直言

Chokugen

東佐野病院(大阪府) 院長
小縣 一興(おがたいっこう)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

小縣 一興(おがたいっこう)

東佐野病院(大阪府) 院長

2026年(令和8年)05月04日 月曜日 徳洲新聞 NO.1541

地域に必要とされる医療継続のために
各々が自分の役割を理解し組織力強化
医療の質を維持しながら経営を成立させる!

今年は当院にとって、5年ぶりとなる新卒職員を迎えた節目の年です。新しい仲間が加わったことで、院内には、これまでとは違う空気が生まれています。同時に、組織として次の世代へつないでいく段階に入っていることを実感しています。

徳洲会グループ全体では、4月に約4,000人の職員が入職しています。グループの一員として、当院も新たな人材を迎えられたことは、小さな出来事ではありません。人材の確保と育成は、今後の病院運営に直結する重要な課題であり、この春の動きは、将来への基盤づくりの一歩と言えます。新入職員の成長は個人の問題ではなく、組織全体で取り組むべき課題です。

より効率的で無駄のない運営へ 一人ひとりの意識と行動が重要

これまで当院は、病床機能の見直しを段階的に進めてきました。一般病床56床を移設し、79床の療養病床体制に再編、さらにそのうち 32床を地域包括ケア病棟へ転換しました。急性期医療の後方支援、在宅復帰支援という役割を明確にし、地域の医療ニーズに応じた体制へと移行しました。この変化は単なる縮小ではなく、私自身が責任を持って選択してきた方向であり、役割の再定義であると考えています。

今年度の診療報酬改定、さらに物価・人件費の上昇など、当院のような療養型病院を取り巻く経営環境は年々厳しさを増しています。収支は決して余裕のある状況ではありませんが、昨年度は結果として黒字を確保できました。この水準は決して高いものではありませんが、現場の努力が確実に数字として表れていることは評価すべき点です。

一方で、この状況に安住することはできません。今後さらに環境が厳しくなることは避けられず、より効率的で無駄のない運営が求められます。医療の質を維持しながら経営を成立させるためには、これまで以上に一人ひとりの意識と行動が重要になります。そして、その方向性を示し、最終的な責任を負うのは院長である私の役割であると強く認識しています。

新病院構想についても、これまで検討を重ねてきました。建設費の高騰や人材確保、将来の医療需要など、不確定要素が多く、現時点で明確な方向性を示すことは容易ではありません。

構想が進んでは立ち止まる状況が続いていますが、現実を踏まえた判断を行うことが重要であり、拙速な決断は避けるべきと考えています。いずれの判断においても、最終的には私自身が責任を持って決断しなければならないと考えています。

現在の療養病棟47床、地域包括ケア病棟 32床という体制は、地域における当院の役割を踏まえた現実的な形です。急性期を終えた患者さんの療養を支え、在宅復帰へとつなぎ、必要に応じて長期療養にも対応する。この役割を確実に果たしていくことが、当院の存在意義です。そして、その質を維持し続ける責任は、組織として、院長として重く受け止めています。

新入職員の皆さんは、この1カ月余りで現場の流れを少しずつ理解してきたと思います。医療はそう目立つものではありませんが、患者さんの生活を支え、回復を見守り、時には最期の時間に寄り添う、非常に重要で責任の重い仕事です。その一つひとつに真摯に向き合ってください。

既存職員の皆さんにも、この時期は組織としての質を高める機会です。新しい仲間にどのようにかかわるか、その姿勢が、そのまま職場の風土を形づくります。日々の何気ない言動が、組織の文化として蓄積されていきます。

徳洲会グループの“生命だけは平等だ”の理念は、特別な場面だけで示されるものではありません。日常の診療やケアの中で、一人ひとりの患者さんに対し、どのように向き合うか、その積み重ねによって体現されるものです。

院長として先頭に立ち常に判断 現実を直視しながら着実に前へ

医療への従事は決して楽ではありません。しかし、私たちが果たすべき役割は明確です。地域に必要とされる医療を継続して提供していくために、個々人が自分の役割を理解し、組織としての力を高めていく必要があります。

私自身、院長として先頭に立ち、現実から目を背けることなく判断を続けてまいります。そのうえで、職員一人ひとりと力を合わせ、この病院を守り、発展させていく覚悟です。これからも現実を直視しながら、着実に前へ進んでいくために、皆で頑張りましょう。

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