直言

Chokugen

鎌ケ谷総合病院(千葉県) 院長
増井 文昭(ますいふみあき)

直言 ~ 生命 いのち だけは平等だ~

増井 文昭(ますいふみあき)

鎌ケ谷総合病院(千葉県) 院長

2026年(令和8年)11月02日 月曜日 徳洲新聞 NO.1567

超高齢社会では病気を早期発見・診断し
QOLを守るため日々の診療で積極介入
このパラダイムシフトへの柔軟な対応が要

1990年に慈恵医大を卒業後、「軍隊」と言われていた整形外科に入局、同大柏病院の診療部長を8年間務めた後、千葉西総合病院に赴任しました。人工関節・腫瘍・外傷の三足のわらじを履きながらテーラーメードの四肢再建を行ってきましたが、2025年8月末の夕方、鎌ケ谷総合病院に院長として赴任してほしいとのご連絡をいただきました。分不相応に加えて、あまりに急な話であったため、非常に戸惑いながらの11月の赴任となりました。

「人生100年ドック」&「がん ロコモ・骨緩和外来」オープン

当時、当院は心臓血管外科閉鎖による減収、手術件数および外来患者数の減少に加え、11月の医業収入も前年度比で大きくマイナスとなっていました。私自身、これまで手術畑で生きてきたため、経営は全くのド素人であり、考える暇がないまま日々が過ぎていきました。

その後、26年6月に急性期40床、8月に回復期49床の増床を行いました。これまで331床、病床利用率93%前後の病院の病床を「果たして埋められるのだろうか」という懸念の中、まずは医局会で組織体系、理念、そして経営の方向性を再認識してもらい、「職員一人ひとりが行動すること」を重視して、運営を進めてまいりました。東上震一理事長の方針の下、徳洲会は着実に前進しています。「アドバルーンを揚げなければ何も始まらない」と繰り返し伝え、一歩前へ出る組織をつくり、そして病床利用率100%を目指し、チーム一丸となって進んでまいりました。職員のポテンシャルが高かったため、効果は早期に現れ、増床直後の8月末に急性期病床利用率は、100%超となりました。

今後、成人の軽・中等症患者さんは減少し、軽・中等症の高齢者の救急搬送が増加します。日本は世界に誇る長寿国、今や「人生100年時代」と言われる中で、要介護にならずに生活していくことが重要です。健康とは、充実した人生を送るための手段であり、要介護状態になることは人生の質(QOL)を低下させる大きな要因の一つになります。ひとたび病気になると、元通りの健康を取り戻すには、長い時間がかかります。

大病院が病気を治すのは、当たり前の時代になりました。超高齢社会では、病気を早期に発見し、健康と生活の質を守るために、日々の診療で積極的に介入することが求められます。このパラダイムシフトに柔軟に対応していくことが、重要です。無症候性の病態を早期に発見・治療するうえで、公的医療で行われている健診だけでは、決して十分とは言えません。東上理事長も「プラスαの気配りが重要」と述べられています。当院では、ふらつきなどによる転倒で救急受診された患者さんに対し、細かく検査する方針を打ち出し、頸椎損傷、骨転移、軽症硬膜下血腫、未破裂の脳・頸動脈瘤といった無症候性の病態を発見、早期治療へつなげることができました。

数多くの転移性骨腫瘍の治療経験から、転移を契機に“がん”が発見される高齢者は予想以上に多く、人間ドックなどによる早期発見・早期治療の重要性を痛感しています。早期に発見すれば生存率は、高まり、病的骨折する前に見つかれば、手術を回避できる可能性もあります。高齢者が“元気”でいることは、日本社会にも好影響をもたらします。まずは私の専門領域である“がんロコモ”から着手し、「人生100年ドック」と「がんロコモ・骨緩和外来」を開設いたしました。高齢者の予防医療、ならびに“医療と介護の複合ニーズ”は、大規模病院にとってNew Frontierであり、速やかに対応していくことが肝要です。

開腹・腹腔鏡手術とロボット手術 両輪体制構築し2040年問題へ対応

今のトレンドに乗りつつ、15年、20年先を見据えた体制も整えてまいります。2040年問題は、徳洲会にとってさらなる飛躍のチャンスです。ロボット手術、脳血管治療、トモセラピーなど先進医療に加え、今後は高齢者救急医療の重要性がさらに高まります。これには総合的に判断して低侵襲な術式を選択することが好ましく、開腹・腹腔鏡手術の重要性を再認識し、ロボット手術との両輪体制を構築していく予定です。残された課題は多く、富士山にたとえれば未だ3合目にいる状態ですが、徳洲会グループの一員として、地域医療に貢献してまいりたいと考えております。皆で頑張りましょう。

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