直言
Chokugen
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直言 ~
門間 英二(もんまえいじ)
古河総合病院(茨城県) 院長
2024年(令和6年)02月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1428
1月1日付で福江眞隆院長の後任として、東上震一理事長より院長職を拝命しました。徳洲会グループ病院の院長として、職責の重大さに身の引き締まる思いです。これからも、さらなる地域医療の発展に努める所存です。当院は埼玉県、栃木県に隣接する茨城県西端に位置し、関東平野のほぼ中央にあります。病院からは関東の名だたる山々が望め、とくに冬の富士山はとても美しいです。
私は福島県いわき市の出身です。実家は海のそばで、今でも帰省すると、必ず海に立ち寄り波の音を聞き、夜には海面に映る月を眺めるのがルーティンです。小学生からずっと野球しかしていなかったので、教師になって野球部の顧問になるのが夢でした。しかし、両親の祖母や近所の方が亡くなることが一時期続き、つい先日までいた身近な人が、この世からいなくなってしまったことへの悲しさ、無常さから、皆が健康で一日でも長く幸せに過ごせるようにできればと思ったのが、医師を志したきっかけです。
1997年に筑波大学を卒業後、同大学附属病院で研修を開始し、3年目に呼吸器外科に入局、関連病院も含め心臓以外の外科手術のトレーニングを受け、その後、米コロンビア大学(St. Luke’s-Roosevelt病院)で3年間、肺生理学の研究を行うチャンスをいただきました。これは私の人生にとって貴重な経験で、当時の上司の鬼塚正孝先生には感謝に堪えません。帰国したら呼吸器外科医局の先輩である福江先生が院長をしている古河病院に行かないかと、鬼塚先生から言われたのが徳洲会との出会いでした。
2006年3月31日に帰国し、翌日、8時会と朝礼に初めて参加しました。朝礼での向かい合っての挨拶と、理念の唱和は、学生時代にアルバイトをしていた引越会社の朝礼を思い出しました。あれからもう18年、たくさんのことが思い出されます。新築のにおいがする病院に心地良さを感じつつも、その新しさゆえに、手術が必要な患者さんがいても他院での手術を希望され、紹介状を記す日々が続きました。友人が他でキャリアアップしていくのを聞くたびに、進歩のない自分に焦っていたのが正直なところです。
徳洲会の理念である「生命を安心して預けられる病院」、「健康と生活を守る病院」。これは病院としては極々当たり前の表現ですが、今までの自分を振り返った時、担当した患者さんが、そう思っていたか自信をもって言えません。入職した時から、それを常に心に留めながら、患者さんに精一杯の医療サービスを提供できるように努めました。医師が少なかった当時、夜間の患児の診察や、骨折などの緊急処置も、友人や先輩に事前に教わっていたことで対応できました。外科以外の患者さんが圧倒的に多かったので、外科医としての評価にもなるサブスペシャリティの専門医を得ることは、多分できなそうです。でも、安心して帰られる患者さんを見るたびに、断らない医療を掲げる徳洲会の一員になって良かったと感じています。
当院は次のステージに入ります。私の目標は、すべての疾患について当院で完結できるようにすることです。もちろん、現状では夢の範疇です。ただ、それを実現するために、当院に与えられた病床をフル活用し、病気で困っている患者さんに良くなっていただくため、我々は弛まぬ努力を継続し、一歩一歩、前に進まなければなりません。まず、緊急処置を要する心疾患や、脳血管疾患、外傷にともなう緊急手術など、急性期に対応できる体制を整えます。現在、早急にHCU(高度治療室)を立ち上げるための準備が進行中です。ロードマップを見ながら、その日を心待ちにしています。当院は療養病棟、回復期リハビリテーション病棟が備わっているので、急性期治療後の患者さんが、状況に合わせて継続した医療を十分に受けられるようにしていきます。
4月からは、6人の医師が新しく仲間として加わる予定です。これからの病院の発展のため、共に切磋琢磨していきたいと思います。「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会」の実現を目指し、私の大好きな職員と一丸となって、自信と情熱をもち邁進していきます。
皆で頑張りましょう。