徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

和泉市立総合医療センター(大阪府) 院長
松下 晴彦(まつしたはるひこ)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

松下 晴彦(まつしたはるひこ)

和泉市立総合医療センター(大阪府) 院長

2024年(令和6年)03月18日 月曜日 徳洲新聞 NO.1432

限られた病床数を一段と効率的に運用
外来治療も積極的に展開し次の10年へ
さらに地域から信頼される病院を目指す

2014年4月、旧・和泉市立病院に指定管理者制度が導入され、医療法人徳洲会がその役割を担うことになりました。18年4月、和泉市と徳洲会の協力により、同院は府中町から和気町への新築移転と共に、病院名を和泉市立総合医療センターに名称変更しました。指定管理開始から移転までの4年間は、失った信頼を取り戻すのが非常に困難な時期でした。それでも「断らない救急」の実践を目指し、救急搬送受け入れ人数は徐々に増加しました。これは東上震一理事長が当時、院長であった岸和田徳洲会病院の全面的な支援のおかげです。さて、来る4月で指定管理から10年、新病院に移転し6年が経過します。私は10年間の後半5年を院長として、病院運営を行ってきました。運営の基本は徳洲会の“生命だけは平等だ”の理念を基に、地域医療に最大限の貢献をすることです。

コロナ対応が、この5年間の最大の課題でした。10波にも及ぶコロナへの対応は、当センターにとっても決して楽なものではありませんでした。既存の病棟を改変し陰圧室の増設や、内科系診療科のチーム編成により、患者対応を強化しました。コロナ対応初期の頃は、当センターの将来の方向を打ち出すことができませんでしたが、移転時から急増した血液内科患者さん、がん患者さんに対応するため、クリーンルーム増設と化学療法室の改修を行いました。これにより、血液内科の入院患者数増加と外来化学療法を増やすことが可能になりました。当センターの特徴は、内科系を中心に多くの診療科があることですが、外科部門の発展にも力を注いできました。ロボット支援手術のため「da Vinci Xiサージカルシステム」を20年7月より導入しています。当初、泌尿器科が中心でしたが、消化器外科、呼吸器外科、婦人科と、多くの診療科で実績が上がるようになりました。

外来化学療法室のベッド不足など 近々に増築棟を建設し問題を解決

今後の10年間も、既存の診療をさらに発展させる方向で進んでいきます。市民病院として、救急や小児医療を含む地域完結型の医療が重要であると考えています。移転当初は、すべての診療に十分な延床面積を確保していましたが、移転6年目となると、手狭な所が目立ってきました。外来待合、外来診察室、化学療法室、透析室、健診センターなどが問題です。とくに最近では、外来化学療法室のベッド不足が深刻となっています。当センターは国指定の地域がん診療連携拠点病院、がんゲノム医療連携病院として、多くの患者さんを受け入れ、積極的に外来化学療法を行っています。しかし、入院病床が少なく、また外来治療を望まれる方が多くなってきたこともあり、外来化学療法室に余裕がなくなってきたのです。他施設へ紹介することもありますが、一部の患者さんに限定されます。多くの患者さんを当センターで治療することになるのですが、初回治療導入後、近隣の病院に紹介することは、ほぼ不可能であり、そのような連携は全く整備されていません。がん化学療法を開始した患者さんは、当センターで継続的に診療する必要があるのです。地域がん診療連携拠点病院ですので、地域での治療を希望される患者さんに、適切な医療を提供することは、とても重要な責務です。

近年のがん化学療法の成績向上は目を見張ります。本当に多くの患者さんの予後が改善しています。紹介が多くなり、治療成績が向上すれば、がん関連の外来部門や化学療法室が患者さんで溢れることになります。これらの問題を解決するために、増築棟の建設を計画し、近々、工事が始まる予定です。

がん・呼吸器・難病の3センター 24年度から機能強化を活発に推進

24年度より当センターが進める3センター、すなわち、がんセンター、呼吸器センター、難病センターの機能強化を図ります。また現在、ICU(集中治療室)8床を運用していますが、増築棟にはHCU(高度治療室)を設置し、より多くの救急患者さん、重症患者さんに対応する予定です。増築棟完成時には難病外来、透析室、健診センターの拡充も目指します。病床数の制約は国の方針もあり、すぐには解決することはできませんが、限られた病床数をより効率的に運用し、また外来治療を積極的に展開することにより、次の10年をさらに地域から信頼される病院にしたいと考えています。

皆で頑張りましょう。

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