
直言
Chokugen

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直言 ~
小林 修三(こばやししゅうぞう)
医療法人徳洲会 専務理事 湘南鎌倉総合病院(神奈川県) 院長
2024年(令和6年)09月02日 月曜日 徳洲新聞 NO.1456
蟬の一生は7年7日と昔から言われています。7年間を土の中で育ち、やがて殻を破り飛び立ちます。大きな声で鳴き通し、儚い命ですが、精一杯生き通します。
まず中長期ビジョンと目標を持ちましょう。ここから来年の目標を、そして今を理屈抜きで頑張りましょう。
救急を断らず、その診療レベルを高め、一人でも多くの患者さんを助けましょう。私がモザンビークの病院で医療支援を行っていた時、その院長は病床数を答えられませんでした。なんと4床部屋の中に何人もの患者さんが地べたに横たわっていました。院長は「私たちが救急を断ったら後がありません」と。病床数ばかり気にする医療者は、ここにはいません。絶対の安全はなく、マニュアルもありません。
あれやこれやと責任回避の言い訳をせず、万一を考え、医師が患者さんを説得してでも入院指導するような医療が求められます。その後は慎重に診療にあたるべきです。一般外来も同様です。尿血液検査だけではなく画像・生理検査も駆使し、迅速で正確な診断と治療方針の決定を行い一人でも多くの患者さんを診ましょう。外来患者数は地域からの信頼のバロメーターです。病床をどう采配するか、看護スタッフのやり繰りは大変ですが、皆で全力を尽くしたいと思います。かつて徳田虎雄・名誉理事長は「言われてやるのは奴隷だ。プロはやり方を考える」と。
内科医にメスという武器はありません。医師は「この先、悪化するかも知れない」と常に考えているはずです。優秀な内科医は万一を考え、より長期の予後を見据えていかねばなりません。内科医にとって、患者さんを助けられる大きな武器は薬剤です。手術をせずとも救える病気が増えています。とくに最近の薬学の進歩には、目を見張るものがあります。どう使い分けするか、どう組み合わせるか、何を客観的指標にするかなど、少しでも悪い作用を抑えながら長期に使用できれば、その予後は明らかに違います。一般に、これらの薬剤をどう管理し、どう使うのかという内科医療に対する技術評価が低いのが、残念です。すぐに利益につながる診療ばかりを評価するだけでなく、より専門的知識によって、こうした薬物療法ができる医師を評価する姿勢も大切です。彼らは驚くべき治療法も開拓できます。細胞治療からエクソソーム治療(再生医療の一種)へ大きく進展する中、徳洲会のバックアップで、間もなく臨床応用が始まります。目の前の患者さんだけではなく、一度に多くの患者さんを救える武器を持つことができます。一流の内科系医師も活躍できるのが、徳洲会です。
大きく次の50年を見据えましょう。外の世界を知らず独断専行し、自由闊達な医療ができない組織にしてはなりません。適切な統制を取りながら自由な活動を支援し、徳洲会の存在意義を内外にアピールしましょう。当法人は年間収益ベースで世界第7位にランクされる組織です。今や国の中央社会保険医療協議会にも物申すことができる組織のはずです。良き人材の確保、医療設備の充実、経験知の蓄積によって利益を伸ばし、病院の拡大再生産の源をつくる必要があります。これこそが病院発展の原動力となり、エントロピー(多様性)は増大するという原理原則の通り、このコマを回し続けることで組織は発展します。規模が大きくなれば事務経費は拡大します。ここから直接、収益は期待できませんが、その丁寧な仕事ぶりが、各事業体からの信頼を得て、組織のブランディング化が図られます。この夏、当院では事務職員らの大きなサポートにより、IAEA(国際原子力機関)が、指定するアジアの核医学教育施設として、18人の外国人医師が1週間、教育を受けました。院長就任時にアジアのハブになると宣言した目標の一つが叶ったのです。そればかりか今後は、アジアを越え北米ともヘルス外交を進めたいと考えます。他の医療法人ではできない大きな名誉が、積み重なることでしょう。
この夏に感じた蟬の命は、その長さではなく、その密度にあると思います。誰も思いも付かなかった考えやアイデアを奨励しましょう。病院は皆が活躍する舞台です。最後に大輪の花が咲くようPassion・Mission・Loveで、皆で頑張りましょう。