直言
Chokugen
Chokugen
直言 ~
酒井 欣男(さかいよしお)
四街道徳洲会病院(千葉県) 院長
2024年(令和6年)03月25日 月曜日 徳洲新聞 NO.1433
当院は2005年11月に開院しました。私は16年7月に入職し、17年4月には院長に就任、今年で7年目を迎えます。私の最初の仕事は当院をフルオープン(病床数220床)させることでした。着任した当時は規模の割に閑散とした病院で、外来患者数も1日100人に達しないこともありました。手術も月10件あるかないかで、療養型の病院という雰囲気だったのを思い出します。患者さんを断ったりする医師が何人もいたり、看護師もモチベーションが低い人が多々いました。部署間・部署内のコミュニケーションも、うまく取れておらず、惨憺たる状況でした。つまり、急性期病院として周辺地域に信頼を得られていなかったのです。
私は徳洲会の「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療受けられる社会の実現を目指す」という目標に共感し、入職したのですが、当院のこの有り様を見て、非常に困惑しました。私は院長就任直後、まず8時会、朝礼で「この病院を好きになってください。好きになるためには、どう変わればいいか考えてください」と呼びかけました。さらに社会人として、きちんと挨拶すること、感謝の気持ちを言葉にすることを徹底するように言いました。
病院のイメージチェンジを図るため、「美化委員会」も立ち上げました。まず蛍光灯をLEDに変え、薄暗い院内を明るくしました。また、ロビーの大きな窓には、いつもカーテンがかかっており、その前に車いすが並んでいたのですが、カーテンを取り払い、窓の外に植栽し、車いすの代わりにテーブルと椅子を設置しました。これにより来院した方々が外の景色を眺めながら、くつろげるスペースになりました。
リハビリ室の前にはアクセントを付けるため、飾り物を配置し、月1回、変えるようにしています。飾り物は私が家から持参し、今も継続しています。たとえば3月には娘のために用いていた「お雛さま」を置きました。これら以外にも、さまざまな試みを実行し、患者さんのみならず職員にも好評です。
医師対策にも腐心しました。具体的には職員から各医師に対するアンケートを取り、評価してもらいました。これをもとに事務長らを交え医師面談を行い、今後について話し合いました。もちろんアンケート対象には私も含まれています。では、私の考える必要な勤務医とはどういう医師か――。患者さんから学ぶ姿勢がある、診療を拒否しない、患者さんを選ばない、自分で対応できそうになければ、すぐに同僚に相談ができる、generalな知識のある専門医、チームワーク、コミュニケーションが取れる、環境の変化に対応できる柔軟性がある、経営感覚がある、有言実行で人集めができる医師です。一方、要らない勤務医とは、正論を言うが自分では動かない、患者さんから主治医を代えてほしいと言われる、「やります」と言いながら他の人へ丸投げする、弱者に強く強者に弱い、患者さんの側に立って診られない医師です。
地区医師会の先生方とも積極的に対話し、患者さんを紹介していただくように努めました。紹介患者さんは決して断らず、当院で対応できなければ、他院に紹介するようにしました。これにより、診療所の先生方から信頼を得ることができました。大学医局とも連携を取り、良い常勤及び非常勤医師に来ていただけるようになりました。当院の運営方針を明確化するため、スローガンも打ち出しました。「安全第一、サービス第二」がそれです。このサービスについては、医療技術の習得と実践、安全・安心の遂行、患者さんのプライベートの確保を掲げ、まず行えることとして、患者firstに考え行動する、接遇を大切にする、報告・連絡・相談(報連相)の徹底を示しました。
最近では外来患者数が1日400人超、手術件数も100件超と過去最高に達する月もありました。実はコロナ禍の時にワクチン接種で多くの方々が来院し、当院の変貌ぶりを感じていただけたのか、それを機に患者さんが増えた気がします。今後の課題としては医師、看護師のマンパワーを拡充し、すべての急性期医療を提供できるようにしたいと考えています。そして、院内にある介護老人保健施設を院外に出し、療養病棟を開設することを構想しています。
覚悟と責任、質と品格をもって皆で頑張りましょう。