直言

Chokugen

湘南大磯病院(神奈川県) 院長
権藤 学司(ごんどうがくじ)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

権藤 学司(ごんどうがくじ)

湘南大磯病院(神奈川県) 院長

2026年(令和8年)05月25日 月曜日 徳洲新聞 NO.1544

より地域のニーズに見合った医療を
急性期後を見据え訪問診療など思案
患者数は順調に増え救急需要の90%弱受け入れ

当院は1984年に開設された東海大学医学部付属大磯病院を前身とし、2023年3月に医療法人徳洲会 湘南大磯病院として再出発しました。許可床は312床ですが、現在は178床で稼働しています。循環器内科、脳神経内科、呼吸器内科、腎糖尿病内科、外科、心臓血管外科、整形外科、脳脊髄外科、泌尿器科、眼科、麻酔科、小児科、放射線科、健診センター、歯科口腔外科に計31人の常勤医師・歯科医師が勤務しています。また婦人科、総合内科、消化器内科、皮膚科、精神科、形成外科、心臓血管外科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科と多くの科で、非常勤医師の手を借り診療をしています。

築42年迎え病院建て替えが課題 物価高騰と円安落ち着くこと願う

患者数は順調に増加しており、25年度は新入院患者数4,071人、救急搬送件数3,105件となりました。当院の立地する中郡の大磯町消防署と二宮町消防署を合わせた全救急搬送人数は3,530人(24年)で、大雑把な言い方ですが、当地域の救急ニーズの90%弱を当院で受け入れていることになります。消防署をはじめ行政機関や地域の皆様のご理解とご協力、当院職員の奮闘に感謝します。

当院は開設当初からの施設が大半で、築42年を迎え老朽化が課題です。徳洲会に事業承継された当初から新病院の建設計画が持ち上がり、25年9月には実施設計を終え、建築会社への入札説明会に進みました。ここまでは順調でしたが、昨今の労働者不足と費用高騰のため入札への応募がなく計画は足踏みしています。ウクライナやイランの紛争が解決し、世界に平和が戻って、物価高騰と円安が落ち着くことを切に願っています。

急性期病院として、地域の方々の期待に応えられる病院となるのが一番の目標ですが、当地域には急性期治療が一段落した後に治療を続けられる病院がありません。リハビリが必要になると、地域外の病院へ転院し訓練を受け、その病院を退院してからまた当院外来に通院することになります。東海大時代にはあった回復期リハビリ病棟などを復活させ、さらに訪問診療などもできるようになれば、地域の皆様が安心して生活できるようになるはずです。

「ほめ育で医療現場が変わる」(松島眞己著、フローラル出版刊)という本を紹介します。この中に「医療現場では事故を起こさないことが最優先になります。できて当たり前、命を守って当たり前という世界であり、新人看護師などのミスに対しても、なんで間違ったの? 何度言ったらわかるの? など自然とダメ出しが増えていくのです」との記載があります。また「日本の文化の特徴として、とかく欠点ばかり注目して長所を伸ばそうとしない側面があると思います。(中略)部下や後輩の指導方法として、できない所を指摘するという方法しか学んでいない人が大多数なのです」とも書かれています。

私は当院に赴任する前に医療安全管理室やJCI(世界的な医療機能認証)対策の責任者を長年担当していました。どちらも医療安全のための活動ですが、「患者確認は名前と生年月日で」、「手洗いは5つのタイミングで」などの決まり事をつくり、それこそ「どうして決まりを守らないの?」、「決まりを守っていれば事故は起きなかったのに」と悶々と過ごす毎日がありました。医療安全という仕事は生じてしまった事故から、どうやったら次の事故を防げるかという視点に立っており、多くの決まりをつくっては、それを遵守することを求めます。

「ほめ育」導入のため講習会開く いつか芽吹き大きく育つこと期待

医療現場では、少しのミスが命取りになるのは明白な事実で、「確認! 確認! 確認! これをやってはダメ、あれをやってはダメ」という指導が大変多いということに、あらためて気づかされました。しっかりした医療者に育ってほしい、不幸な目に遭う患者さんを一人でも減らしたいとの思いから出る言葉ですが、教育される側はストレスを多く感じているのではないでしょうか。「ほめ育」をなんとか当院に導入しようと思い立ち、著者の松島先生に大磯までお越しいただき講習会を開きました。まだ種を蒔いたばかりで、どんな結果が出るかはわかりません。いつか芽が出て大きく育つことを楽しみにしています。叱っても褒めても同じ結果が出るとしたら、褒めたほうが良いと思いませんか?

皆で頑張りましょう。

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