直言

Chokugen

静岡徳洲会病院 院長
山之上 弘樹(やまのうえひろき)

直言 ~ 生命 いのち だけは平等だ~

山之上 弘樹(やまのうえひろき)

静岡徳洲会病院 院長

2026年(令和8年)09月21日 月曜日 徳洲新聞 NO.1561

急性期治療後に可能な限り状態を良くし
地域へお返しするのが当院の大きな役割
改善が見込める場合には治療の長期継続も

先日、東京本部との8時会のオンライン中継で、東上震一理事長から「静岡のこと、みんな忘れとるやろ!」と言われた静岡徳洲会病院長の山之上です。目立たないのが本分の当院としては、最上の褒め言葉なのですが、本当に忘れられても困るので、最近の当院の状況をお話しします。

ケアミックス型の当院には入院も 退院も地域との強力な連携が必須

当院は急性期病棟、回復期リハビリテーション病棟、医療療養病棟、障害者病棟、介護医療院を一つの建物内に持ち、さらに地域包括ケア病棟の開棟も模索しているケアミックス型の病院です。特に急性期で受け入れた高齢の方には、早期からリハビリをはじめ多職種が積極的に介入し、嚥下機能等の評価を行いながら全身状態の改善を目指します。それでも改善に時間を要する場合が少なくなく、そうしたケースでは回復期リハビリ病棟、あるいは医療療養病棟で腰を据えて回復を目指します。医療療養病棟では介護医療院と協力しながら、在宅復帰機能強化加算の算定要件である在宅復帰率50%以上の維持に、病棟一丸となって取り組んでいます。急病の後、できる限り状態を良くして地域へお返しすることが当院の大きな役割であり、時間をかければ改善が見込めると判断した場合には、病棟で治療を長期継続できることが、当院の大きな強みとなっています。

ただ、多くの地方病院がそうであるように、医師数の少なさが当院にも大きな悩みで、以前は、医師が多くの業務を抱え忙殺される状況が続いていました。しかし、近年はタスク・シフト/シェアが着実に進み、以前にも増してチームとしての動きが活発になり、随分と働きやすくなりました。医師事務作業補助者による診療録代行入力・書類作成は、事務負担を劇的に減らし、特定行為看護師のおかげで人工呼吸器管理や創傷処置、PICCカテーテルの挿入、気管カニューレの交換などが包括指示の下、自律的に行われるようになりました。

薬剤師からの処方提案も激増し、感心しながら処方する日々です。管理栄養士からは、食事形態に関する提案も増え、摂食嚥下チームとの協力で誤嚥のリスク低減にも努めています。また、多職種参加のカンファレンスも増加し、多くの角度から検討することで、これまで以上に質の向上を目指せるようになりました。今後もこの方向で進み続け、特に急性期終了後の管理では、 医師以外の職種の役割がますます重要になると感じています。

ケアミックス型の当院には、入院も退院も地域との強力な連携が欠かせません。入院面では、消防からの救急搬送はもちろん、高度急性期病院からの下り搬送、そして介護系施設からの自院救急車による搬送に、今後も力を入れていきたいと考えています。高度急性期病院からは、もう少し早い時期での下り搬送をしていただければとも思うのですが、経営的な事情もあるのでしょうか、なかなか件数は増えてきません。ここは診療報酬上のさらなる評価が必要なのかもしれません。

一方、介護系施設からの自院救急車搬送は、手探りの部分もありますが、概ね好評をいただいているようです。出動の際には看護師も同乗するため、施設現場で申し送りを受けることができ、搬送時には施設職員の同乗が不要となるため、人手不足に悩む介護系施設に喜んでいただいています。こうした関係強化は、退院の際のスムーズな連携にもつながっています。

介護系施設へ営業活動を活発化し 自院救急搬送体制もさらに拡充へ

今後は、より多くの介護系施設へ営業活動を行うとともに人材獲得を強力に進め、自院救急搬送体制をさらに充実させていきます。また、現場での申し送りは音声入力とAIによる記載を活用し、書類はOCR(Optical Charac-ter Recognition)で読み取ったうえで、持参のタブレット端末から電子カルテへ直接入力できるようになれば、所要時間を半分以下に短縮でき、搬送のさらなる効率化に直結します。これ、一般社団法人徳洲会情報システム部の皆さん、なんとかなりませんかねぇ。

「直言」では高度急性期、先端医療のかっこいいお話が多いですが、ちょっと違ったお話になってしまいました。でも、ケアミックスの領域も奥が深いのです。病院総合診療にご興味のある研修医、専攻医の皆さん、静岡でお待ちしております。

皆で頑張りましょう。

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