徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

羽生総合病院(埼玉県) 院長
髙橋 暁行(たかはしとしゆき)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

髙橋 暁行(たかはしとしゆき)

羽生総合病院(埼玉県) 院長

2023年(令和5年)11月20日 月曜日 徳洲新聞 NO.1416

“断らない医療”こそが患者さんを幸せに
患者さんの幸せが職員一人ひとりを幸せに
目の前で困っている患者さんを全て助けたい

10月1日に当院院長に就任しました。徳田虎雄・名誉理事長に認めてもらえる院長になるよう努力する所存です。

約50年前、小学1年生の時、3歳の弟が夜中に熱性痙攣を起こしました。慌てた両親の姿、痙攣している弟の姿は今でも鮮明に私の記憶に残っています。母は家族ぐるみでお世話になっていた診療所に電話し、「すぐ連れてきなさい」と真夜中にも関わらず、診ていただけることになり、父が運転する車で診療所に向かいました。診療所に着いた時には弟の痙攣は頓挫していましたが、先生は嫌な顔もせずに弟を診てくれました。診察していただいたことで、両親は安堵し、私は「弟を助けてくれてありがとう」と感謝の気持ちでいっぱいでした。子どもの時の私は予防接種の際に診療所内を泣いて逃げ回るほど、診療所は大の苦手でした。しかし、弟の一件で、私は「先生って、すごい」と尊敬するようになり、弟を診てくれた先生みたいになりたいと、医師を目指しました。大学に入学した時に、先生に「どんな医者になりたいの?」と聞かれ、「痙攣している弟を夜中に診て助けてくれたのを今でも覚えています。先生のように夜中でも全力で患者さんを助ける医者になりたいです」と答えました。目の前で困っている患者さんを全て助けたい──この気持ちが私の医者としての原点です。

救急車を断るのが常識という風潮 医局と対立し徳洲会入職を決める

医師となり3年目に赴任した病院で、循環器内科の勉強を始めました。九州の有名な病院で、循環器診療の研鑽を積んだK先生も赴任され、私は弟子入りしました。ある日、一緒に当直をしていたところ、心原性ショックとなった心筋梗塞の患者さんが救急車で来院しました。心カテ室に移動しIABP(大動脈内バルーンパンピング)を入れたところで、救急外来の看護師さんが「胸痛の患者さんの収容依頼が来ています。どうしますか」と心カテ室にやってきました。

K先生は「絶対、断っちゃいかん。受けて」と。看護師が「診る先生がいませんよ」と言った瞬間、K先生は「ここに髙橋がおる。髙橋が診るんだ」と冷静に言い、「髙橋君、君は医者だろ。目の前の患者を助けなきゃいかん。PTCA(経皮的冠動脈形成術)だって隣で見せてきたから絶対できる」と、医師3年目の私は救急外来に向かわされました。無事にPCI(同)を終了し、K先生から「髙橋君のお陰で一人、命が助かった。だからね、救急車は絶対、断っちゃダメなのよ」と言われました。この時、救急車を断らない医療を実践することが、私の医者としての基本的な考えとなりました。

しかし、時代が流れるにつれ、救急車を断らない医療が非常識で、救急車を断るのが、むしろ常識という世の中になっていき、その結果、私は医局と対立するようになりました。「夜中でも全力で患者さんを助けたい。救急車を絶対に断らない」という理想の医療を実践するために、医局を辞め、2014年9月に救急車を断らないことが常識の徳洲会に入職しました。

治療方法のないウイルス感染症 死への恐怖から躊躇するも決断

ところが、断らない医療を実践したい私に試練がやってきました。それはCOVID-19でした。治療方法のないウイルス感染症、感染すると死亡する可能性がある──恐怖でしかありませんでした。20年3月、埼玉県庁から一本の電話がかかってきました。当院で COVID-19を受け入れてほしいという要請でした。死への恐怖から、私は躊躇しましたが、松本裕史院長(現・総長)の許可も取らず「はい」と言って電話を切りました。断らない医療の実践はCOVID-19であっても例外ではありません。受け入れるしかないのです。青木三栄子・看護部長は私を全力でサポートしてくれました。これこそが本来あるべき医療の姿です。病院を挙げてCOVID-19に立ち向かっていきました。県からの入院要請はメディカルスタッフの協力の下、一度も断ることなく、全て受け入れました。断る医療は楽です。リスクもありません。断らない医療は、きつく、リスクがともないます。しかし、COVID-19を乗り越えた今、目の前で困っている患者さんを全て助けるためには、絶対に断らない医療が必要だと確信しています。断らない医療こそが患者さんを幸せにし、そして患者さんの幸せが職員一人ひとりを幸せにしてくれると私は思っています。

皆で頑張りましょう。

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