直言
Chokugen
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直言 ~
尾野 亘(おのわたる)
医療法人徳洲会 常務理事 神戸徳洲会病院 院長
2024年(令和6年)09月23日 月曜日 徳洲新聞 NO.1459
1. 患者安全を最優先し、生命を安心して預けられる病院を目指します。
2. 透明性のある医療を提供し、患者様やご家族様への説明と同意を徹底します。
3. 全職員が医療安全に関する知識・技術を習得できるよう継続的な教育研修を実施します。
2023年8月、当院は度重なる医療事故発生に対する医療安全管理体制の不備を指摘され、神戸市より行政指導を受けました。その年の暮れ、東上震一理事長より翌年4月から院長として神戸徳洲会病院を立て直すようにとの内示がありました。私はとても意気に感じて、その重職をお受けしました。当院ではその後、行政指導中に発生した複数件の医療事故に対しても、神戸市から求められた調査・検証が院内で行われず、24年2月に行政処分(改善措置命令)を受けるに至りました。
24年4月1日、当院院長に就任しました。職員の離職は思いのほか少なく、そのモチベーションは高いと感じました。最初に気になったのは、軽重にかかわらず、ほとんどの案件は院長が直接判断し、各種委員会には権限が委譲されておらず、病院全体が組織としてのガバナンス(統治)を持ち合わせていない点でした。一連の医療事故と、その後の対応の不備を招いた根本的原因の一つと思われ、組織力強化のため院長・看護部長・事務長の三役を中心に改善に取り組みました。現在は、大部分の案件が正しい順序で幹部まで上がってくるようになりました。
当院の入院は、ほとんどが救急からの入院でありましたが、今年1月末から救急の受け入れは完全にストップしており、これは5月中旬まで続きました。4月には40人まで落ち込んだ入院患者数も、最近では少しずつ回復し、現在は80人程度で推移しています。
13回の保健所立ち入りと、当院のために2回の地域医療構想調整会議病床機能検討部会が実施されました。この部会は公聴会で記者席も設けられており、会終了後は、いわゆる囲み取材も行われました。この様子はオンラインニュースでも配信され、ご覧になられた方もいるのではないかと思います。
保健所の指導は微に入り細に入り行われ、当院の不備を的確に見抜くものでありました。この指導がなければ、これほど短期間に病院を改善することは困難であったと思います。改善計画の履行完了の期限は、8月末と決まっており、履行完了ができなければ、病院は存続できません。当院を何としてでも良くしなければならないと決意を新たにしました。
神戸徳洲会病院のホームページはこちらから
9月13日に改善計画履行完了の通知をいただきました。今回の行政指導ならびに行政処分に関しての詳細と、当院が掲げる患者安全宣言は病院ホームページに掲載しております。皆様、ぜひご覧ください。
今回、改善計画を履行完了できたのは、すべての関係者からの物心両面での援助があったからこそではありますが、何よりも当院職員が一丸となって、改善計画を推し進めてくれたことが大きいです。心から感謝申し上げます。
今後1年間は、体制が維持できていることの確認(保健所の立ち入り検査と病床機能検討部会)が継続されます。しかし、ようやくスタートラインに立てました。地域の皆様の信頼を少しでも回復できるよう、今回の一連の経緯や現在の診療体制、今後のビジョンを説明する会を催す考えです。その場では、院長として決意表明も行いたいと思います。25年9月には病院機能評価3rdG:Ver.3.0の受審が決まっています。ゼロからの受審はかなりハードルが高いと思いますが、このまま職員が一致団結して認定の取得を目指します。これまでの経験からも、定期的に第三者機関の評価を受けることは重要と考えており、この病院機能評価受審も改善計画に盛り込まれた項目です。
すべての職員の生活を守り、地域の皆様に安心・安全な医療を提供できるよう、これからも不断の努力を続けてまいります。皆で頑張りましょう。