と医療安全については、自発的に大学で勉強し修士号を取得したスタッフもいます。院内だけでなく、健康生活に必要なことを地域に広めることは地域医療支援病院である私たちの責務です。適正な医療の提供と医療安全、研修医を含めた全スタッフの教育・研修に絶えず努力していきます。明日の医療のために、皆で頑張りましょう。

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