直言
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直言 ~
清川 まどか(きよかわ まどか)
清川病院(神奈川県) 院長
2025年(令和7年)05月26日 月曜日 徳洲新聞 NO.1493
当院は徳洲会に加入してから今年9月で3年になります。徳洲会が掲げる“生命だけは平等だ”の理念、「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会」の実現に少しでも寄与できるよう日々、尽力しています。
当院は鎌倉市にある鶴岡八幡宮の参道沿いに立地する病床数198床(一般89床、療養109床)のケアミックス病院で、開院は1902(明治35)年にさかのぼります。私は初代院長の清川来吉(初代鎌倉市長)から数えて5代目です。徳洲会の理念とともに、開院以来標榜している「誠実・親切」な診療体制を堅持し、徳洲会が力を入れている離島・へき地医療、国際医療協力、災害医療活動にも将来的に貢献したいと思います。
私は徳洲会に入る前から、つねに1床の重みを念頭に置き、病院を運営してきました。1床の重みとは何でしょうか? 病院は一組織として成長し、長く継続していくことが重要な使命のひとつであると思います。そのためには安定した健全な経営が必須であり、その道標となるのが事業計画です。1床でも多く、ひとりでも多くの患者さんを受け入れる。たった1床でも大切な1床です。その積み重ねが病院の安定した土台となるのです。今、国は病床削減を進めていますが、だからこそ許可病床は“大きな宝”だと思います。東上震一理事長も日頃からお話しされていますように、病床を使い切ることが、社会貢献につながります。病院の一番の財産である病床をフル活用するため、毎日必死で一所懸命ならぬ「一床懸命」に取り組んでいます。
当院には併設の介護老人保健施設「かまくらしるばーほーむ」がありますが、その他の地域の介護施設や在宅医療を行っている診療所との連携を密に行い、患者さんを紹介していただいています。鎌倉市の歴史とともに歩んできた当院ですので、地域からは厚い信頼を寄せられています。
また、当院は距離的に、同じ徳洲会グループの湘南鎌倉総合病院と葉山ハートセンターの中間に位置しており、両院の後方病院として、急性期医療を終えた患者さんの受け入れに適しています。先日、難しい病状があり、複数の徳洲会外の病院に相談しても、どこも受け入れていただけない患者さんの治療を、二つ返事で受けてくださいました。その時、「さすが徳洲会!」と懐の広さと医療レベルの高さをあらためて実感しました。患者さんやご家族にも大変喜んでいただけました。治療後、当院に戻っていただき、現在、リハビリをしながら退院調整を行っています。今後は、両院のみならず神奈川県下の徳洲会病院と、もっと緊密に連携を取り、互いに助け合う関係が構築できたらと考えています。強固な徳洲会ネットワークこそが、ひとりでも多くの患者さんを救うことにつながると信じています。
当院の医療の質に関しても、徳洲会グループの教育制度を活用させていただき、職員のレベルアップを図り、質の向上に努めています。徳洲会入りして紙カルテからグループ統一の電子カルテに切り替えていただいたことも、業務の効率化や情報共有という点でメリットが大きいです。どこの医療機関でも人員・人材不足という課題を抱えながら、日々、多くの業務にあたっていると思いますが、「この病院で働きたい」と、選んでいただけるような病院づくりを、今後も職員とともに続けていきたいと思います。
目下の課題は老朽化が進んだ病院の建て替えです。現病院は築50年ほど経っています。今の立地に開院以来、脈々と続いてきた当院ですので、この場所に新設したいと考えています。古都・鎌倉の町並みにマッチし、歴史と未来が融合したような病院ができたらいいと思います。直近では、まず老朽化した箇所をリフォームする予定で、建て替えまでに質の高い回復期・慢性期医療を実践し、患者さんに、より安全で安心な環境の構築を目指します。
新病院では立地を生かし、健診・人間ドックにも注力していきたいです。当地は平日でも多くの外国人観光客で賑わいますので、メディカルツーリズム(医療観光)にぴったりです。鎌倉観光に合わせて当院で健診・人間ドックを受診していただけたらと、夢はふくらみます。皆で頑張りましょう。