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直言

Chokugen

沖永良部徳洲会病院(鹿児島県) 院長
玉榮 剛(たまえつよし)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

玉榮 剛(たまえつよし)

沖永良部徳洲会病院(鹿児島県) 院長

2022年(令和4年)02月14日 月曜日 徳洲新聞 NO.1325

「離島だからこそ、できること」を拡充
限られた医療資源のなかでの工面に努力
「離島だから、しょうがないとは言わせない」

「離島だから、しょうがないとは言わせない」を目標に掲げ、3年前に院長に就任させていただきました。しかし、間もなく降りかかったのが、全国の離島でも初めての新型コロナウイルス感染症患者さんの発生でした。

今では「過去最多」、「爆発的」などと、とどまることを知らない新型コロナ感染症ですが、その当時は正体が明らかになっておらず、県も離島での発生は想定外であったのでしょうか、対策が不十分で、PCR検査の検体の運搬も船便のみという状況。結果判明までに5日ほど要する時もあり、離島であることを強く思い知らされました。

厚労省クラスター班も 絶賛の新型コロナ対応

しかし、当院職員の対応は素晴らしく、疑似症の発生判明後、多くの職員、それぞれの部署がお互いに協力し合い、満床であった病棟のうち、4人部屋と個室の陰圧室の計5床を隔離部屋として設定し、ゾーニング(区分け)が速やかに出来上がったことは、爽快そのものであり、逆に離島ならではの小規模病院のフットワークの軽さを実感しました。

その後も新型コロナ感染症は散発的に発生しましたが、いよいよ2021年5月に島内クラスター(感染者集団)を経験することになります。飲食店から発生した感染は瞬く間に拡大し、宿泊療養所の準備が追い付かず、60床の一般病棟に13人もの感染者を受け入れるという事態に陥りました。しかし、ここで当院の藤崎秀明医師の存在が大きくクローズアップされます。島出身の藤崎先生は島民の方々からの信頼も厚かったのですが、1例目の発生と同時に濃厚接触が疑われる方々へ、直接声をかけられ、初日に七十数人のPCR検査を敢行しました。これについて、厚生労働省のクラスター班の先生方は、多数の感染者をあぶり出し、その後の感染拡大を食い止めることができた大きな要因と、絶賛されました。

クラスターの終息と前後し、島民の方々へのワクチンの集団接種を開始しました。まさに、島を挙げての一大事業で、毎週金曜日と土曜日に、約1500人に接種を施行し続けました。21年8月に奄美群島の他の島でクラスターが発生した時には、沖永良部島では、すでに対象年齢の約8割、全島民の約7割がワクチンの2回接種を済ませていたためか、感染者を一切認めないという奇異な状態となっていました。

このように沖永良部島は、かなり小回りが利く島だと思います。私たち徳洲会と地元医師会、自治体との関係は非常に良好であり、つねに連絡を取り合っています。集団接種に関しても、接種人数を自治体がSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などで報告すれば、参加できる医師や看護師の人数が上がり、ワクチンの準備から接種、会場の後片付けに至るまで、瞬時に決定されるなど、緊密な関係が出来上がっています。まさに「離島だからこそ、できることがある」を実感しています。

さて、今年は血管造影室の立ち上げをはじめ、その他さまざまな事業や構想が待ち受けています。機器の準備は順調にいくかもしれませんが、これと並行し人を育てなければなりません。立ち上げはもとより、長期的な視野をもち、存続させる固い意思をもって行動しなければと考えています。“新しい血”を入れることが難しく医療資源が限られた離島にあって、これらを、いかに工面していくかが私たちに課された大きな命題であると強く感じています。

職員の驚異的な頑張りにより ハンデ跳ね返して黒字を計上

また、今年は当院の新築移転から5年目にあたります。この間、さまざまなことを経験しました。新築にもかかわらず、硬度の高い水に悩まされ、台風の際には窓からの雨風の吹き込み対策に奔走し、施工者も想像を絶する湿気により、院内の壁がすべてカビだらけ――といった具合です。その都度、追加工事や機器の入れ替えを行い、出費が膨らみましたが、これらのハンディキャップを跳ね返し、職員の驚異的な頑張りや涙ぐましいほどの経費節減により、多額の原価償却費が差し引かれるにもかかわらず、黒字計上するまでになっています。

医療の発展なくして離島の発展は望めないと考えています。今後も「離島だからこそ、できること」を拡充し、「離島だから、しょうがないとは言わせない」と固く誓ってまいります。

皆で頑張りましょう。

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