
直言
Chokugen

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直言 ~
四十坊 克也(しじゅうぼうかつや)
札幌南徳洲会病院 院長
2026年(令和8年)10月05日 月曜日 徳洲新聞 NO.1563
今から遡ること15年前の2011年9月、私は故・アルフォンス・デーケン先生が主催する「カナダ・ホスピス視察研修」に参加させてもらいました。トロントやバンクーバーにあるホスピスをはじめ、いろいろな施設を見学させてもらいましたが、そこで感じたことは寄付の文化とボランティア活動が、当たり前のように根付いていることでした。見学したホスピスは10床以下と小さいのですが、運営は政府からの予算と寄付で賄っていました。また医師は常駐せず、看護師が24時間体制でケアをしますが、それ以外の部分でボランティアが大きな役割を担っていました。この視察を通し、何か当院でも参考になることはないかと思いながら帰ってきました。どこのホスピスにもボランティアコーディネーターがいること、ボランティア活動ができる部屋があることが印象的でした。
03年11月、当院に徳洲会グループ初のホスピス病棟が開設されてから、ボランティアグループが組織され、「どうにかなるさ」という意味の“ケセラセラ”から採った『せら』という愛称を付けました。そのボランティアグループがホスピス病棟で活躍しました。毎週のお茶会や病棟の季節の飾りなど、ホスピス病棟に社会の風を吹き込んでくれました。
しかし、開設後10年ほどが経過すると、ボランティア活動が停滞し始め、メンバーの方たちも高齢になってしまい、少しずつ人数が減ってきました。継続に支障が出始めたところ、ちょうど当院で働いていた鈴木孝子・看護師長が定年退職されるのを機に、ボランティアコーディネーターになってもらうことをお願いしました。病院のことがわかっていることと、一般の方をボランティアメンバーに勧誘するのに最適な人物だと思ったからです。
それが起点となり、再びボランティア活動が活性化しました。当時の工藤昭子・看護部長(現・札幌真駒内病院看護部長)も率先して新しいボランティアを募集。当院の理念に共鳴し、ボランティアメンバーとして活動してもらえる人を増やしていきました。今は総勢40人もの大所帯となり、喫茶の飲料の提供だけでなく、病院周囲の園芸(畑や花などのお世話)をするチーム、裁縫などを手がけるソーイングチーム、音楽を届けるミュージックチームなど、サブグループができるようになりました。またホスピス病棟だけでなく、一般病棟などのイベントにも参加してもらい、病院全体で活躍の場が広がっています。
このように書くと、簡単にボランティアグループが組織できたように思われますが、そうではありません。やはり、“ホスピスのこころを大切にする病院”という理念を掲げてきた当院が、ボランティアもチームの一員と考えているからこそだと思います。
当院は88床の小規模病院です。1996年に札幌南青洲病院として徳洲会グループ入りしてからも、しばらくは経営的に苦戦していました。私は2008年に院長に就任し、その時に掲げた夢が「新築移転」です。そして、その夢が正夢になり、21年7月に念願の新築移転をなし遂げることができました。大規模病院のように病床を増やすことは難しいため、移転時にホスピス病棟を40床に倍増させました(現在38床)。しかし、増床したベッドがなかなか埋まらず苦戦しましたが、徐々に改善。職員の努力もあり、病院全体の病床利用率を上げることができました。
また新築移転後、土地・建物は賃貸のため毎月家賃の支払いがあり、それが経費として重くのしかかって、経営的に苦しい5年間でした。しかし、この9月に正式に土地・建物が当院所有となり、家賃の経費がなくなって新しい時代に入りました。
現在の当院はホスピス・緩和ケアだけでなく、総合診療(認知症のケア含む)、人工透析を3本柱として運営しています。また移転後、健診センター部門の業績も右肩上がりの状態が続いています。今後は当院を次のステージに上げていくため、人材の確保が課題だと考えています。また、ボランティア活動もさらに充実させていきます。
これからも“ホスピスのこころを大切にする病院”として、地域に貢献してまいります。
皆で頑張りましょう。