
直言
Chokugen

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直言 ~
寺田 康(てらだやすし)
医療法人徳洲会 専務理事 庄内余目病院(山形県) 院長
2025年(令和7年)09月08日 月曜日 徳洲新聞 NO.1508
今は昔、2023年1月21日、医療法人徳洲会 横浜日野病院新築の竣工式典に先立つ神事の会場は、静寂に包まれていました。「それでは玉串の奉奠を執り行います。徳洲会関係者はご起立の上、施主に合わせて二礼二拍手一礼の拝礼をお願いします」。その日集まった徳洲会関係者は20数名。東上震一理事長は二礼の後、両手を大きく広げます。その手の動きが止まった次の瞬間、パンッ! パンッ!!
東上理事長と一糸乱れぬ20数名の柏手の響きは、稲妻のように皆の心を打ちました。それに続く出席者の方々の柏手は、パン! パラッ パン! パラ。その差は歴然としていました。
生まれも育ちも考え方も価値観も違う人たちが、縁あって出逢い一緒に仕事をする。その人たちが一つの目的に向かって一致団結する。そんな場面に心が高揚します。
私は映画スター・ウォーズのジェダイの反乱の一場面が大好きです。悪の帝国と戦うため、心ある有志が集まり創設された反乱同盟は、少数のジェダイの騎士も含め兵士やパイロット、メカニック、襲撃部隊、外交官など多種多様のメンバーで構成されています。彼らは数の上では圧倒的に不利ですが、それを補う勇気と決意を持っていました。その反乱軍がデス・スター(死の星)に攻撃を仕掛けます。が、彼らの戦闘機はデス・スターの防御シールドを突破できずに一旦、退却を余儀なくされます。
と、その時です。「防御シールド突破!」、「防御シールド消滅!」との報告が入りました。反乱軍の指揮官アクバー提督が宇宙語で命令を下します。「全軍突撃せよ!」、「Roger that!(了解!)」。反乱軍のメンバーの決意が一致した瞬間です。スター・ウォーズのテーマが威勢よく流れ、映画は盛り上がります。私の気分は高揚しました。
時は近未来の2037年9月。25年に東上理事長が予言した通り、徳洲会は病院102施設、介護・福祉施設685施設、職員5万1,082名になっていました。
その年の2年前の35年に、徳洲会はベンチャー企業と共同で開発した医療情報通信衛星「トラ1号」の打ち上げに成功していました。これにより徳洲会の医療環境は大きく変わりました。
徳洲会職員は院内PHSと同じ感覚で、グループ内職員と直接連絡が取れるようになりました。また、各施設の電子カルテの端末から、どの施設の電子カルテにもアクセスが可能になりました。患者さんは全て顔認証で、患者さん1人に付きグループ内1カルテ、全国の徳洲会のどの病院でも同じカルテで診療を受けられます。病院の会計はグループ内で一元化、会計処理は瞬時に行われ、各病院の医事課で待つこともなくなりました。さらに介護ロボット、外科手術支援ロボットの導入も進み、遠隔診療も格段に向上しました。
毎年9月1日の防災の日は、徳洲会も自然災害、有事に備えたグループ内の緊急支援システムの演習を行います。午前10時に徳洲会職員が東京ドームに集合します。各施設には1~2名だけが残されていました。
東京ドームは約5万人の職員で満席です。午前9時半からオーロラビジョンに緊急支援センターが中継されました。「はい、離島ブロック、緊急支援バックアップ・システム作動開始!」、「了解です。バックアップ・システム作動しました」。作業は順次進行し、最後に「南関東ブロック、緊急バックアップ・システム作動完了です」、「徳洲会、全緊急バックアップ・システム作動、異常ありません!」。
午前9時50分、照明が少し落とされ「職員の皆さん、端末から位置情報をON に。安否確認の送信をお願いします」とアナウンスがありました。数分後、電光掲示板に、職員数(現地)5万195名、職員数(施設内)887名、計5万1,082 名と掲示されました。それを見て、お~~っと軽いどよめきが起こりました。「では、徳洲会の理念を全職員で唱和します。徳洲会グループの理念!……」。
ドーム内に沸き起こる理念の唱和は、大きなうねりとなって職員の心の中にいつまでも響いていました。次に歌手の山本リンダからの祝辞と「どうにも止まらない」の歌が…(あれ? これ、昨日カラオケで…)。あっ、夢から醒めました。皆で頑張りましょう。