直言

Chokugen

医療法人徳洲会 副理事長
名古屋徳洲会総合病院 総長
大橋 壯樹(おおはしたけき)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

大橋 壯樹(おおはしたけき)

医療法人徳洲会 副理事長 名古屋徳洲会総合病院 総長

2026年(令和8年)06月29日 月曜日 徳洲新聞 NO.1549

大学や民間企業などとの連携を加速
基礎研究から臨床応用まで積極推進
徳洲会独自の学術セミナーも開き知見を深める

3月28日開催の徳洲会医療経営戦略セミナーで、ノーベル生理学・医学賞を受賞された大阪大学の坂口志文・特別栄誉教授が「制御性T細胞:その発見から新しい免疫療法に向けて」と題した特別講演を行いました。この知的な交わりを機に、6月20日に坂口先生が所属する大阪大学免疫フロンティア研究センターと、徳洲会グループとの共同研究を目指した合同カンファレンスを吹田徳洲会病院で開催しました。臨床の第一線で活躍する医師たちの知的好奇心と、根本治療を成し遂げたいという強い意欲が融合し、新たな合同臨床研究に向け大きな一歩を踏み出しました。

このカンファレンスでは大阪大学の専門家が免疫学的な観点から、がん、自己免疫疾患、アレルギー性皮膚疾患、炎症性腸疾患に関する最先端知見を発表しました。これに対し当グループは、札幌東徳洲会病院の前本篤男副院長が豊富な炎症性腸疾患のデータを紹介し、八尾徳洲会総合病院の瓜生恭章副院長は数多くの徳洲会リアルワールドデータ研究を披露しました。基礎研究の臨床応用を模索している大阪大学の研究者からは、当グループが有する圧倒的なスケールの臨床ビッグデータに対し驚きの声が上がり、共同研究の進展に向け強い意欲が示されました。

また、2月14日に大阪大学で開催の第28回日本異種移植研究会では、「異種移植の進化と挑戦-臨床応用への加速-」というテーマで活発な討論が行われ、協賛した当グループからも多くの医師が参加しました。かつて異種移植は、激しい拒絶反応のため不可能と考えられていましたが、近年の最新テクノロジーと遺伝子操作技術の進歩により、拒絶反応を極力抑えたブタの腎臓の開発が可能となりました。すでに米国では実施例があり、移植後に9〜10カ月間の透析離脱に成功した症例や、現在も透析をせず、元気に生活している症例が報告されています。

ハラパンキタ循環器病センターと 先端技術交流や交換留学が活発化

国内では、明治大学発の医療ベンチャー企業であるポル・メド・テックが、米国で臨床使用されている拒絶反応が極力少ない遺伝子操作ブタを導入し、独自飼育に成功しました。これを受け同社と当グループは、国内初となる異種腎移植の企業治験実施に向けた基本合意書を締結しました。現在、湘南鎌倉総合病院では2年後のブタ腎臓移植の実施を目指し、万全の準備を進めています。異種移植の歴史は100年以上前まで遡りますが、ようやく日本でも臨床応用が視野に入ってきました。しかし、安定した長期予後を得るためには、さらなる基礎研究が必要です。そこで、異種移植研究で実績のある大阪大学と、当グループは新たに共同研究講座を開設しました。今後は腎臓にとどまらず、多様な臓器への異種移植の応用に向け、基礎研究を強力にサポートしてまいります。

4月15日にはインドネシアで共同建設を進めている「ハラパンキタ・徳洲会循環器病センター」の上棟式が行われました。この新センター建設を機に、同国の首都ジャカルタや葉山町(神奈川県)での循環器セミナーを通じた技術交流、若手医師・看護師の留学が活発化しています。すでに当グループの若手心臓血管外科医3人が現地に赴き、日本では経験できないほど数多くの手術に携わっており、今後は湘南鎌倉病院の伊藤敏明・院長補佐による最新の低侵襲心臓手術(MICS)の現地施行が予定されています。

7月19日から2日間、第3回徳洲会ロボットセミナーを開催します。今回は「共創が加速する次世代ロボット手術」をテーマに掲げ、複数機種が併存する新たなロボット手術時代に対応するため、各診療科・医療機関、さらには産業界との連携を通じた価値の創出を目指します。また、12月9日から2日間、第2回徳洲会国際再生医療シンポジウムの開催も予定しており、最先端医療の知見を深めてまいります。

優秀な職員を育てていくには 強固な経営基盤が欠かせない

徳洲会グループは優秀な職員の教育・研修環境を整備し、待遇をさらに改善していくため、健全で安定した経営状態の維持に努めなければなりません。有用な投資を継続的に行い、経営基盤を強固にすることで、患者さんへ常に最先端の、そして最も優しい医療を届けられるよう、グループ一丸となって挑戦を続けることが重要です。

皆で頑張りましょう。

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