
直言
Chokugen

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直言 ~
山崎 誠治(やまざきせいじ)
札幌東徳洲会病院 院長
2025年(令和7年)07月21日 月曜日 徳洲新聞 NO.1501
2023年10月に院長職を拝命してから、1年半が経過しました。就任後の課題は利益率の向上です。当院は医業収益が月16~17億円ありましたが、利益率は5%程度で、医業利益は1億円にも満たない状況でした。利益率を上げるために何をすべきか。臨床一筋だった私には、皆目見当もつきませんでした。そこで、院長就任が決まった当時の相澤るみ子・事務次長から、病院経営のいろはを一から学びました。利益率を上げるには収益増加と支出コスト削減を行うことに尽きます。患者数増加、収益構造改善、患者満足度向上、そしてコスト削減が重要です。具体的な施策として集患対策、業務効率化、人件費見直し、設備投資、患者サービスの向上を行うことにしました。
まず、病院収益に直結する集患対策として、当院の要である救急受け入れ件数増加を目指しました。これが一番の難題でした。当時、救急受け入れキャンセル率は50%を超えていました。救急キャンセルを限りなくゼロに近づけること、救急からの入院率を上げ、病床稼働率を上げることから始めました。救急要請を全て受け入れるようになると、スタッフから「休憩が取れず疲弊する」といった声も聞かれ、満床で患者さんを受け入れることへの不安など、問題点が浮かび上がりました。職員の使命感だけで業務を回すのは困難かつ時代遅れと考え、竹島裕美・前看護部長に、ER(救急外来)への看護師増員に尽力してもらいました。非常に感謝しております。
また、24年4月に「医師の働き方改革」が始まったこともあり、“翌朝、救急引き継ぎ7時30分”を徹底し、夜勤明け勤務を制限することで、過重労働の防止に努めました。病床確保に関しては、全ての受け入れ患者さんを当院救急部のみの診療で完結することが困難であることから、市内の系列病院や近隣の病院との連携を強化し、後方支援をお願いしました。
入退院支援室には専従看護師を配置し機能を強化。救急部のオーバーナイトベッドを活用しつつ、病診連携、病病連携を強化することで、“断らない救急”を実践できるようになりました。また、現場の状況を把握し問題を迅速に解決するために、毎朝、救急センター長の上田高士副院長にERをラウンドしてもらうとともに、月1回、ER医師と幹部との話し合いの場ももっています。職員の意識改革も進み、本来の絶対に断らない徳洲会の姿に近づいています。現在では、ほぼ全ての救急要請を受け入れ、昨年度は救急搬送受け入れ件数が年間1万件を超えました。
次に問題となるのはコスト削減です。まずは医薬品・医療材料などのコスト削減に着手。節電、節水、ペーパーレス化はもちろん、医薬品の院内フォーミュラリーの推進など、できることから始めています。またコストの大きな割合を占めるのは人件費であり、職員のモチベーションを維持し、人材の定着を図ることが重要です。そのため、業務効率化を図ることとし、多職種でのタスクシェアをさらに推進、AI(人工知能)やDX(デジタル変革)の導入・活用も進めています。
収益構造の改善も必要で、手術や高度医療など診療報酬の高い医療を増やす必要があると考えました。昨年4月に道内初のハイブリッドERが稼働、本年4月にはスーパーICU(集中治療室)10床、6月にはHCU(高度治療室)20床が本格稼働し、その準備が整いました。導入・改修費用はかかりましたが、救急受け入れ増加により、有効に活用できています。
利益率向上を目指し、改革を進めてきましたが、当初1年ほどは、さしたる数字上の改善が見られず、焦りを感じた時期もありました。しかし、改修工事のため一時減少していた病床数がスーパーICU、HCUの稼働で安定してきたこともあり、5月にはついに利益率が10%を超えました。協力してくれた職員一同には感謝しかありません。
利益を追求することは、徳洲会の“生命だけは平等だ”の理念に基づいています。より多くの患者さんに、より良い医療を提供できるよう、引き続き努力していく所存です。高度救命医療が手薄な札幌北部地区の救命医療の強化のみならず、地域の病院としての機能も、さらに高めてまいります。
皆で頑張りましょう。