徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

四日市徳洲会病院(三重県) 院長
高畠 貢(たかばたけ みつぐ)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

高畠 貢(たかばたけ みつぐ)

四日市徳洲会病院(三重県) 院長

2023年(令和5年)08月14日 月曜日 徳洲新聞 NO.1402

現代は価値観の多様性が広がり
何をどう学ぶかすら難しい時代
悩むよりもまず行動して理解を得る

今年4月に当院院長を拝命しました。前任の豊田國彦先生は名誉院長として勤務されています。豊田先生は20年余、院長を務められ、医師人生50年を迎えました。昨年頃から私に院長をとのお話をいただいていたのですが、私自身、高齢者の部類に属するようになり、仕事は減らしていきたいという思いでした。小規模病院(療養病床30床、短期入所生活介護10床)とはいえ、院長職とあれば院内はもちろん、院外のさまざまな任務があり、責任ある立場に就くことは想像できませんでした。

以来、固辞していたのですが、1月末になって、ふと自分にできることを誠実に行えば良いと思うようになりました。豊田先生も「他所から誰かが来るより、あなたが院長になるほうが良い」とのことで、院長職を引き受ける決心がつきました。この「直言」の原稿依頼も正直、自分が引き受けて良いのか、かなり動揺しました。もともと、仕事というものは余裕をもって行えることのほうが少ないのでしょう。各自がそれぞれの任務に骨を折って取り組む姿勢が必要なのでしょう。

3月度の徳洲会医療経営戦略セミナーで人事通知書をいただき、ご挨拶したのですが、緊張したどころではありませんでした。あの時は、たくさんの新院長の紹介があり、皆さん、立派な挨拶をされていましたが、私は、とにかく自分の番を回すのが精一杯という感じでした。4月に関西ブロック会議にも参加しましたが、各病院の院長のコメントが興味深く、話が上手だと思いました。後日、一般社団法人徳洲会大阪本部の方が議事録をメールしてくださったのですが、自分の発言がきちんとまとめられており、いたく感心しました。徳洲会グループには、さまざまな部署で有能な職員が働いていることを実感しています。

院内クラスター発生時の対応 応援派遣病院と職員らに感謝

さて、あらためて当院の現状をお伝えします。昨年末、新型コロナ感染症のクラスター(感染者集団)が発生しました。入院患者さんが次々と発症し、職員も多数熱発して休職するという事態に見舞われました。宇治徳洲会病院と八尾徳洲会総合病院の感染対策チームのご指導、また岸和田徳洲会病院、名古屋徳洲会総合病院にも看護師さんの応援派遣をいただき、2週間で収束できた時は本当にほっとしました。実は私自身、早い段階で発症し、自宅療養しており、職員の対応を後で知ることになりました。大変ご苦労なことでした。職員は順調に回復したのですが、患者さんのなかには熱が下がって検査で陰性化を認めても、体力が回復せず衰弱が進み、亡くなられる方もおられました。市内の病院や介護施設でも同様の事態があったようで、転院依頼が減少しました。空床が目立つ状況が春を過ぎても続き、さすがにこのままではいけないと危機感が走りました。7月に入って、ようやく入院の問い合わせが増えてきた時は安堵しました。

高度医療機器導入できたのは グループの一員であるおかげ

6月にCT(コンピュータ断層撮影装置)が無事設置されました。当院の規模で高度医療機器を導入できるのは、徳洲会グループの一員であるおかげと感謝しています。さっそく、単純X線写真で明らかではない誤嚥性肺炎が、CTで一目瞭然である例を経験しました。今後も診療に大いに役立てていきたいと思います。

2年余りの準備期間を経て、電子カルテの導入も一部で進んでいます。4月から医事システムと薬剤処方オーダリングシステムが稼働し、電子カルテで行えるようになりました。今や私たちの生活は、電子機器なくしては成り立ちません。この原稿もパソコンでポチポチ打っているのですが、電子カルテは病院業務で大いに役立つものと期待しています。

コロナ禍は社会に本当に大きな影響をもたらしました。学生時代に「医者は一生勉強だ」とよく言われました。学ぶことが膨大にあり、また新しい知見が出てくるからと、単純に受け止めていました。全世界に広がるような感染症が、現実に起きるとは想像もしていませんでした。また、最近は、正しいことが必ずしも受け入れられるわけではなく、価値観の多様性といったこともあり、何をどう学ぶかすら難しく思います。もちろん、悩んでばかりではいけません。行動することで理解が得られるものです。

皆で頑張りましょう。

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