徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

医療法人徳洲会 副理事長
八尾徳洲会総合病院(大阪府) 総長
福田 貢(ふくだこう)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

福田 貢(ふくだこう)

医療法人徳洲会 副理事長 八尾徳洲会総合病院(大阪府) 総長

2026年(令和8年)04月27日 月曜日 徳洲新聞 NO.1540

生命の前に立つ時にその重みを静かに
受け止めることができる医師に成長を
日本のみならず世界の医療を支える存在へ

新たに徳洲会グループの一員となられた医科210人、歯科15人(総数225人)の新研修医師の皆さん、徳洲会へようこそ。皆さんのご入職に職員一同、心より祝意を申し上げます。徳洲会は創設以来、“生命だけは平等だ”の理念を掲げ歩んできました。これは単なるスローガンではなく、この組織の思考と行動の根本原理です。経済的理由や居住地域、あるいは社会的地位によって、受けられる医療に格差があってはならない。この「社会正義としての平等」を追求する社会運動の継続こそが、徳洲会の本質です。この理念の下、新たな仲間として皆さんを迎えられたことを、かつて研修医として、この組織に入職した私自身も深い喜びであると同時に、医療の未来を皆さんに託す責任の重さを感じています。

人命に寄り添いその尊厳を守る ことを社会から付託された職責

医師とは単なる職業ではなく、人の命というかけがえのない存在に寄り添い、その尊厳を守ることを社会から付託された職責です。まず研修の第一歩として求められる課題は、臨床医としての確かな基礎を築くことです。とりわけ救急医療の現場は、医師としての原点を学ぶ場です。限られた時間の中で患者さんの言葉に耳を傾け、身体所見を取り診断に入る過程は、臨床医学への入り口そのものです。心肺蘇生術、検査・画像データの解釈、臨床薬理の理解など、これら一つひとつの手技・知識を確実に実践・応用できるよう努めてください。

効率化やデジタル化が進む現代ですが、「人の成長に都合の良い近道」など存在しません。臨床の現場で汗をかき、悩み、迷いながら、必死に身に付けた勘と経験こそが、やがて皆さんの血肉となります。それは、失われようとする生命を再び引き戻す力へとつながっていきます。

私自身、未明の病室で患者さんの傍らに立ち、自らの無力さを思い知らされた経験を幾度となく重ねてきました。静寂の中で抱く無念さや後悔、責任の重みは、医師としての人間性を育てる厳粛な糧になります。患者さんは、かけがえのない教師です。同じ病名であっても、その苦しみも、その人生も、一つとして同じものはありません。だからこそ、どうか常に患者さんには優しく、丁寧に接してください。個々の患者さんに真摯に向き合う経験の積み重ねこそが、皆さんを真の医療者へと導きます。

医療安全もまた、極めて重要な学びです。誤りを防ぐという視点に加え、なぜ医療がうまく機能したのかを見つめる、新しい安全の考え方が求められています。安全は個人の努力だけで達成されるものではなく、互いに率直に語り合い、支え合う文化の中で育まれます。疑問や違和感があれば、遠慮なく声を上げてください。それが患者さんを守ります。職種を超えた先輩・同僚との意思疎通を大切にしてください。

さらに、医療者としての人格の修練も大切です。古来、儒教において、人の道として説かれてきた五常、すなわち、仁・義・礼・智・信は現代の医療においてもなお、その本質を失ってはいません。患者さんの苦しみに寄り添う心を持ち、正しいと信じる医療を貫く勇気が必要です。すべての人に敬意を持って接し、学び続ける姿勢が大切です。誠実であることは信となり、やがて患者さんから託される信頼へとつながります。どうぞ、怯むことなく救命の現場に飛び込んでください。

経験を重ねるほど未熟さを知り その奥深さに気づくことで進化

徳洲会は都市部の病院のみならず、離島・へき地での地域医療の最前線の現場から、タンザニアやインドネシアといった国際支援の現場まで、国の内外を問わず、どこでも「生命の平等」の実現に挑戦し続けています。これから皆さんが挑む現場は、医学の深淵と人間という存在の本質に向き合うことのできる、かけがえのない学びの場です。医師の道もまた、一生の修練です。経験を重ねるほどに自らの未熟さを知り、その奥深さに気づくことでしょう。その自覚こそが医師を成長させます。

皆さんは徳洲会の仲間です。どうか志を高く、学び続けてください。そして生命の前に立つ時、その重みを静かに受け止めることのできる医師となってください。皆さんが多くの人々から信頼され、日本の、そして世界の医療を支える存在へ成長されることを願っています。

皆で頑張りましょう。

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