直言
Chokugen
Chokugen
直言 ~
池田 佳広(いけだよしひろ)
医療法人徳洲会 常務理事 千葉徳洲会病院 院長
2023年(令和5年)05月15日 月曜日 徳洲新聞 NO.1389
私は徳洲会入職以前に医療経営を勉強し、大学院でh–MBA(医療経営学修士)を取得しました。2014年9月、40歳で宇和島徳洲会病院の院長に着任し、3年4カ月、職員と共に組織・経営改革を行い、“宇和島モデル”として成果を出すことができました。
18年1月には鹿児島徳洲会病院に異動し、ここでも職員一丸となって経営を立て直し、21年12月には新病院への移転を無事に実現することができました。同院は鹿児島市の中心部から8㎞南に新築移転したのですが、その谷山地域には救急を受け入れられる大きな病院が少なく、救急車の受け入れ台数は、移転前の21年には600台だったのが、22年には2,000台超と3.5倍になりました。常勤医師数も最も少ない時に13人だったのが、今年4月1日時点で後期研修医2人を合わせ27人となりました。今後の同院の役割は離島・へき地の基幹病院として、奄美大島や徳之島などにある徳洲会病院に医師を派遣できるようになることだと考えます。この4月1日に宇和島病院の保坂征司院長が、鹿児島病院院長として若い外科医師と一緒に異動され、外科医師が合計7人になりました。保坂先生のご活躍を期待しております。
さて、私は4月の人事で千葉徳洲会病院の院長を拝命しました。当院は1986年に開院し、2014年7月に新築移転しました。21年には回復期リハビリテーション病棟を56床増床し、病床数は合計447床と、当院が立地する船橋地域で有数の規模となり、また徳洲会のなかでもトップクラスとなっています。当院の常勤医師数は4月1日時点で39人、研修医らを含めると49人と鹿児島病院のほぼ倍で、医業収益に関しても同様です。医師会にも加入しており、地元の大学との関係も良好で、非常勤医師が日中の外来や救急、夜間・休日の当直に数多く来ていただいております。
しかし、人数がある程度充足されているため、それに甘んじて無駄な業務が多いと感じています。タスクシフト/シェアと言われている最近の医療界にも関わらず、多くの仕事を「医師にしかできません」と言って担わせているように見られます。医師事務作業補助者が派遣も含め39人と大勢いますが、大半が外来に配置され、病棟や透析室では医師の補助作業がほとんど行われていない状況です。電子カルテの設定も無駄が多く、現場の医師や看護師らスタッフは、かなり疲弊し閉塞感があるように思えます。幸い私は宇和島病院で電子カルテの導入、鹿児島病院で電子カルテの更新を経験したことから、毎日のようにシステムエンジニアに無駄を省く作業を指示し、少しずつ改善されています。
これら以外にも現場のスタッフが困っていることがたくさんあり、そのためのルールもあるのですが、うまく運用されていないと聞きました。毎日、医師をはじめスタッフに問題点を尋ね、改善する日々を送っています。その効果があったかどうかわかりませんが、4月3日時点で325人だった入院患者数は過去最高を3回更新し、5月9日には401人。回復期リハビリ病棟は72人、緩和ケア病棟は22人と、いずれも過去最高を達成しております。これも職員の皆さんの頑張りのおかげだと思っております。
職員は皆、真面目で一生懸命に業務に当たり、指示を出せば、すぐ対応してもらえます。これからも、もっと患者さんが増え、地域医療に貢献できると考えています。当院は救急車の受け入れ台数が、以前は船橋市で1番でしたが、22年には、その座を失ってしまいました。今年度の目標は、まず船橋市で1番多く救急車を受け入れる病院になることです。また、消化器外科医が8人もおり、PET-CTや放射線治療装置、内視鏡下手術支援ロボット「ダヴィンチXi」も設置、24床の緩和ケア病棟もあります。がんに関しては、治療体制が整っていますので、今後より一層、地域のなかで、がん患者さんに受診していただけるよう努めてまいります。また、リハビリについては、32年以上前から実績があり、地域からも信頼され、多くの患者さんを紹介していただいております。今後、当院は「救急」、「がん」、「リハビリ」の3本柱で、地域ナンバーワンの病院を目指します。皆で頑張りましょう。