直言

Chokugen

出雲徳洲会病院(島根県) 院長
長見 晴彦(ながみはるひこ)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

長見 晴彦(ながみはるひこ)

出雲徳洲会病院(島根県) 院長

2026年(令和8年)06月15日 月曜日 徳洲新聞 NO.1547

“徳洲会の誇りと責任”を自覚し研鑽
医療・介護の質向上へ果敢に攻める
互いに協力し患者さん・職員のため病院発展へ

当院は神話時代から歴史と文化が息づく縁結びで有名な出雲大社のある出雲市に、2006年4月に開院し、今年20周年を迎えました。急性期、 療養・回復期、HCU病棟を有し(計183床)、訪問看護ステーションや介護老人保健施設も併設した地域密着型のケアミックス病院です。職員数は現在364人(主に常勤医30人、看護師107人、介護職55人など)が在職し23診療科が稼働しています。とくに消化器内視鏡、消化器外科を中心に整形外科、総合診療科、透析センター、健診センター、山陰病理診断センター、365日体制で行っているリハビリなど、「チーム出雲」として全職員が頑張っています。25年度は一日平均外来数275人(平日)、救急搬送件数870件、手術件数473件、延べ入院患者数6万4,943人でした。近隣には大手半導体生産工場があり、外国籍患者さんも多数受診されるため、2人の常勤通訳が対応しています。

私は1984年に島根医科大学卒業後、同第一外科へ入局し主に心臓外科、膵臓外科(とくに膵移植)の臨床・研究・教育に携わりました。当時は寝る間も惜しみ、毎日ICUへ足を運び、外科病棟に寝泊まりして治療に心血を注ぎました。昨今の「医師の働き方改革」とは真逆でしたが、“患者さんのために働くことこそが美徳である”との強い信念がありました。その後19年間は開業医として地域医療に奮闘し、島根大学総合診療科教授を経て9年前に出雲徳洲会病院に入職し、2025年4月に院長職を拝命しました。

断わらない救急医療は“生命線” Narrativeな医療の実践も要に

当院は人口約17万人の出雲医療圏にあり、近隣には大学病院、県立中央病院に加え、当院と同規模の急性期病院も立地する病院激戦区です。このような環境下で勝ち抜くためには医師、看護師を中心に全職員が医療に対し強い使命感と情熱を持ち、日々たゆまぬ努力をしていかねばなりません。

近年、医学の進歩により専門的医療への偏重が加速する一方、個人が持つ複雑な健康問題に対し、医療本来の個別ケアの質がおろそかにされているように感じます。したがいまして疾患に生物・心理・社会的なアプローチを行うことで、患者さんの心情に共感し、人生最期を満足に終焉していただくNarrativeな医療実践こそ必要であり、それこそが徳洲会の使命だと考えます。

昨今の厳しい医療経営の中、当院のここ数カ月の医業利益率は10%以上を維持していますが、この数字に満足してしまうと、これ以上の成長は望めません。トップである院長が現状を肯定した時点から、病院の衰退が始まります。常に現状否定論者でなければなりません。変革する医療情勢に対処しながら、医療・介護サービスの向上に努める積極的活動と、“徳洲会の誇りと責任”を自覚し、自己研鑽を重ね互いに協力して病院発展に努めることが最優先課題です。守るのではなく、攻めの医療こそ最大の武器であり、“断わらない救急医療”が我々の生命線です。

昨年度は病院機能評価(3rdG:Ver.3.0)を取得しましたが、今後の目標は健診センターの機能向上、感染症・緩和病棟の新設、HCU病床や透析センター拡張などを含めた新棟増築、そして長年の夢である基幹型臨床研修病院の指定取得です。当院は中国地方唯一の徳洲会病院であり、近隣医療機関と良好な関係を維持していますが、協力型病院として初期研修医の応募が少ない点が最大の悩みです。今後、グループ内の病院からも初期研修医の派遣をお願いいたします。

組織はトップの力量以上に伸びず 業績アップ望むなら自身が伸びろ

当院は今後5年、10年先を見据え、地域のオンリーワン病院としての地位を確立する必要があり、これには組織力の底上げが不可欠です。「組織はリーダーの力量以上には伸びない。業績アップを望むなら自身が伸びろ」という信念の下、精進する毎日です。この力量とは医学的能力のみならず人間力や仕事への強い情熱と考えます。人間は互いに助け合わないと生きていけない点に最大の弱みがあり、その弱みゆえ、互いが助け合えるという最大の強みにもなっています。「すぐやる、必ずやる、できるまでやる。可能なことは実行する、不可能なことにも挑戦する。負けは終わりではない、諦めた時が終わりである」。この言葉を胸に職員一同が感謝の気持ちを忘れず、心地良く働ける病院づくりに邁進します。

皆で頑張りましょう。

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