
直言
Chokugen

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直言 ~
東上 震一(ひがしうえしんいち)
医療法人徳洲会 理事長 一般社団法人徳洲会 理事長
2026年(令和8年)01月01日 木曜日 徳洲新聞 NO.1524
新年おめでとうございます。年の初めにあたって、あらためて徳洲会の歩みを振り返り、次なる成長へのビジョンと決意を新たにしたいと考えます。国内ではM&Aを含む病院再編の大きな波が押し寄せています。この流れを受け身で捉えるのではなく、徳洲会の理念・将来構想に合致する医療機関と、積極的に提携し、M&Aを戦略的に進めていくことが徳洲会の取るべき方針です。私たちにとって、M&Aとは単なる規模拡大ではなく、既存病院の体制強化、新しい医療需要の取り込み、そして全国レベルでのグループ運営最適化を実現するための重要な手段です。新しく仲間となる病院の人材を含めた医療資源が、徳洲会全体の成長につながり、また既存病院にとっても刺激となり、相互に発展を促す好循環が生まれます。こうした広がりが、徳洲会を日本の医療界で、より確固たる存在へと押し上げていくものと確信しています。
2022年9月から25年12月にかけて、徳洲会グループは病院数90施設、総病床数2万1,619床に拡大し、全国規模で多くの仲間を迎えました。新しく仲間となった病院をしっかりと支え、本来の力を引き出せる支援こそが、今もっとも重要です。医師・看護師の偏在、人口構造の変化、診療報酬制度の歪みなど、医療界を取り巻く状況は年々厳しさを増しています。徳洲会も例外ではなく、経営環境が厳しい病院は決して少なくありません。
しかし、このような危機の時こそ、徳洲会の原点に立ち返る必要があります。グループ創設以来、私たちが貫いてきた「24時間・年中無休」、「医療資源を使い切る」という揺るぎない姿勢を、今一度、組織全体で徹底しなければなりません。医療危機は自然災害などではなく、覚悟と行動力をもつグループにとって、千載一遇の成長機会です。許可病床を最大限に活用し、地域のために医療資源を使い切る体制づくりこそが、収益構造改善へ直結する取り組みです。これは、患者さんが必要とする医療に迅速に応え、「徳洲会があるから安心だ」と、信頼される存在であり続けるための方針です。
その背景には、医師・看護師をはじめとするすべての職員の使命感、情熱、そして日々の努力があることは言うまでもありません。私たちは、その力を信じ、それを最大限に発揮できる環境を整えなければなりません。各病院が病床稼働率90%を超えるレベルを維持し、運営の健全化を図ることが26年の最重要課題です。医療人としての使命を実直に果たし続けることで、徳洲会はさらに強く、しなやかに進化できると確信しています。医療界の変化(外的変化)を力に変え、さらに成長できる時が巡ってきているのです。
国際医療協力では、インドネシアの国立ハラパンキタ循環器病センターとの共同事業が大きな節目を迎えます。計画を進めてきた地上21階建てのヘリポートを備えた「ハラパンキタ・徳洲会循環器病センター」が26年9月に完成予定です。国際交流に極めて重要な拠点になると同時に、この施設がアジア有数の心臓施設となることを願っています。徳洲会の若い心臓外科医が同施設で豊富な症例(年間3,500件以上の心臓手術)を経験し、技術を磨く場になることはもちろんのこと、看護部にとっても貴重な学びと成長の機会を得ることになります。異なる文化と医療環境での経験が、多様な視点と高度な専門性を育て、それが国内病院の質向上に還元されるはずです。徳洲会が世界に通用する力をもつためには、こうした実践的国際交流の場が欠かせません。また、18年に徳洲会が協力して腎移植を導入したタンザニアで、腎臓病・移植センターの計画が具体化しています。医療後進地域のサハラ砂漠以南の地に、新たなる教育と医療の拠点を提供することになります。私たちの理念が国境を越え、具現化している証となるのです。
研究分野では国の科研費(科学研究費助成事業)に応募する資格をもつ研究所(湘南鎌倉総合病院、野崎徳洲会病院、札幌東徳洲会病院)を中心に臨床研究分野にも力を入れていきます。湘南アイパーク(神奈川県)という世界有数規模の研究施設の中にある湘南鎌倉病院の研究所は、世界初のエクソソーム(細胞外小胞)創薬研究を支援しています。また、大阪大学第一外科と共同で、異種移植研究(ブタの臓器を移植)も始まります。いずれも支援に値する夢のあるプロジェクトです。
徳洲会はこれまで多くの困難に直面しながらも、そのたびに理念に立ち返り、組織全体で乗り越えてきました。医療界の変動期にあって徳洲会が果たす役割と責任は、かつてないほど大きくなっています。医療の質・量の向上、国際医療協力、そして臨床研究という3つの柱で、確かな実績を積み重ねていかなければなりません。職員一人ひとりが胸を張って働ける組織として、さらに発展させていく決意です。
過去においては徳洲会を称賛する声もなく、ひたすら理念だけを胸に前に進んだ創業期がありました。その時の心と熱量は現在でも大切な精神的支柱です。今後とも徳洲会は自由で若々しい精神で学び続け、挑み続け、成長し続ける存在でありたいと思います。共に未来を切り拓く仲間として、皆さんと歩みを進めていく覚悟です。
皆で頑張りましょう。
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福田 貢(ふくだこう)
医療法人徳洲会 副理事長 八尾徳洲会総合病院(大阪府) 総長
2026年(令和8年)01月01日 木曜日 徳洲新聞 NO.1524
新年を迎えるにあたり、年末年始も現場を守ってくださった職員の皆様に心より感謝申し上げます。大晦日から三が日にかけて、救急外来や病棟、手術室、透析、介護・在宅など、各現場で患者さんと、ご家族に向き合っていただいたお一人おひとりの誠実さがあってこそ、私たちは「いつでも、どこでも、誰でも」の理念を支え続けることができます。医師・看護師はもとより、コメディカル、事務職、関連施設の職員を含め、日々の業務と節目の時期にも地域の命と暮らしを守っていただいたことに、重ねて深くお礼申し上げます。
わが国の医療を取り巻く環境は、大きな変化のただ中にあります。少子高齢化の進行により、現役世代が減る一方、高齢者や慢性疾患を抱える人が増え、医療・介護・福祉の支援を必要とする人々の比率は年々高まっています。結果として病院や在宅、介護の現場では、対応すべき患者さんの数が増えると同時に、個々の病状・機能障害や生活背景も多様になっています。経済状況の変化や家族形態、地域コミュニティーのあり方の変容とも相まって、人生の最終段階をどこでどう迎えるかが、各施設に共通する課題として意識されるようになっています。
かつて家庭や地域で担われていた看取りを医療機関が担う場面も増え、病院では急性期医療だけでなく、長期療養や看取りを含めた役割を果たすことが当たり前になりました。一方で、コロナ禍後の社会的変化、診療報酬制度の見直しや人材確保の難しさ、地域格差などを背景に、病院の経営環境は厳しさを増し、規模の縮小や再編、休止・閉鎖に至る施設も全国で散見されます。こうした変化は私たち徳洲会に対し、従来の延長線上にはとどまらない工夫と連携を強く求めています。
このような状況下、2025年10月に徳之島徳洲会病院が新築移転を果たしました。初代徳洲会理事長、徳田虎雄先生の故郷での新病院の誕生は、徳洲会グループにとって象徴的でした。新病院は離島にありながら高度急性期から慢性期、在宅までを担う地域密着型病院として再スタートを切りました。外観の立派さ以上に、島の人々の命と暮らしを守る拠点としての役割が、今後ますます重要になります。同院には当グループはもとより、全国各地の医療機関から研修医や若手職員が集い、離島・へき地医療を学ぶ場としての機能が整いつつあります。都市部とは異なる医療資源の制約を肌で感じながらも、患者さんと真正面から向き合う経験は、若い世代に大きな財産となるはずです。現場との連携の下、離島での救急・総合診療能力を高めるプログラムを充実させ、将来の医療を担う人材を継続的に育てていきたいと思います。同院が、離島・へき地医療研修の中心的存在へと成長していくことを願ってやみません。同時に、他の離島拠点とも連携し、互いに人材と知恵を行き来させながら、離島全体の医療水準を底上げしていくことが重要です。
徳之島をはじめとする離島・へき地での取り組みも含め、26年も皆さんと共有したい柱があります。何よりも大切にしたいのは、地域の皆さんに寄り添う医療を通じた「地域医療への貢献」です。救急から慢性期、在宅まで切れ目のない医療を守り、自治体や多職種と連携しながら地域医療の一端を確実に担っていくことは、私たち徳洲会の行動原理です。同時に、医師・看護師のみならず多職種が互いに学び合い、高め合う「人材育成」、職員が心身の健康を保ち、気付きを率直に言い合える「安心と安全な職場づくり」、日々の診療の振り返りや発信を通じた「学術的な貢献」といった取り組みは、今後も徳洲会の成長を支える重要な柱であり続けます。さらに、こうした取り組みを下支えする基盤として、各病院・施設の「経営の安定」を図ることが不可欠です。東上震一理事長は「健全な経営は目的そのものではなく、当グループの理念である“生命だけは平等だ”を全国各地で着実に実現し続けるための前提条件」と常日頃述べています。
患者さんに敬意を払い、深い愛をもって人のために生きる徳洲会の医療者として、全国の仲間とともに、これらの取り組みを着実に進めていく一年にしてまいりたいと思います。
皆で頑張りましょう。
直言 ~
大橋 壯樹(おおはしたけき)
医療法人徳洲会 副理事長 名古屋徳洲会総合病院 総長
2026年(令和8年)01月01日 木曜日 徳洲新聞 NO.1524
明けましておめでとうございます。
2025年を振り返りますと、世界情勢・経済情勢は混沌とした状況が続き、日本の病院業界でも、経営危機がたびたび取り沙汰された厳しい一年となりました。このような環境下においても、徳洲会グループは創業者の徳田虎雄先生が掲げた“生命だけは平等だ”の理念をつねに胸に刻み、その実践に全力で取り組み、職員一人ひとりの献身的な努力もあって、患者さんに最善の医療を提供し続けることができました。この不断の経営努力の積み重ねこそが、未来への夢のある新たな発展と拡大を可能にすると信じています。
25年の大きな出来事として、徳洲会の原点の地にある徳之島徳洲会病院が、島の高台から海を見渡す壮大な「城」のような新病院へと新築移転し、盛大な竣工式を迎えたことが挙げられます。また、歴史と伝統ある北海道の社会医療法人母恋傘下の病院群をはじめ、新たに11病院が当グループに仲間として加わり、現在、90病院・2万1,619床を擁する日本有数の巨大医療グループへと成長を遂げております。
国際医療協力でも大きな進展がありました。インドネシアのハラパンキタ・徳洲会循環器病センターの建設が順調に進み、26年9月に地上21階建ての循環器専門病院として、アジア最大規模の施設が誕生する予定です。さらに、タンザニアでの腎臓病・移植センター開設なども着実に前進しています。こうした実績の積み重ねにより、海外からの病院運営・医療協力に関する依頼も年々増加しており、「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会」を目指す徳洲会の国際貢献は、今後さらに大きく進展していくものと確信しています。
院内医療体制では、「ダヴィンチ5」などの最新鋭手術支援ロボットを迅速に導入するとともに、画像診断支援AI(人工知能)や生成AIを全病院に配備しました。AIによる新たな産業革命が進むなか、医療システムも抜本的な変革の可能性を秘めています。当グループは、この変化にいち早く対応し、医療界をリードしていく責務があると考えます。組織運営、経営管理、物品管理でもIT(情報技術)やAIを全面的に活用するため、IT業界と積極的に連携し、職員の負担軽減と安全・確実な医療提供の両立を図り、患者さんにも職員にも魅力あるインテリジェント・ホスピタルを目指しています。
また、日々、多くの患者さんを診療するなかで蓄積してきた巨大な医療データベースを活用し、新たな医学的エビデンスを創出することも、徳洲会グループの大きな強みとなってきました。今後は、将来実現し得る医療を見据えた研究や治験を、より一層積極的に推進していく必要があります。当グループが独自開催しているロボットセミナー、国際心臓血管セミナー、国際再生医療シンポジウムを通じて、最先端医療の推進を徳洲会自らが牽引してまいります。さらに、米国ですでに臨床応用が始まっている異種腎移植の研究にも積極的に参画し、26年には大阪大学に異種移植研究講座を開設する予定です。今後、さまざまな基礎研究グループとの連携を深めることで、目の前の患者さんを救う医療にとどまらず、難治性疾患への挑戦とともに、未来医療や予防医療を見据えた継続的な医療を提供できる医療グループとして成長していきたいと考えています。
また、25年は徳洲会の各種部会活動を通じて、全病院が専門性を生かしながら知識と経験を共有する体制が一層充実しました。今後も部会活動をさらに発展させ、グループ全体の医療レベルの向上を図ってまいります。
各施設では福利厚生を充実させ、職員が安心して働ける環境を整備するとともに、最新の教育・研修を充実させます。医師、看護師、コメディカル、事務職を含めた全職員が、やりがいをもって地域の皆様に満足していただける医療を提供する体制を整えます。
26年も東上震一理事長の下、全職員が一丸となって、高度先進医療から離島・へき地医療、国際医療協力まで、地域と社会に貢献する医療グループを目指し、全力を尽くしてまいります。26年が徳洲会グループにとって、さらなる飛躍の年となることを祈念しています。
皆で頑張りましょう。