徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

医療法人徳洲会 理事長
一般社団法人徳洲会 理事長
東上 震一(ひがしうえしんいち)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

東上 震一(ひがしうえしんいち)

医療法人徳洲会 理事長 一般社団法人徳洲会 理事長

2025年(令和7年)12月01日 月曜日 徳洲新聞 NO.1520

徳洲会の「新しいスタンダード」確立へ
医療の質と効率を最大化する新しい基準
医療資源の積極活用&高い診療密度が望まれる

徳洲会グループは“生命だけは平等だ”の理念の下、地域医療への貢献を続けています。しかし今、医療環境は激変し、実に全国の半数以上の病院が赤字運営に陥っていると言われています。この医療危機の中で、徳洲会は医療への取り組みをさらに進化させ、「徳洲会の新しいスタンダード」を確立することが必要であると考えています。その核となるのが、「許可病床のフル活用」、「救急入院率の革新」、「外来診療の質向上」、「画像診断の積極的活用」の4つの柱です。

医療への取り組みをさらに進化 4つの柱の実践を徹底的に推進

①許可病床を使い切る。医療資源の最大効率化:新しいスタンダードの第一歩は、許可病床を使い切ることを絶対的な基準にすることです。これは単なる稼働率向上ではなく、地域から求められる医療ニーズに対し、病院の持つ機能を100%提供できていることの指標です。平均ベッド稼働率が許可病床数に達するのは、地域の命を徳洲会がしっかり受け止めている証です。そこにこそ経営と理念を融合した徳洲会らしい姿があります。許可病床を使い切るには退院支援の迅速化と、病棟の緊急入院への柔軟な対応力が不可欠です。医局の協力はもとより病棟看護師、医療ソーシャルワーカー、地域連携室が一体となり、入院から退院までのプロセスを可視化し、停滞ポイントを解決する必要があります。これにより病床回転率を上げ、結果として一人でも多くの命を救うことにつながるのです。

②救急受診の入院率50%以上。真に必要な患者さんを見逃さない:「救急を断らない」という徳洲会の矜持をさらに進化させ、救急受診での入院率を50%以上に引き上げることを新しいスタンダードとすべきです。これは数字の目標ではなく、決して命を落とさないための行動基準です。救急患者さんの中には見かけ上は軽症でも、実は重大な疾患が潜んでいる場合があります。慎重な観察、丁寧な検査、的確な判断で命を守る。「軽い症状だから帰す」という安易な判断を排除し、ER(救急外来)での診察の質を高める必要があります。多くの救急患者さんに対応するERでは、顕在化していない疾病リスクを見逃す危険性をはらんでいます。時間経過が有効な診断方法であることは言うまでもありません。50%以上の高い入院率を目標とすることで、医師・看護師は「本当に帰して安全か」との問いを常に自らに課すことになります。真の重症患者さんを見逃さず、迅速に入院治療へつなげる体制こそが、徳洲会救急医療の次なるステージです。

③外来診療の質向上。「プラスαの疾病への気配りと全人的医療」:外来診療では主訴だけでなく、「プラスαの見えない疾病への気配り」を新しいスタンダードとします。これは「問診を丁寧にする」というレベルを超え、生活背景や既往歴、隠れた症状から、将来的な重症化リスクや未病の状態を見抜く全人的医療の実践です。たとえば高血圧の患者さんの「最近、歩くのが遅くなった」という些細な訴えから、潜在的な心不全や運動器疾患(フレイル)を疑い、積極的に検査、治療を提案するのです。このプラスαの気配りこそが、患者さんの信頼を深め、生活習慣病を防ぎ、結果として将来的な高度医療への依存の減少につながります。

④画像診断を重視する経過観察。客観的評価の徹底と高い診療密度:外来診療では画像診断(CT、MRI、エコーなど)の重視をスタンダードとします。これまでは症状の聞き取り(主観的情報)と血液検査(静的情報)に頼る傾向がありましたが、病態の変化を客観的に捉えるには、定期的な画像診断(動的情報)が最も強力な武器となります。異常の早期発見だけでなく、異常なしの安心を患者さんに提供することも外来診察の重要な側面です。不要な検査を避けつつ、迅速で高精度な画像診断を組み入れることは、外来診療の質を向上させるはずです。

利益効率の数字合わせではなく より多くの命を救う医療形態へ

「徳洲会の新しいスタンダード」は利益効率のための単なる数字合わせではありません。許可病床のフル稼働は、より多くの命を救うための病院機能の望ましい姿であり、救急入院率50%以上は、真に重症な患者さんを見逃さないための方針なのです。プラスαの気配りと画像診断の重視は、診療の質の深化です。成長を続ける徳洲会には新しいスタンダードが必要です。

皆で頑張りましょう。

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