徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

医療法人徳洲会 常務理事
宇治徳洲会病院(京都府) 院長
末吉 敦(すえよしあつし)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

末吉 敦(すえよしあつし)

医療法人徳洲会 常務理事 宇治徳洲会病院(京都府) 院長

2022年(令和4年)12月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1369

人の悲しみや喜びを想像し共感し寄り添い
手を差し伸べられる人格の養成が最も重要
徳洲会の理念に沿い多くの良質な研修医を養成

厚生労働省は、2004年度に医師の初期臨床研修(2年間)を必須としました。これは専門分野のみの研修を行う医師が多く(ストレート方式)、どの診療科でも起こり得る患者さん急変時に、救急対応ができないなど問題があったからです。必修化以後、大学に残る研修医が激減し、市中病院で研修を行う医師が増加しました。

現在では、基礎的臨床能力を身に付けるために、内科24週、救急12週、外科・産婦人科・小児科・精神科・地域医療研修を最低4週研修することが、大学卒業後に義務付けられています。このスーパーローテート方式を終了し認定されると、修了証が発行され、医籍登録されます。

初期研修から続き専門研修に 残ってもらうことが最大課題

徳洲会は発足以来、米国の医師養成プログラムにならい、臨床に重要な診療科のローテーション研修を行い、医師を養成してきました。現在、グループで21病院が初期臨床研修基幹施設となっています。多くの救急症例を経験でき、臨床能力が非常に高い医師を育てていると評判になり、毎年人気で、徳洲会病院の臨床研修医養成の定員はほぼ満員。来年入職予定の研修医も164人決定し、残り空席は6人のみです。大学医学部の1学年の学生は100人程度なので、徳洲会で大変多くの医師を養成していると言えるでしょう。

初期研修必修化後に市中病院に医師が流れ、大学に残る医師が減ったのは、労働条件や給与面も良くないなど、問題が噴出したからです。1年次の研修医の月給が5万円程度の大学さえありました。大学に医学部卒業生が残らなくなったことから、その後、大学での研修は大幅に改善されました。

18年、大学の逆襲とも言える新専門医制度が始まりました。初期研修終了後の専門研修が大きく変わったのです。専門医養成施設となる要件に、専門医、指導医の数が重視され、また臨床と直接関係のない論文をたくさん書いていることが要求される分野も多くなりました。要は市中に出てしまった初期研修医を、専門研修で再び大学に呼び戻そうとするものです。このため初期研修で徳洲会に入職しても、専門研修で離れ、大学に入職する医師が増加しました。初期研修では人気があっても、専門研修では徳洲会に残らなくなっているのです。

現在、徳洲会では初期研修医の約25%しか引き続き徳洲会で専門研修を受けていません。これは、グループにとって大きな問題です。若手医師が入ってこないと、救急や緊急の多い診療科は崩壊します。『医師の働き方改革』の労働時間制限も救急病院に重くのしかかってきます。

研修関係担当責任者に就任 8項目の野心的な試み断行

私は研修関係担当責任者に、東上震一理事長から指名されました。半年が経過し、優秀な本部研修事務担当とともに、次のような活動を開始する方針です。

①すでに基幹型臨床研修病院の条件を満たす病院が10病院あり、これら臨床研修病院の基幹型指定を目指す、②研修の質を充実させ、より人気のある臨床研修病院を増やす、③臨床研修病院指定の要件である研修医受け入れ実績を満たすため、大学と“たすき掛け”研修を交渉、④自施設で専門研修プログラムが少ない病院が多いため、専門医を徳洲会全体の横の連携で育てる、⑤徳洲会全体の研修医の集合教育を見直す。このため法人幹部とのグループワークを通じ、徳洲会全体を深く理解してもらえるプログラムを策定する。KJ法(断片的な情報・アイデアを効率的に整理する目的で用いる手法)で施行予定。専門医研修の説明も実施する、⑥徳洲会の研修医教育が一般的にまだ知られていない部分もあり、テーマ別に各指導医が講義した内容をピックアップしYouTubeにアップ、⑦蘇生法の教育コース(ACLS、ITLS、JMECC)、外傷の教育(JPTEC、JATEC、ATOM)などをグループ全体で系統的に開催する、⑧研修医募集の地域別の説明会を再開。

研修は、医師としての技術を身に付けることが重要と考えがちですが、そうではありません。面倒なことを避け、貧困や災害を他人事として捉えるのではなく、人の悲しみや喜びを想像し、共感し、寄り添い、手を差し伸べられる医師としての人格の養成が、最も重要だと思います。“生命だけは平等だ”の徳洲会の理念の下、今後も多くの良質な医師の養成をしたいと思います。皆で頑張りましょう。

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