徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

医療法人徳洲会 理事長
一般社団法人徳洲会 理事長
東上 震一(ひがしうえしんいち)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

東上 震一(ひがしうえしんいち)

医療法人徳洲会 理事長 一般社団法人徳洲会 理事長

2024年(令和6年)07月29日 月曜日 徳洲新聞 NO.1451

徳田先生の逝去に深い哀悼の意を捧げ
遺された徳洲会のさらなる発展を誓う
全職員が心を合わせ夢ある未来を切り開く時

7月10日20時15分、徳田虎雄・名誉理事長は20年以上にわたるALS(筋萎縮性側索硬化症)との苦闘の末、86歳で、その壮絶な人生に終止符を打たれました。亡くなる1週間前に面会した八木沼正子・看護部門本部長が「今度、インドネシアに徳洲会の協力で、ハラパンキタ・徳洲会循環器病センターができるのですよ」と報告した時、閉じていた目を開き、眼球が左右に動くのが確認できたそうです。2年前に私が理事長に選任されたことを報告した際も「事業を行ううえで、数字合わせは必ずします」という徳洲会フレーズを言った時、徳田先生が目を開かれるという“小さな奇跡”が起きたことを思い起こしました。もうその頃は、病状進行のため眼球の動きで取れていたコミュニケーションが全く不可能になっていたからです。想像を絶する長い病苦の中にあっても、徳田先生は“徳田先生であること”をしっかり保持されていたのです。

次々と、いろいろなことが思い出されます。衆目の一致する意見に違える先生の直接の指示で、岸和田徳洲会病院の院長職を拝命した私が、医局の先生方との関係や人事の難しさを嘆いた時、文字盤を追う目の動きで秘書が通訳する状態であったにもかかわらず、「私と代わってみるか」と、ニヤッと表情を崩された仕草と言葉が思い起こされます。あの苦しみの中にあっても、ユーモアを失わず、厳しいけれども温かく前向きな人となりが偲ばれます。“生か死か、真実を求めて”。以前の「直言」でも少し触れましたが、当時、まさに時代の寵児であった徳田先生最初の著書(写真・語録集)の中で、幾多の激烈なメッセージの間に何気に挟み込まれた「いくら仕事ができても、温かい人間でなければだめだ」という一言を見付けた時、私は人間・徳田に触れ得た気がしました。

徳洲会という社会運動 公明正大に続けていく

「老麒伏櫪(ろうきれきにふすとも) 志在千里(こころざしせんりにあり) 烈士暮年(れっしぼぜん) 壮心不已(そうしんやまず)」

中国・三国時代(魏、呉、蜀)の英雄、曹操が残した漢詩の一節です。1日千里を駆ける駿馬は年老いて厩につながれようとも、なお千里を駆けることを想い、英傑は老年になろうとも、高い志で理想を追うことを忘れない。晩年の詩ですが、まさに徳田先生の後半生と重なります。私たちの創業者は、どんな状況に置かれようとも確固たる理念をもち続け、徳洲会の成長を信じて逝かれたはずです。あくまでも弱い人、社会的弱者の味方になって、徳洲会という社会運動を公明正大に続けていくことが、徳田先生の遺志に報いることになると考えます。いくら正しいことでも、ほんの小さな規模で終わる話であれば、それは自己満足の延長線上のことと言わざるを得ません。正しいと信じるのなら、精一杯の努力で、できる限りの人を巻き込んで――小医は病を癒し、中医は人を癒し、大医は国を癒す。そして徳洲会は世界を癒す――この壮大な心意気で一人でも多くの人のために尽くすべきです。徳洲会は生まれながらに拡大する使命をもつことを、この言葉が示しています。世界を癒すとした時から、私たちの旅は果てしのないものになったのです。グループを構成する人やリーダーが、時と共に移り変わろうとも、その存在意義は脈々と受け継がれていくのです。

先見えのする徳田先生は、徳洲会が力を合わせて、しっかり運営を続けていれば、そのうち多くの病院が徳洲会に助けを求めてくると言われていました。コロナ禍が終わり補助金もなくなった今、たしかにM&A案件が増えているように感じます。現在、ほぼ確定している案件が7件(計1,033床)、順調に推移すれば年度末には83病院を擁する規模に拡大します。今こそグループの経済的基盤を強化し、さらなる成長に備えたいと考えています。年内にはハラパンキタ・徳洲会循環器病センター建設に着工し、これをアジア№1の心臓センター(年間心臓手術4,000件超)にする目標を設定しています。徳洲会と現地スタッフが協力し、アジアをリードする世界有数の循環器病院をつくり上げるプロジェクトです。

すべての患者さんの身も 心も救う病院を世界中に

国内はもとより、すべての患者さんの身も心も救う病院を世界中につくるために、グループの全職員が心を合わせて全力投球する時を迎えています。夢ある私たちの未来は必ず切り開いていけるはずです。皆で頑張りましょう。

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