
直言
Chokugen

直言
Chokugen
直言 ~
立川 隆光(たちかわたかみつ)
茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川県) 院長
2026年(令和8年)07月27日 月曜日 徳洲新聞 NO.1553
院長に就任し今年で10年目を迎えました。院長就任当時の当院は、病床利用率が約50%にまで落ち込んでいました。どん底からのスタートでしたが、逆にあらゆる可能性を秘めた伸びしろしかない病院だと、決意を新たにしたことが思い出されます。HCU(高度治療室)を開設し、脳外科、循環器内科、総合診療科、血液内科、歯科口腔外科などを設け、またロボット手術の導入、手術件数の増加、断らない救急、在宅医療の充実にも力を入れました。地域の皆さんに信頼される病院となるため、職員と一緒に考え、積み重ねてきたと思っています。
今年、かねて念願であった40床の増床、地域包括ケア病棟の開設が実現できました。2026年度診療報酬改定では急性期医療だけではなく、地域包括ケアや在宅医療との連携がこれまで以上に求められています。病気を治すだけではなく、患者さんが住み慣れた地域で安心して生活を続けられるよう支えていくことが、これからの病院に求められる役割です。約25万人が住む茅ヶ崎市において、地域包括ケア病棟をもつ病院は当院のみです。地域医療をさらに前へ進めるための新たなスタートだと考えています。
昨年度、当院の救急搬送件数が年間2,043件と一昨年度より1割近く減少しました。昨年度末の3月に入ってからは、年間2,000件の確保に向け、待つばかりの救急搬送に一喜一憂した覚えがあります。また今年4月に40床増床したものの、5月、6月の病床利用率は70〜80%と厳しい状況が続きました。そんな経験も含め、救急搬送件数と新入院を増やすために、今年度から自院救急車の活用に尽力しています。
茅ヶ崎は海と住宅地が調和した古くからある人気の住宅街です。とくに病院が立地する海側は住宅密集地で、幅の狭い生活道路がとても多い地域です。火災時には消防車が入れないケースもよく耳にします。この機会に、小回りの利く小さな救急車を新たに導入し、自院救急車を2台体制にします。また自院救急のホットラインも24時間稼働用に新設し、連絡があれば直ぐに出動できるよう、運転手や医療従事者の確保に努めました。
自院救急の紹介も兼ねて、近隣の施設訪問にも力を入れています。どの施設でも急変時に救急車を呼ぶ必要性の判断や、救急車を呼んだ後、職員が同乗しなくてはならないリスクを、とても懸念されています。24時間365日対応の自院救急は、病院のホットラインでいつでも相談でき、施設職員の同乗も必要とせず、こうした問題を解決できます。救急件数を増やし、空床を埋めるだけでなく、地域に対し目に見える形での貢献と考えます。地域の診療所、介護施設、訪問看護ステーションなどと連携しながら、治療が必要な患者さんを私たちが救急車で迎えに行き、検査、早期診断、入院へとつなげる。そして急性期治療を行い、地域包括ケア病棟で回復を支え、安心して自宅や施設に帰っていただき、今後、必要な時には再び救急車で迎えに行く。この循環を地域の中につくることができれば、地域医療はさらに大きく前進すると確信しています。
当院は中規模病院だからこそ、患者さんとの距離が近く、多職種が顔の見える連携の中で迅速に対応できる強みがあります。一人ひとりの患者さん、ご家族の思いに寄り添える医療を、これからも大切にしていきたいと思っています。東上震一理事長は「人のために生きることが自分自身を成長させる」と話されています。患者さんのために力を尽くすことは、自分自身を成長させ、仲間を育て、病院を成長させます。その積み重ねが地域からの信頼となり、地域に必要とされる病院につながっていくのだと私も強く思います。
今後、地域包括ケア病棟をこの地域になくてはならない病棟へ育てます。そして地域から「困った時は茅ヶ崎病院がある」と安心していただけるようにします。また救急医療や在宅医療の充実によって、若い医師や医療従事者が集まり、この病院で学びたいと思える環境を整えます。さらに近い将来、臨床研修指定病院になることを真剣に目指します。職員一人ひとりの力を結集し、これからも地域の期待に応えられる病院を一緒につくってまいります。
皆で頑張りましょう。