徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

医療法人徳洲会 常務理事
徳洲会外科部会 部会長
福岡徳洲会病院 院長
乘富 智明(のりとみともあき)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

乘富 智明(のりとみともあき)

医療法人徳洲会 常務理事 徳洲会外科部会 部会長 福岡徳洲会病院 院長

2024年(令和6年)11月04日 月曜日 徳洲新聞 NO.1465

魅力的で充実した教育環境を整備
若い医師が集まる徳洲会を目指す
次世代の向上心を正しい方向に導くことも

この夏、当院でも次年度の初期研修医の採用試験を行いました。今年は採用枠の約3倍の応募でした。私は面接試験を担当しましたが、輝く受験生を見て思わず全員採用したくなりました。採用試験の面接では、ほとんどの受験生が異口同音に救急医療への興味、徳洲会病院での幅広い症例経験への期待などを口にしていました。

先日発表された次年度の初期研修医マッチングでも、徳洲会グループ全体で高いマッチング率でした。徳洲会は救急医療に対する取り組みと、その成果が医学生たちに認められ、臨床医の最初の2年間の訓練を受ける場として選ばれていると言えます。

専門研修プログラム制度によって 離島・へき地へ柔軟な派遣難しく

研修医のほとんどは初期研修修了後、次の3年間で専門医資格の取得を目指し、各領域の専門研修プログラムに進みます。日本専門医機構が管轄する専門研修プログラム制度は、今や公的な専門医制度として認知され、揺るぎないものになりました。

しかし、徳洲会病院で初期研修を受けた研修医が、グループのプログラムに進む率は未だ満足のいくものではありません。私たちは、徳洲会のプログラムの良さを研修医たちにもっとアピールしなければなりません。初期研修修了後は大学病院に入局しなくても、徳洲会に在籍して基本領域専門医、サブスペシャリティ領域専門医、そして、さらにその上位の専門領域へと段階的に上がっていける継続した教育システムを、研修医たちに提示できるよう、体制整備が急がれます。

卒後3年目から5年目の専攻医は、離島・へき地医療を支える重要な役割が期待されています。しかし、専門研修プログラム制度の開始によって、後期研修医は専門研修プログラム専攻医に変わり、柔軟な人事で離島・へき地の応援に派遣することが難しくなりました。私たちは、専攻医の専門研修の継続に不都合が生じないように配慮しつつ、離島・へき地医療を支える人員配置を考えていくという難しい問題に直面しています。

今後、離島・へき地への医師派遣を持続させるためには、派遣先の病院での専攻医、研修医に対する教育の工夫も必要でしょう。

また、専攻医の派遣を受け入れる側の病院を、各基幹プログラム病院が支援していく体制づくりも求められます。全ての病院がいずれかの基幹プログラムの連携施設となれるよう、グループ全体で取り組むという意識も持つべきでしょう。専門研修プログラムの一環として、離島・へき地応援がうまく組み合わさることが理想です。

徳洲会外科部会では若者にとって 魅力ある外科を志向し親身に指導

徳洲会外科部会(消化器・小児・一般外科部会)は、グループ内の外科医の連携と協力、そして次世代の外科医の養成を目指しています。過去2回開催した同部会では、学術集会と合わせて基幹プログラム施設責任者会議も開きました。これらの会を通じ、徳洲会の外科でも内視鏡外科やロボット手術という専門領域を、より一層充実させていこうという機運が高まっています。

消化器外科領域でも、内視鏡外科、ロボット手術に対する評価は揺るぎないものとなっています。徳洲会グループでは、ダヴィンチのみならず国産の手術支援ロボットの導入も進んでおり、ロボット各機種のプロクター(指導医)も在籍しています。外科を目指す若者にとって、魅力的な環境が整ってきました。

しかし、技術の習得に早道はありません。日本内視鏡外科学会の内視鏡外科技術認定医試験では、一般・消化器外科領域の受験資格が「日本外科学会外科専門医+日本消化器外科学会消化器外科専門医」となっています。つまり、外科専門医を取得したら、次は消化器外科専門医に合格し、そのうえで内視鏡外科技術認定医を受験するという、基本領域から次第に専門分野に進むような制度設計になっているのです。外科の修練を志す若者には、基本から親身に教えてあげなければなりません。

将来を担う若い人の向上心を正しい方向に導くのも指導医の役目です。私は、高度な技術を行使すること自体が目的ではなく、身に付けた技術で病んだ患者さんの身体を治すことが目的であると、言い続けたいと思います。より良い教育を受けるために若い医師たちが集まってくる徳洲会を目指し、皆で頑張りましょう。

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