
直言
Chokugen

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直言 ~
大橋 壯樹(おおはしたけき)
医療法人徳洲会 副理事長 名古屋徳洲会総合病院 総長
2025年(令和7年)06月30日 月曜日 徳洲新聞 NO.1498
先日、徳洲会グループは2025年度新入研修医合同オリエンテーションを開催しました。今年は過去最多となる221人の初期研修医が参加し、グループワークを通じて、チーム医療の重要性やコミュニケーションスキルを学ぶなど、非常に有意義な時間となりました。研修後の懇親会では、各病院の三役らと和やかな雰囲気の中で交流し、絆が深まりました。
若き研修医たちの明るく希望に満ちた表情からは、徳洲会、そして日本の医療の未来を担うという強い情熱がひしひしと伝わってきました。彼らが一人も脱落することなく、良き医療者として着実に成長し、患者さんにとって、かけがえのない存在となることを心より願っています。
今回のオリエンテーションでは「選ばれる病院とは」というテーマで、グループワークと発表会を行いました。その中で優勝した「ちりつもチーム」の発表内容は、多くの三役に感銘を与えましたので、ご紹介します。彼らは、患者さんが多く訪れる「よい病院」として、最も重要なのは“評判”であると位置づけ、それを「医療者にとっての評判」と「患者さんにとっての評判」に分けて整理しました。さらに、新人でも担える基本的な取り組みから、専門性や経験が求められる領域まで段階的に分類しました。
まず、新人が担える領域として、雰囲気づくり、親切丁寧な対応、医療安全の徹底、笑顔、清潔感、患者さんへの気配りなど、基本的ながら極めて重要な要素を挙げました。
次に、さらに「よい病院」の条件として、利他的な精神、地域連携、医療スタッフ間の良好な関係、患者さんへの深い理解、豊富な医療資源、そして短い待ち時間など、組織全体の力が問われる項目を列挙しました。
最後に、研修医には難しいものの、医療者としての評判向上に資する要素として、難症例への対応力、広報(PR)力、教育体制の充実、手厚い福利厚生などを提示しました。患者さんからの評判向上の要素としては、立地、強みを持つ診療科、先端的な医療の導入を挙げました。
この発表を通じ私が強く感じたのは、「よい病院」のあるべき姿について、研修医たちは、すでに深く理解しているということでした。彼らは、私たちが日々の業務の中で見落としがちだった本質を、新鮮な視点と患者さんに寄り添う感性で的確に捉えており、私たちも、彼らの声を真摯に受け止める姿勢が求められていると強く感じました。私は常々、研修医に「医師は患者さんを診ているが、それ以上に患者さんは医師を見ている」と伝えています。同様に、研修医が上級医から診療態度を評価される一方で、彼らも上級医や幹部、そして徳洲会という組織全体の姿勢をよく見ています。この双方向の視点と緊張感こそが、個人・組織ともに成長し続けるために欠かせない原動力であることを、改めて実感しました。
徳洲会グループでは、より「評判のよい病院」を目指す取り組みの一環として、今年中にAI(人工知能)画像診断支援システムを全病院に導入する計画です。この革新的な技術は、頭部CTでの出血の有無、胸部CTでの肺腫瘤の検出、単純X線画像のスクリーニングの結果を瞬時に明示します。AIは継続的に学習を重ね、診断支援精度を向上させており、将来的には腹部CTなど難易度の高い領域への応用も見込まれています。私自身、術後の患者さんの経過観察で、専門外の所見をAIに正確にチェックしてもらえることは、とても有意義だと感じます。また、頭痛を訴える患者さんのくも膜下出血の見逃し防止、放射線診断医の負担軽減や診断精度の向上、さらには外部委託の軽減にもつながることが期待されます。診断の見逃しを防ぎ、早期発見に直結、医療安全上有効であり、患者さんにとってもメリット大です。
研修医が思い描く「理想の病院」は、私たち幹部や専門医にとっても共通の願いであり、AIをはじめとする先進技術の導入は、その実現を後押しする重要な一歩です。今後も、患者さんから「選ばれる病院」であり続けるために、現場の声に耳を傾けつつ、技術革新と人材育成の両輪をもって、徳洲会グループ全体で進化し続けてまいります。皆で頑張りましょう。