徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

医療法人徳洲会 理事長
一般社団法人徳洲会 理事長
東上 震一(ひがしうえしんいち)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

東上 震一(ひがしうえしんいち)

医療法人徳洲会 理事長 一般社団法人徳洲会 理事長

2024年(令和6年)04月01日 月曜日 徳洲新聞 NO.1434

今日一日を懸命に生きる日々の努力
この積み重ねが未来の徳洲会を約束
明日も今日と同じという日常への埋没を恐れる

この場を借りて2023年度の振り返りと、私たちが目指すものについて、理事長としての思いを述べます。

徳洲会グループが全職員にとって誇らしく、輝ける医療集団として成長を続けていくために必要なことは、①一人ひとりが徳洲会という名を担い、徳洲会の医療人として、患者さんの尊い命を守り預かっているという自覚をもつ。日々、医療の質を問い、誠実に、本音でぶつかり合える仲間と共に“患者中心の医療”を推進、②率先垂範する。いつも自分が変化の中心にある(物事を他人事としない)。医療人として、人のためになって生きることに感謝し、悔いのない人生にするための努力を怠らない(自らに高い目標を設定)、③コスト意識を高める。医業収益を最大に、経費は最小にする。公明正大に利益を追求し、それを社会に還元(利益は今日と明日の医療のため、そして全職員のために使う)、④現場主義、実力主義に徹する。医療は患者さんにベストを尽くすことにあり、空理空論で動いているものではない。治療のために、かいた汗にこそ価値があり、治療効果に医療の本質がある。職員個々の実力、実績を正当に評価することも大切、⑤心を一つにする。“患者さんのために”ベクトルを合わせられる徳洲会マインドを尊び、徳洲会の理念・哲学(“生命だけは平等だ”、自由を求め愛に生きる)に共鳴、帰属する、⑥熱意をもって地味な努力を続ける(単調さに耐え小事を大切に)。能力は必ず進歩すると自らを鼓舞し、専門家として各分野でパーフェクトを目指す、⑦創意工夫で常に前進する意欲をもち、スピード感をもって決断する。昨日より今日、今日より明日、自ら変化を求め高い目標にチャレンジする。

必死な努力と才覚で仲間の力 寄せ集めて未来をつくり出す

徳洲会50年を振り返れば、この①~⑦を、その時々の職員が悪戦苦闘しながらも、成し遂げてきた軌跡であったと言えます。徳洲会の歩みに、たどるべき既成の道筋はありません。私たちは自らの必死な努力と才覚で、仲間の力を寄せ集めて未来をつくり出していかなければなりません。徳田虎雄・名誉理事長は世界200カ所に病院をつくり、「世界の厚労省」になると唱え、これが徳洲会の最終目標と述べられました。私はこれを傑物・徳田虎雄ゆえの壮大な夢と片付けるつもりはありません。結局、これが私たちの目指すべき道筋になると考えています。

インドネシア政府と国立ハラパンキタ循環器病センター、徳洲会が連携し、「ハラパンキタ・徳洲会循環器病センター」の建築が現地で進行中です。また18年にタンザニア政府の要請で始まった腎移植医療の導入(湘南鎌倉総合病院の小林修三院長らによる)は、移植を行った現地のBMH病院に、新たな臓器移植センターを併設する計画に結実しています。コンゴ民主共和国にある警察病院の敷地内に新たな病院を建設する計画も進んでいます。モンゴルの大統領と交わした覚書(国立第三病院への新病院建築協力)なども含め、理事長になって2年足らずの間にアジア、アフリカの数カ国で、医療協力の具体的な端緒をつくることができました。しかし、これらのほとんどは、徳田先生が理事長の時代に、医療協力の約束が取り交わされていた国々です。徳田先生がALS(筋萎縮性側索硬化症)に倒れていなかったなら、圧倒的な行動力と人間的魅力で、今ごろは海外に十数病院の“仲間”ができていたであろうと確信します。

自由を求め病める人への愛に 生きることこそが理念の根本

しかし今、私たちはグループの成長と運営基盤の強化を慎重に推し量りながら、用心深く海外案件に取り組む必要があります。23年度に札幌外科記念病院、貝塚記念病院が新たに仲間に加わり、徳洲会病院は76となりました。未だ多くの病院が運営上、難しい問題を抱えているとは言え、仲間を助け合う徳洲会の力で、これを克服し、新年度ではグループの経営基盤をさらに強化したいと考えています。収益を最大化し経費を最小化する。この取り組みを、ぜひお願いいたします。

最後に、明治中期の思想家、高山樗牛が残した私の好きな言葉を紹介します。「天にありては星、地にありては花、人にありては愛、これ世に美しきものの最たらずや」。自由を求め、病める人への愛に生きる――これが徳洲会の理念の根本です。新年度での飛躍を願って、皆で頑張りましょう。

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