徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

平島 修(ひらしまおさむ)(名瀬徳洲会病院内科部長)

直言 生命いのちだけは平等だ~

平島 修(ひらしまおさむ)

名瀬徳洲会病院内科部長

2017年(平成29年)4月3日 月曜日 徳洲新聞 NO.1076

患者さんとの「喜びや感動」も共有し
笑顔あふれる病院で温かみある医療を
奄美大島での離島研修“日本一”を目指す

「奄美大島での離島研修を日本一にしたい。そして、日本の医療を変えたい」という思いで、奄美大島に帰って来て4年が経ちました。これまで瀬戸内徳洲会病院、加計呂麻(かけろま)徳洲会診療所、喜界徳洲会病院、名瀬(なぜ)徳洲会病院(すべて鹿児島県の離島)で初期研修医を指導する機会をいただきました。現在、名瀬病院では徳洲会グループ内の研修医だけでなく、関西医科大学や聖マリアンナ医科大学など大学病院、呉(くれ)共済病院、済生会滋賀県病院、上尾(あげお)中央総合病院など市中病院の研修医も地域医療研修を行っています。

私は11年前、瀬戸内病院で2カ月間の地域研修を受けました。初めて、ひとりで20人ほどの入院患者さんを担当し、一般外来と救急外来、内視鏡検査、訪問診療を同時にこなしつつ3日に一度の当直業務を行っていました。救急対応が重なる場合、タイムマネージメント力を要求されます。指導医も同様に忙しく、すべてをホウレンソウ(報告・連絡・相談)できたわけではありませんでした。

指示漏れや診断・治療のミスが起きないか、研修医2年目ながらにプレッシャーを感じつつ毎日を過ごしていました。当時は自分を含め医師3人というハードな環境でしたが、北原淳詞(あつし)院長(現・名瀬病院健康管理室部長)の「どんなに忙しくても、患者さんの心に寄り添いなさい」という言葉と、1年先輩の原純(はらじゅん)先生(現・鹿児島県立大島病院救急科医長)の「平島君の判断なら僕は信じる。自信をもちなさい」という言葉は、自分の医師人生の柱となっています。

医師人生の最初の2年間はチーム医療実践と社会経験

医学生は、先輩医師から「初期研修の2年間は医師人生において最も重要」とよく言われます。なぜ、最初の2年間がとくに大事なのでしょうか。

多くの最新医療機器に囲まれ、たくさんの専門医がそろう大病院で研修すれば、医師としての成長が約束されるのでしょうか。最初の2年間に医師人生に必要なプレッシャーを浴び、そのなかでチーム医療を実践し、医師というよりも社会人として成長できるかどうかが最も大切だと私は思っています。

徳洲会グループの研修医は、徳洲会の理念のひとつである「24時間、患者さんを断らない救急医療」を実現するため、2年間、猛烈にさまざまな業務をこなします。経験のない1年目の研修医が重症患者さんの初期対応や、暴れまわる患者さんの対応をすることも少なくありません。受け身で大学教育を6年間受けてきた学生生活から、いきなりチームリーダーになるのです。私も研修医の頃、重症患者さんの対応に責任の重さを感じ、足がすくむ思いをしたのをよく覚えています。

研修医が患者さんと良質な関係を築けているかどうかは、医療スタッフへの電話対応でよくわかります。たとえば看護師に対し、あたかも上司になったかのような横柄(おうへい)な態度を取ってしまう研修医は、患者さんと関係がうまく築けていないことが多いです。

しかも、そのほとんどに自覚がなく、患者さんとの関係がうまくいかない理由を人のせいにする傾向があります。しかし、原因を研修医個人の問題にするのは少し違っており、研修医にのしかかるプレッシャーと、それによって生じる感情を指導医がうまく把握できていないところにもあると思います。

研修医が感じる不安と恐怖はスタッフ全員で共有するべき

研修医は患者さんの症状の急変時や経験したことのない状況に「不安と恐怖」を感じます。このような陰性感情に周囲はもっと敏感になるべきです。

この感情を研修医も押し隠すのではなく、指導医のみならず医療スタッフ全員で共有すれば、トラブルは最小限になると思います。また、患者さんとの「喜びや感動」といった陽性感情も隠すことなく共有すれば、温かい職場環境が生まれるのではないでしょうか。

研修医を例に挙げましたが、徳洲会グループは多くの職種で若手が第一線で活躍しています。若手にチャンスが与えられ、指導者が机上ではなく実践のなかで指導する教育方針は、徳洲会の魅力ある伝統です。

医療現場で渦巻くプレッシャーが、新人スタッフにかかりすぎないよう皆で認識・共有し、医療人の笑顔が患者さんの苦痛を和らげるような職場であることを願っています。

皆で頑張りましょう。

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