徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

出雲徳洲会病院(島根県) 院長
田原 英樹(たばらひでき)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

田原 英樹(たばらひでき)

出雲徳洲会病院(島根県) 院長

2024年(令和6年)04月15日 月曜日 徳洲新聞 NO.1436

臨床研修指定病院や病院機能評価目指す
心カテや心臓・血管手術も数年内に開始
離島応援も充実させ定期的に派遣できる体制に

1987年、島根医科大学(現・島根大学)を卒業し、助教授で赴任された永末直文先生に憧れ、同大学第二外科に入局。2006年、出雲徳洲会病院開設とともに入職しました。きっかけは永末教授が退官されるにあたり、私も大学を辞めるつもりで就職先を探していた矢先、同大学同期の満元洋二郎先生(現・名瀬徳洲会病院院長)から、出雲に徳洲会病院ができるので来ないかと誘われたことです。徳洲会の“生命だけは平等だ”の理念は、日頃から誰に対しても同じように接してきたつもりでしたので、当たり前のことと感じていましたが、当院開院前に徳之島に行き、初めて離島医療に触れ強く感じ入りました。そのため09年頃から少しずつ離島応援を始め、19年には常勤医14人中8人を約1週間交代で与論徳洲会病院へ派遣できました。

離島のみならず宇和島病院 帯広病院に医師派遣を実現

当院は医師6人で出発しました。岸和田徳洲会病院をはじめ関西の徳洲会病院や南部徳洲会病院から応援に来ていただき、常勤医が4人に減った時も福田貢・副理事長ら多くの先生方に助けられました。徳洲会は、ピンチには必ず救ってくれる仲間がいることを実感し、当院もいつか恩返しがしたいと考えていました。19年7月の「直言」に、もっと医師を集めたいと書きましたが、約5年が経ち、医師が14人から34人(23年4月)に増え、離島に加え帯広徳洲会病院や宇和島徳洲会病院にも行けるようになりました。

ただ、飛行機の乗り継ぎの多さには困っていました。与論島へは大阪で前泊し、鹿児島空港を経由して入っていました。先日、徳洲会保有のホンダジェットを利用し、当院の医師が瀬戸内徳洲会病院へ行った時は、出雲縁結び空港から奄美空港まで、約1時間半で到着しました。このため、より多くの患者さんを診ることができました。将来は奄美空港から瀬戸内病院を“空飛ぶクルマ”で移動する日が来るのではと期待しています。10年ほど前から島根大学の医学部生の実習を受け入れ、希望があれば離島見学も行っています。先月、与論島に学生を引率した時、ヘリ搬送に遭遇しました。空港のフェンス越しに、祈るような思いで見守るご家族の後ろ姿に、感じるものがあったと思います。離島の患者さんやご家族の気持ちを知ることで、将来、一人前になった時に、少しでも離島を応援していただければと思います。

当院は一般病床85床、HCU(高度治療室)4床、回復期リハビリ47床、療養病床47床で、3月は病床利用率94.3%、平均在院日数11.4日、新規入院240人、一日の平均外来数220人。併設施設は訪問看護ステーションと介護老人保健施設です。昨年11月から2月まで病床使用率は、ほぼ100%で、3月になり、やっと落ち着きましたが、その間、新型コロナやインフルエンザなどにより職員が減るなか、笑顔で患者さんに接していただいた各部署長と職員には大変感謝しています。5年前の「直言」で触れたように、当院は「RRS(Rapid Response System=院内救急対応システム)」と「複数主治医制」を実践、メディカルクラークも充実させ、この4月を迎えました。最近の悩みは、もっと働きたい先生に休みを取ってもらうことです。休日も入院患者さんを診る習慣が身に付いている世代に、「働き方改革」は辛い面もあるようです。

看護師対策や新棟建設も視野に 明日はもっと良くなると信じる

今後は、若手の指導体制も整ってきたため、臨床研修指定病院を目指します。また、25年に病院機能評価を取得するため、近く活動を開始します。病棟看護師の7対1基準取得も目指し、看護師対策にさらに重点を置きます。心カテや心臓・血管手術の開始も数年以内に行う考えです。離島応援も一段と充実させ、定期的に応援できる体制にしていきます。健診センターの機能向上、診察ブース増加、感染症の専用区域増設、医局拡張、透析室拡充を行うため新棟建設も計画しています。

今まで先輩医師や患者さんをはじめ多くの人に出会い、感銘を受けました。新入職の皆さんも、これから多くの人に出会い、人生を豊かなものにしてください。当たり前のことですが、患者さんには優しい言葉や態度で最大限、表現しましょう。時にはうまく表現できないこともあるかもしれませんが、明日はもっと良くなると信じ、進んでもらいたいです。

皆で頑張りましょう。

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