徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

湘南大磯病院(神奈川県) 院長
島田 英雄(しまだひでお)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

島田 英雄(しまだひでお)

湘南大磯病院(神奈川県) 院長

2023年(令和5年)07月10日 月曜日 徳洲新聞 NO.1397

患者さんに一層優しく親切な対応を
全職員が風通し良く働ける環境醸成
人とのつながりと新たな出会いに感謝の念

湘南の海を一望する風光明媚な立地に当院はあります。3月1日に東海大学から医療法人徳洲会に事業継承され、徳洲会グループ75番目の病院としてリスタートしました。徳洲会病院としての開院から、その後の運営では、全国の徳洲会施設から多大なる支援をいただき、心より感謝申し上げます。

私は東海大学医学部を1983年に卒業しました。父は開業医で、家族が病気になれば、治療はすべて父の担当でした。このことは私が医師を目指した原動力になったかも知れません。医師国家試験に合格し「外科はつぶしが利く」との勧誘で、同大学消化器外科に入局しました。研修後は、いくつかの出向病院に勤務、94年からは大学病院勤務となり、食道班に所属し診療、教育、研究に従事しました。食道がん手術は、その領域が胸部・腹部・頸部に及ぶ極めて侵襲の大きな手術です。患者さんのみならず、ご家族の負担も多大です。他の手術と比較しても、術後合併症の頻度は極めて高く、患者さんやご家族との緊密な信頼関係が不可欠です。今もお世話になっている恩師の幕内博康先生(現・東海大学顧問)からは「患者さんには優しく親切に」、そして「すべてに限界の努力を」と指導を受けました。2010年4月に大磯病院に異動し、15年から院長として8年間務め、現在に至ります。実際に外科でつぶしが利いたのか。これまで多くの患者さんに加え、両親の手術、長女の急性虫垂炎、さらに義父の食道表在がんを内視鏡的切除で根治できたこともあり、外科医師になった甲斐があったと思っています。

病気だけを診るのでなく バランスの取れた治療を

今回の事業継承に際し、東海大学出身の医師が多く勤務することになり、私も院長に任命されました。当初はこの大役を本当に受けてよいものか、非常に悩みました。多くの院長は、長年にわたり徳洲会病院に勤務され、その実績が評価されて就任されています。そのなかで新参の私がどれだけ徳洲会の理念の下、お役に立てるか、まったく自信がありませんでした。しかし、前病院時より看護部長を務め、私が信頼する石山圭子・看護部長に加え、湘南鎌倉総合病院から、東海大学外科時代の同僚だった消化器外科の柏木宏之医師(副院長)、さらに医療安全で以前より存じ上げていた循環器内科の髙橋佐枝子医師(副院長)の赴任が決まり、人のつながりのありがたさに感謝し、この大役をお受けしました。

夜間の救急患者さん断り率 低減することが目下の課題

事業継承後も、一医師としての診療姿勢や院長としての責務に変わるところはありません。現在、多くの疾患に『診療ガイドライン』が作成されています。これは、科学的根拠に基づき、患者さんと医療者の意思決定を支援するものとされています。しかし、患者背景を熟考せずガイドラインに盲従しては、患者さん各々に最善の治療を提供できないことがあります。また、最新治療が必ずしも最良とは限りません。とくに、多くのがん患者さんは高齢で併存疾患も多く、家族構成や社会的背景も千差万別です。がん治療の効果判定では生存期間の延長を期待しますが、生活の質を維持することは、さらに重要です。病気だけを診るのでなく、各人をみてバランスの取れた治療を心がけたいと思っています。

4月には診療体制もほぼ整い本稼働となりました。入院は一般病床94床で開始し、6月にはHCU(高度治療室)8床の運用も始まり、術後管理や救急重症例の受け入れも可能になりました。最大の懸案事項は、夜間の救急患者さんの断り率低減です。以前より、専門診療科以外の対応は難しいと言う医師が多く、意識改革が直近の課題でした。体制も変わり組織全体で、断りをなくす気運と、各科相談医との協力体制によって大幅に減少しています。

私たち自身も優しく親切にしてもらうと、周りにもそうしたくなります。各職場でも職員間のほんの少しの気配りにより、気持ち良く仕事ができるようになると思います。そして全職員で自然と『患者さんに優しく親切に』できる環境にしましょう。自由に意見が言える環境、これに迅速に反応する組織づくりも重要です。『全職員が風通しの良い環境で働ける病院』づくりに努めます。“湘南大磯病院で診てもらって良かった”と一人でも多くの患者さんに言っていただける病院が目標です。

皆で頑張りましょう。

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